「皇室の重要なお仕事として国際親善がありますので、皇族方が外国語や諸外国の事情を学ぶために、外国で生活されることは意義があります」
そう話すのは、元宮内庁職員で皇室ジャーナリストの山下晋司さん。
「さらに、海外での生活や研究は見聞や視野を広めるでしょうから、その後のご公務にとってもプラスになると考えられます。
このことは国家にもプラスになることですから、ご本人が希望されれば留学していただくということになります。
ホームステイは短期間ですが、いい経験になるでしょうし、将来、留学される場合には生かされるでしょう」
眞子さま(24)も中学3年生のときに、オーストリアでのホームステイを経験されている。
「眞子さまはICUに入学した’10年の夏休みに、佳子さまが参加しなかった大学の英語研修プログラムで、アイルランドに1か月ほど滞在されました。
’12年からは短期留学で1年弱、イギリスのエディンバラ大学へ、’14年からレスター大大学院で学ばれ、修士課程を修了されました」(宮内庁担当記者)
帰国後、鴨場での外交団接待では、各国の外交官と通訳なしで懇談されるなど、外国生活は確実にプラスになっているようだ。
イギリスといえば、"ヒゲの殿下"の愛称で親しまれた故・寛仁さまも’68年から2年以上、オックスフォード大学にご留学。
のちに出版した『トモさんのえげれす留学』(文藝春秋)では、英語習得の悪戦苦闘ぶりやスキーに熱中したことがざっくばらんに綴られている。
「長女の彬子さまも学習院大2年の’01年から、皇太子さまと同じオックスフォード大のマートン・カレッジにご留学。’04年から再び同校に留学して日本美術を専攻し、’11年には女性皇族として初となる博士号を取得されました」(宮内庁関係者)
’15年には、そんなイギリス滞在記をまとめた『赤と青のガウン オックスフォード留学記』(PHP研究所)をご出版。
《ヒロ(皇太子殿下)はよく勉強する学生だったけど、あなたのお父さんは勉強をしてはいなかったわね。でもトモさんはオックスフォードを心から楽しんだと思うわ》
と現地での女性の発言を紹介されている。
豪放磊落な伯父さまの影響か、高円宮家の長女・承子さま(30)もイギリスに留学中には、ひと騒動あった。
「承子さまは’04年から’08年まで眞子さまと同じエディンバラ大学に留学しましたが、インターネット上のサイトで、赤裸々な私生活を明かされていることが発覚。
過激な内容の一部には、なりすましの第三者による書き込みもあったようですが、承子さまには"奔放プリンセス"のイメージがついてしまいました」(前出・記者)
ホームステイや留学ではないが、天皇陛下も若かりし皇太子時代にイギリスなど欧米諸国を半年間にわたって訪問されている。
「おそらく天皇陛下の一生を通じ最も記憶に残る外遊といえば、昭和28(’53)年のこの外遊でしょう」
と述べるのは、近著に『天皇への道』(講談社文庫)がある元読売新聞宮内庁担当記者の吉田伸弥さん。
第2次世界大戦の終結からまだ8年。反日感情が各国に強く残るなか、昭和天皇のご名代として、イギリスのエリザベス女王の戴冠式に参列するために、船旅で欧米諸国を訪問された陛下─。
「当時は日本人が外国に行くこと自体がたいへんな経験でした。そんな中、19歳の若さで6か月の外遊を経験したことで、世界を見る目、人を見る目、そして歴史を見る目を養われたと思います。
いろいろな外国の指導者や王室の人たちと直接言葉を交わし、食事を共にし、人間的な触れ合いを経験したことが大きいと思います。当時のそうそうたる人物が歓迎してくれました」
このご訪問が陛下にもたらした影響について、吉田さんが続ける。
「ロンドンでは戴冠式の前後に、女王への謁見や園遊会、晩餐会などがありました。これらへの出席を通じ、民主主義国家における王室のあり方、英王室の歴史と伝統を学ばれたと思います。
街の中をわずかの随員を連れて自由に歩き、洋傘やネクタイを自分で金を払って買うという日本ではできなかった貴重な経験もしました」
それから60年後の’12年。心臓の冠動脈バイパス手術をした直後の陛下が、女王の即位60周年記念式典のために、ロンドンまで駆けつけられたことは記憶に新しい。
そんな海外での経験を、未来の皇室を担う愛子さまや秋篠宮ご夫妻の長男・悠仁さまも経験されることになるはずだが─。
「ご意思があるならできるだけ早い時期に、外国での生活を経験されたほうがいいと思います」
と指摘をするのは、前出の山下さん。
「先日、陛下の『生前退位』の報道がありましたが、もしその方向に向かえば、皇太子殿下、秋篠宮殿下の公務の内容が変わってくるでしょう。
皇族の数の減少の問題もありますので、未成年皇族や就学中の皇族の"学業優先"をよしとする考え方が変わるかもしれません。留学どころか、大学に通うことすら難しくなる可能性があるのです」(山下さん)
今後、愛子さまや悠仁さまに公務の多くが分担されると、成年皇族になる前からおふたりが公的活動に忙殺されるかもしれないのだ。