藤原竜也の“耐え忍ぶ”リアクションが秀逸
容姿端麗、頭脳明晰、仕事も順調で恋人との結婚が決まった男が、ある日突然、不幸のどん底に叩き落とされる─。先の展開がまったく読めないミステリーに注目。
「今までの日本の連続ドラマにないテイストの、挑戦的な作品を作りたいと考えたのが始まりでした。今の幸せは本物なのか、ナンバリングされる不安やデータ社会とか、自分が生きている世界がどこまで本当で、どこから嘘なのかを描きたいと思ったんです」(鈴木亜希乃プロデューサー)
アガサ・クリスティーの名作『そして誰もいなくなった』が原作かと思いきや、オリジナル作品だ。
「読点が入っているでしょう?(笑)。本作がどういう物語なのか、ミステリーでありサスペンスであることを一発で表現でき、認知してもらうとっかかりになればと期待して、つけました」
主人公の藤堂新一役は、“この人しかいない”と、藤原竜也にラブコールした。
「いちばん不幸な顔を見たかったというか、藤原さんの役者としての“壮絶な人生”(映画『デスノート』や『カイジ』での演技)にぜひ加えていただきたいと思いました(笑)。いろんなことが起きる新一が、耐え忍ぶリアクションは本当に素晴らしく、藤原さんでなければ成立しなかったと痛感しています。
ほかの登場人物は、全員が怪しく、二面性を持たせたかった。『マッサン』の爽やかなイメージの玉山鉄二さんが何を考えているのかわからないクールなエリート、個性的な役の多かった二階堂ふみさんが清純な婚約者というように、みなさん、ギャップのある役柄にこだわってキャスティングしました」
優秀な研究者の新一は、結婚を決めた恋人・早苗(二階堂ふみ)を母(黒木瞳)に紹介、すべてが順調だった。ところが会社から突然、国民に割り振られた「パーソナル・ナンバー」が、数日前に婦女暴行事件で逮捕された同姓同名の男のものだと言われ、偽者と疑われる。
すべての自分のデータを失い、身元不明の存在となった新一。カード類は使えなくなり「パーソナル・ナンバー」がないため早苗との結婚も不可能に。
一体、誰が何のために? 偽の藤堂新一らの動きも気になるが、大学時代の恋人(ミムラ)、友人(今野浩喜)が相次いで亡くなり新一は、パニックに陥る。
第5話(8月14日放送)では、謎の白い部屋で目覚めた新一が、貼り紙に書かれた問題を解き明かし、最後にたどり着いた部屋のスピーカーからは、新一が信頼していた人々の声が聞こえてきて─。
「第5話は、これまで新一が生きてきた世界の集大成、第1章のクライマックスともいえます。6話からは、第2章が始まります」
“ザッツ・兄貴”で結束“次は自分か?”と予想
撮影現場は、キャストにもスタッフにも気配りが行き届いた藤原座長が引っ張っているという。
「まさに藤原さんは“ザッツ・兄貴”という感じ。みんなが藤原さんに恥をかかせられない、頑張ろうという気持ちです。何人かは本気で惚れていますね(笑)」
和やかムードの現場だが、こんなエピソードも。
「ミムラさんには事前にお伝えしていたのですが、死ぬことを知らなかったキャストの方は、ガク然。この先は、誰がどうなるかはお知らせしていないので、脚本があがってくるまでわかりません。みんな“次は自分か?”と予想しています」
新一を陥れた犯人は誰なのか。さまざまに張りめぐらされた伏線と、そして、誰がどこで“いなくなる”のか、要チェックだ。
「みんなが怪しく描かれ、不幸なのにワクワク感があるドラマになっています。新一が確実に狙われているので、まさかの“主人公、死す!”もありえます。今後、新一がどうなるのか注目してください」