芸能人には「権力」があるわけではない
ローラさんの件に限らず、最近では男性スターの熱愛が発覚したとき、ファンの女性たちは、交際相手の女性に攻撃の矛先を向けるケースが多く見受けられますよね。今回は、その流れを受けてローラさんのInstagramが炎上してしまったみたいだけど、彼女はSNS上のコメント欄に寄せられた誹謗中傷の数々をひとりで受け止めることになってしまいました。
そもそも、芸能人のSNSアカウントって勝手にフォロワーが増えてしまうんです。そんななかで、何人もの心無い匿名ユーザーから悪口だったり、いわれのない中傷を一方的に受けているときって、私たちからしてみれば袋叩きをされているような状態なんですよ。なぜならば相手が見えないから。
政府機関だったり議員さんたちは、税金をもらって働いていますし、人から選ばれています。そして、世の中の制度を変えるだけの「権力」を持っているから、そんな彼らの言動に対して一般市民が不正を糾弾する手段としてSNSを使って抗議するのはアリだと思います。そして、彼らにはそれを受け入れる義務だったり、説明責任があると思うんです。
ただし、政治家さんと同じく影響力があるからといって、タレントにその義務を課すのは違います。私たちタレントは、制度やルールを変える立場にないのですから、自由に発言したところで、それらの権限をもつ側と同じ責任を負う必要はないのです。
タレントが社会問題や事件について自由に発言したことに対して、それが影響力を持つからといって「慎重に発言すべきだ」と非難するのは間違っています。タレントの発言に影響される側のリテラシーの問題ですから。
応援するも勝手、嫌いになるのも勝手、私たちは人気商売ですから人気がなくなればフェイドアウトしていく、タレントはそれを自覚して活動しています。
だから、タレントが心無いコメントを寄せたユーザーをブロックするのもまた自由です。ローラさんはブロックしたことまで責められ、謝っていましたけど、謝る必要なんてありませんよ。後ろめたさを感じずブロックしたらいいんですよ。
ブロック魔と呼ばれて
どうやら、私は一部の人たちから"ブロック魔"と呼ばれているみたいだけど「匿名の多」対「個」というバランスの悪い状況下でSNSをやっている以上、対処法はブロックしかないわけ。
いわゆるエゴサーチもしますから、少しでも不快に思ったらブロック。意地悪な形での指摘や、面倒だなと思ったユーザーに対してもブロック。逃げではなく、不快な書き込みをするユーザーさんに私が発信する情報を見てもらいたくないという意思の現れです。私はこれからもどんどんブロックしますよ(笑い)。
ブロックすることがバッサリできなかったり、炎上することへの耐性がないならば、芸能人はSNSはやらないほうが良いとすら思う。誰だって傷つくのは嫌だし、朝起きて自分に向けられた“死ね”という言葉が目に飛び込んでくるのは精神的に堪えますよ。
SNSは、今まで一方通行でしか表現できなかった芸能人が、直接ファンとやりとりできたり、思ったことを言えるという点でも、非常に優れたツールだと思う。
今回のケース、そしてこれまでも多くあったと思うけど、一部の中傷コメントによって、そうしたせっかくの表現できる場を奪ってしまうのは、もったいないことだと思うけどね。また昔のように、タレントさんとは交流もなく常に大きなメディアから情報を一方通行に発信するというスタイルが戻ってきてしまいますよ。ファンだって、そうした昔のスタイルをもう望んでいないはずなのに。
《構成・文/岸沙織》