シルバー世代の“恋愛”“結婚”を描いた映画『後妻業の女』で、男を騙す詐欺師のペアを演じているふたりに、高齢者の婚活事情について語ってもらった。
大竹「後妻業って、もともとあった言葉なのかな? 私知らなかったから、すごい“仕事”だなって」
豊川「(原作の)黒川さんが作った言葉ではないみたい。もともとあるみたいだね。殺人までいっちゃうと問題だけど、『後妻業』という仕事も必要悪としてあっていいのかな、と思っちゃいました(笑)」
大竹「いちばん幸せなのは若いときに結婚して、いろんなことを乗り越えて、一緒に過去を振り返られることなんでしょうけどね……」
大竹「昔だと“いい年して恥ずかしい”というのがありましたよね。ただ、今は寿命が延びているから、感覚も違うだろうし……。やっぱり誰かのそばにいたいというのはあると思いますよ。私は母も子どもも一緒にいるから、寂しさはそんなにありませんけどね」
豊川「そうだね。愛人クラブとは違って、男性のほうは真剣に妻を求めているわけだからね。これからの時代は、高齢者でも愛とか恋とか性に身を置くべき時代だと思うし、実際そうなっていく気がしますね。
そのうち、世代別のFacebookとかができて、70代以上専用のページとかね(笑)。そこで友達申請をして知り合いになって……、なんてとても素敵なことじゃないですか」
大竹「朝起きて働いて、夕飯を食べて1日が終わったときに、“今日はこんな日だったんだよ”って話すパートナーがいるのといないのではだいぶ違うな、とは思います。そんな大切な日常を一緒に繰り返すことができる人がいるのは、すごく幸せなんだなと。
あれ、私、今が不幸せみたいじゃないですか(笑)。幸せを探そうかな……、Facebookに登録して(笑)」
豊川「でも、出会うときは出会うよね」
そう助け船を出した豊川。
大竹「私は普通の結婚も失敗しているし(笑)。やっぱりシルバー世代の結婚には、経済力は大きいと思いますよ。でも、それ以上に趣味が同じとか、例えば一緒に畑仕事をしていたら楽しいね、とか同じ感覚を共有できるのも幸せだと思います」
豊川「結婚は勢い、って言うけど、若者と高齢者では勢いのスピードが違うような気がしますけどね。精いっぱい走っていてもゆっくりにしか見えないかもしれないし(笑)。でも、大竹さんが言っているように、お互いに趣味でも何でも共通項があったほうがいいとは思いますね」
作中では、豊川が演じる柏木亨が経営する結婚相談所に登録し、彼と裏で手を組んでいる武内小夜子を演じている大竹。
大竹「柏木のあのうさんくささは、誰もマネができないと思えるくらい(笑)。スーツとか、手に持っているセカンドバッグとかね。よくぞここまでやってくれたというくらい、豊川さんがやっているんですよ。本当にその存在感が面白かったです」
豊川「いやいや(笑)。男を手のひらで転がす、大竹さんの手練れっぷりはすごいですよ。いろんな意味で小悪魔的というか、とてもチャーミングで、わかっていても騙されるだろうな、と」
【出演情報】
映画『後妻業の女』
中瀬耕造(津川雅彦)は柏木(豊川悦司)が経営する結婚相談所主宰のパーティーで小夜子(大竹しのぶ)と知り合って結婚。2年後、耕造は死去するが、小夜子の手には全財産を受け継ぐという遺言公正証書があった。耕造の死に不審を抱いた娘・朋美(尾野真千子)と尚子(長谷川京子)は探偵を雇い、調査を始めると……。8月27日全国東宝系にてロードショー。