国民的人気を博す朝ドラ『とと姉ちゃん』でヒロインを演じている高畑充希と、作品ごとにエッジの効いた存在感を発揮し“若き実力派”として一目置かれる門脇麦が、小学生の女の子と男の子になって恋をする! ミュージカル『わたしは真悟』は、楳図かずおの長編SFコミックが原作。ノリにノッてるふたりに意気込みを聞きました。
高畑「朝ドラが終わって最初にチャレンジする仕事なので、なにか変わったことをやりたいと思っていました。私の役は小学生の女の子ですけど、麦ちゃんが男の子を演じることも含めて、なんて完成が想像できないお話なんだろうと。“一か八か”な感じがとっても素敵だな、って(笑)。この作品への好奇心がとまりません」
門脇「私は初めてのミュージカルですが、失うものは何もないというか、すべてがチャレンジで、不安にすらならない(笑)。男の子を演じるのもそう。小学生の男の子って、大人の男の人とはまた違う、未完成の生物だと思うので」
──役柄は最初、充希ちゃんのほうが男の子かと思いました。
高畑「あ、ずっと(舞台で)『ピーターパン』をやっていたからかもしれません。ピーターパンは、クラスで一番モテる男の子みたいなイメージで。女の子の目を当時はいつも意識していました。だから、やってるときは女の子にだけですけど、かなりモテましたよ。(共演の)ウェンディをどうやってオトそうか、って(笑)」
門脇「アハハハ(笑)」
高畑「それは気にしてやっていました」
──麦ちゃんはどう男の子を演じますか?
門脇「自分にも男っぽい要素はありますし、ふだんから色気がない色気がないと言われ続けているので、色気を排除して頑張りたいと思います(笑)。それとフィジカル。身体でうまく表現できたら面白いなぁと。私、カラダ主義なので。まず身体がフィットすると、いろいろ定まってくる感じです」
──劇中では小学生同士の激しい恋が描かれますが。
高畑「小学生のころの恋愛ってすごく幼くて“カッコいい!”とか“両思い!”とか。それで完結していた気がします。愛し合うとか、相手からのレスポンスに返していくとか、そういう発想までたどりつかなくて。愛し合うことと小学生であることが、相いれない。だから“どうしたらいいんだろう。難しいね”って(麦ちゃんと)話しています」
門脇「私も今、この年齢になっても“人を真剣に愛したことありますか?”って聞かれたらわからない。“ハイ!”って言う自信がない。それくらい、何をもって“愛し合う”っていうのか難しいから。しかも小学生で……って。もしかしたら今自分が思っているのとは違う意味の“愛し合う”が存在するのかなって思ったりしています」
門脇「ひたすら男の子と」高畑「私は活字中毒の一匹狼」
──ところで小学生時代、ふたりはどんな子どもでした?
門脇「ひたすら男の子と遊んでいました。運動が好きで足も速かったので、(鬼ごっこの)ドロ警とか、ドッジボールとか。運動神経がいいと人気者になれる。それを楽しんでいました(笑)」
高畑「私は活字中毒で、駅のホームで本を読みながら歩いていて怒られるみたいな、危ない子でしたね。あと、一匹狼でした。もちろん友達はいたし、今も仲のいい子はいるけど、群れるってことが苦手で。マイワールドにひたっていました」
──そのころから、舞台はよく見ていました?
高畑「うーん。たくさん見ていました。舞台に出たいっていう夢だけは、ずっとあったので。麦ちゃんはバレエだっけ?」
門脇「ずっとバレエですね。小学生のときは寝ても覚めてもバレエのことしか考えていなかった。朝起きたらまずバレエ。寝る前もバレエ。寝るときも開脚して寝たり」
高畑「本当!?」
門脇「うん。開脚しながら(上半身を)ベターッとついて寝たり」
高畑「今もベターッてつく?」
門脇「もう駄目。スジが……。鼠蹊(そけい)部が痛くてトシを感じる(笑)」
高畑「早い(笑)」
──あらためて、ふたりにとって舞台の魅力とは?
門脇「何だろうな。でも、いかに自分ができないか、というのをまざまざと感じる時間のような気がします」
高畑「めっちゃわかる」
門脇「映像はそのシーンを撮ってOKが出たら終わりで、次のシーンのことを考えたほうが作品のためだけど、舞台はずっと繰り返すもの。また次の日もやるものじゃないですか。常に探求し続けなければならないので、それは映像にはない面白さですよね」
高畑「そうだよね。飽きるってことはないかもしれない。もちろん、毎日同じ場所から同じタイミングで出なきゃいけないとか、劇場に通うことに飽きちゃうことはあるんですけど(笑)。でも毎回、相手やお客さんの反応が変わって。いつでもそれを楽しんでいられたらな、って思います」
門脇「特に今回は、いろんな想像とか予測をぜんぶ超えていく舞台になると思うし。みんなの知恵なり、役者の身体なりを使って“何かやってみよう!”みたいな気持ちがすごく強いカンパニーになると思うので、そこに柔軟にフレキシブルに乗っかっていきたいなぁと。頑張ります!」
高畑「映像でしか私たちのことを知らない方も、私たちが身体表現したり、歌ったりするのを生で見ていただける貴重な機会。いろんな方に見てほしいです。そして、とにかく私は麦ちゃんを愛していたいな、と。嫌がられるくらい愛したいと思います!」
【作品情報】
◎ミュージカル『わたしは真悟』
真鈴(高畑)と悟(門脇)の愛が引き裂かれそうになったとき、命がけの逃避行の末に、2人の遊び相手だった無機質な産業用ロボットのアームに自我が芽生える。 両親の名前から1文字ずつをとって自らを「真悟」と名乗ったロボットは、2人を助けるために人知を超えた進化を始めて―。
原作:楳図かずお『わたしは真悟』(小学館刊)
脚本:谷賢一 音楽:トクマルシューゴ/阿部海太郎 歌詞:青葉市子
演出・振付:フィリップ・ドゥクフレ 演出協力:白井晃
[プレビュー公演]KAAT神奈川芸術劇場〈ホール〉12月2日~3日
[東京公演]新国立劇場 中劇場 2017年1月8日~26日
※浜松・富山・京都でも公演あり
★チケット発売中
ホリプロチケットセンター 03-3490-4949
ホリプロオンラインチケット http://hpot.jp (PC・携帯)
おまけトーク
■写真で夏を満喫
──夏、満喫していますか?
高畑「うーん……。いろんな人から花火の動画は送られてきます。(撮影続きで)見られないだろう、かわいそうにって。でも、母親から送られてきたのはすごく撮り方が下手で笑っちゃいました」
門脇「ウハハ(笑)」
高畑「毎年、浴衣を着て花火大会に行くのと、花火を自分でやるのと、スイカを食べるのはちゃんとやっていたんですけど、今年は1個もできていない」
門脇「私はそういう意味ではビアガーデンも行ったし、スイカも食べましたね。花火はそんなに興味がない(笑)。あとは、毎年家族で海に行ってシュノーケリングとかしていたんですが、今年は仕事で行けなくて、両親だけ行ったんですよ。その写真が撮影の現場中に1時間にいっぺんくらい送られてきました。それでちょっと満喫したくらいです」
■電車内でナンパも
『とと姉ちゃん』が絶好調。いまや“大ブレイク!”を実感している高畑と思いきや……。
高畑「ずっと撮影でNHKから出ていないので、正直あんまりわからないです(笑)。ただ、駅とかでふと見たら、自分が出ている広告があったりすると不思議な感覚になります」
──今も電車に乗るの?
高畑「乗ります。休日は電車移動が多いです。先日ナンパされたりも(笑)」
門脇「本当ですか?」
高畑「うん、ホント。声かけられて、連絡先を渡されて」
門脇「エー」
高畑「私もまだまだだ、頑張らなきゃ、と思いました(笑)」
―麦ちゃんはナンパとかは?
門脇「ありますね。さすがに電車ではなかったですけど、街ではときどき。明らかに(渋谷の)109が後ろにあるくらいのところで“109どこですか”とか、“連れてってよ”とか」
高畑「チャラいね、それ。チャラい(笑)」
門脇「無視した気がします(笑)。私、仕事でちゃんとしなきゃいけないとき以外は、寝ぐせボサボサのまんまでマスクして歩いているので、よくもまぁ声をかけたなぁと思いました(笑)」