撮影もすべて終わり、いよいよエピローグへと向かう『とと姉ちゃん』。“今”だから語れるあんな話やこんな話を、ヒロイン・常子を演じている高畑に語ってもらいました。
「朝ドラのヒロインをやって、ドラマの真ん中に立つことの“極意”みたいなものをいろんな人に教えてもらえたと思います」
まずは、見ているほうも胸がキュンとする、星野(坂口健太郎)との恋愛話。意外な出会いから“昔の恋”に火がついたけど?
「実は、星野さんが戻ってくることは最初から知っていたんです。20週目くらいから再登場するとは聞いていたんですけど、まさか子持ちで帰ってくるとは思ってもいませんでした。別れ方も別れ方だったけど、再会の状況も、本人より前に彼の子どもと会うというのにはちょっと……(笑)
高畑充希とすれば、坂口さんと撮影でお会いしていなかったのは短期間だけど、常子にしてみれば15年間会っていなかったわけですよね。私自身15年前といえば小学生のときだし……、そうやって置き換えると初恋とかも遠い昔のことで、もっと感覚として薄れていていいのかもしれないなって」
再会した星野は、植物学者の道を諦め、会社員として働いている。
「切ないんです。ある意味、常子は夢を叶えていて、星野さんは夢を諦めているじゃないですか。それでなくても星野さんとのシーンは苦しいシーンが多いんです。
彼の子どものため、家に手伝いに2か月行ったあと、星野さんの仕事が一段落してお手伝いが必要なくなったとき、最後に(お礼の)お金を渡されるとか。女心からすれば、かなりキツイ。“そんなつもりじゃないのに”って。あのシーンの撮影があった日は、傷ついて家に帰りました(笑)」
唐沢寿明の勢いにタジタジだった
再登場した坂口との重要なシーンは、彼のスケジュールの都合で3日間ほどで集中して撮影。その間、出番がなかった“魂のパートナー”花山伊佐次役の唐沢寿明は元気を十分に補充して現場入り。高畑は、その唐沢の勢いにタジタジだったという。
「ひと言でいえば、星野さんは“癒し”で、花山さんは“刺激”ですね。恋愛感情は絶対に星野さんだけど、花山さんとの結びつきは本当に強いです。
花山さんは考えや発想のきっかけをくれる人だし、日常を乱してくれる人だと思うんです。そういった刺激に疲れたときに癒してくれるのが星野さん。もしかしたら、常子はどちらかだけだと物足りないのかもしれないですね。
彼女はバイタリティーがある人だから、乱してもほしいし、癒してももらいたい。そのふたつが花山さんと星野さんというキャラクターに分かれている気がします」
雑誌『あなたの暮し』では、商品試験の記事が話題になり、会社も大きくなってきた。
「石けん、アイロン、トースター……。いろいろやってきましたね。トースターのときはセリフで“1460枚焼き上がりました!”というのがあるんですけど、自分で言っておきながら感動しました。
何かを最初に始めるのは、周りからネガティブなことも言われ、反感も買うだろうけど、やり続けないと新しい道は開けないんだな、って。花山さんも常子もカッコいいですよね。貫くってカッコいいなって」
終盤、常子の天敵・赤羽根となるのが『あまちゃん』以来の朝ドラ出演となる古田新太。“完全悪”として描かれる彼について、
「赤羽根さんには、こんなに頑張っているのに、すごい邪魔されています(笑)。古田さんとは去年、舞台『いやおうなしに』で親子だったんですけど、今回はまさかの敵役。衣装合わせのときにお会いしたら“つぶしてやるよ”って(笑)」
気持ち的には“おばちゃん”
小橋家一家を中心に描いてきた『とと姉ちゃん』。次女の鞠子(相楽樹)も嫁入りし、娘が誕生。“とと姉おばちゃん”になった気分はいかが?
「映像で見たとき、“おばちゃん”という年齢に見えないかもしれませんが、気持ち的には“おばちゃん”と呼ばれることに違和感がないんです。子役ちゃんたちに、普通におばちゃんと呼ばれていますし(笑)。
常子が50代とかになったとき、もちろん見た目は追いつかないけど、感覚としてはその年齢につながる部分はあると思っています」
朝ドラヒロインを演じたことで自分も大きく変わったと思う?
「何も変わっていないということは絶対にないと思います。私自身、ドラマで主役を演じることが初めてだったので、いっぱい失敗をして、いろいろな経験をさせていただいて。こんなに時間をかけて教えてもらえることってなかなかないので、初主演が朝ドラでよかったな、って。すごく恵まれていますよね」