3・11の余震は100年以上続く
三陸沖で地震が頻発している。8月20日から24日までのわずか4日間でマグニチュード5以上の地震が6回を数え、茨城県や千葉県をはじめ関東圏でも揺れが目立つ。これは、さらなる大地震の前触れだろうか?
「実際、次に大地震がどこを襲うか本当にわからない。南海トラフかもしれないし首都圏の近くかもしれない。日本じゅうどこにも安心な場所はありません」
地震学の権威である島村英紀武蔵野学院大学特任教授は、そう言って憂える。
下の図のとおり、日本列島は太平洋プレート、北米プレート、ユーラシアプレート、フィリピン海プレートがひしめき合う、世界でも稀な地震多発地帯だ。
プレート同士が巨大なエネルギーで押し合い、もう一方のプレートが潜り込み、それで生じたゆがみを解放しようと地面を揺らす。3・11はそうして起きた。
島村特任教授が目下注目するのは、『アウターライズ』地震だ。
「3・11と組みになって起こる地震で、東日本大震災で断層が破壊されたことにより太平洋プレートそのものが割れて発生します」
大きな地震が起きてエネルギーがなくなり、当分は大地震がない─。そんな従来の見立ては、最近の研究で否定されているという。
「3・11はM9・0ですから、余震は100年以上続くと思います」
という島村特任教授が新たな危険地帯と身構えるのは首都圏直下型地震。
普通は太平洋沖でしか起きないM8クラスの海溝型地震が
1360万人もの生活者の真下で、熊本地震のような内陸型直下型地震は、発生時期がまったくわからないという恐怖とともに息を潜める。
「普通は太平洋沖でしか起きない海溝型地震が関東大震災(1923年)、元禄関東地震(1703年)も人が住んでいる下で起きた。M8クラスの地震が直下型として起きる地理的な理由が首都圏と静岡県・清水の下にある。首都直下では、東京23区の東半分すべてが震度7ということがありうるかもしれない」
そう警鐘を鳴らし、揺れと同時に津波にさらされる首都圏のもろさを説明する。
「東京湾の嫌なところは、数十センチの津波が起きたとしても、その被害が非常に大きいところ。東京湾の9割以上は人工海岸で、コンビナートや火力発電所、港など、津波に弱いものがみんな海岸沿いにある。数十センチでもやられてしまう」