映画『だれかの木琴』で、池松壮亮が常盤貴子演じる主婦から、行きすぎた好意=ストーカーを受ける美容師役を熱演! 

映画『だれかの木琴』に出演する池松壮亮 撮影/伊藤和幸

「常盤(貴子)さんの髪は、実際に僕が切ってるんです。自分より周りのほうがドキドキしていたみたいで、僕はその緊張感を逆に楽しんでました」

 実は今回の作品を手がけた東陽一監督との最初の出会いは、日大芸術学部の映画学科在学当時に受けた授業。いつもは落ち着いたトーンで話す池松も、当時のことを興奮ぎみに振り返る。

「大きなスクリーンで映画を見て感想を書くという授業で、3回くらいしか出てなかったんですが(笑)、たまたま監督の『絵の中のぼくの村』という作品が流れたんです。

 そのとき、すごく衝撃を受けて“誰だ、これを作ったのは!”って思って。調べたら東監督だったんですよ。それからです、“なんとか一緒に仕事をしたい”って思い始めたのは」

 念願だった東監督作品に出演することが決まり“夢が叶った”と池松。東監督は『もう頬づえはつかない』(桃井かおり)、『化身』(黒木瞳)をはじめ女性映画の旗手として名高く、名誉ある賞を多く受賞した『橋のない川』など、数々の名作を生み出してきた。

「憧れの監督で会いたくても会えないと思っていたので、実際にお会いしたときは“実在するんだ”って思いました(笑)。

 そんな東監督の作品に出演するにあたって、いつも役に入るときは“自分でやるんで大丈夫です”って勝手にやりがちなんですが、今回はあの東監督だし “全部預けてみよう”と。俳優としてのモチベーションも上がりました」

「挑戦的なところに惹かれてしまう」

「僕も人生をかけて俳優をやっているので、何か挑戦的なところに惹かれてしまうんです」と話す池松壮亮 撮影/伊藤和幸

 池松といえば、これまでさまざまなジャンルの作品に出演。肉欲を満たすためだけに集まった男女を描いた『愛の渦』、市川由衣との濡れ場が話題となった『海を感じる時』、怖すぎる殺人鬼を演じた『MOZU』など、何かと強烈な役が多い。

「挑発するのもよくないし挑発もされたくないんですが、“こんな作品があるけど”ってすごい作品を出されると“来たな~”って、ついのっちゃうんです。僕も人生をかけて俳優をやっているので、何か挑戦的なところに惹かれてしまうんです」

 今年だけでも公開される出演映画は9本! 超多忙で、身体は大丈夫なのだろうか?

「それが結構休んでるんです。何なら休みすぎっていうくらい。撮影が短期間なものも多くて。休みの日は、だいたい家にいますね。DVD見るか、本読むか、寝てるか。外に出ても映画館か喫茶店くらいかな」

池松的恋愛観とは? 一問一答

「自分と似てるタイプを好きになるほう」と言う池松壮亮 撮影/伊藤和幸

――出演作では宮沢りえや寺島しのぶ、そして今回も常盤貴子と“年上キラー”を演じてきたけど、プライベートでも年上が好き……?

「いや、年上か年下かは関係ないです。でも僕は福岡生まれ福岡育ちっていうのもあって、東京の人には“古くさい”って言われるんですけど、やっぱりどこか“古くからの女性らしさ”みたいなものは求めてしまいますね」

――役柄的に“闇”がある人が好きなのかと思い込んでました(笑)。

「闇なんて持っててほしくないです! でもみんな闇は持ってますからね。欠落があるくらいのほうがいいかもしれません」

――好きな女性の髪型は?

「それ聞かれたの初めて(笑)。似合ってれば何でもいいんですけど、年間7割くらいは長いほうが好きです!」

――好きになるのは自分と似たタイプ? 逆のタイプ?

「似てるタイプを好きになるほうだと思います」

――ケンカしたりもするの?

「もちろん。僕も人間ですから! ケンカをしかけてくる人も嫌いじゃないです」

――追いかける派? 追いかけられたい派?

「自分から追いかけることはほとんどないですね。自分の中で優先順位があって、その1番に女の人が入ってこないからいろんな問題が起きるんだと思います」

<作品情報>
◎映画『だれかの木琴』
夫と娘とともに引っ越してきた主婦の小夜子(常盤貴子)は、新しく見つけた美容院を訪れ、そこで担当となった美容師・山田海斗(池松壮亮)に髪を切ってもらう。その後、山田から“営業メール”を受け取った小夜子。思わず返信をしてしまう彼女だったが、そこから小夜子の中で何かが変わり始め――。9月10日(土)全国ロードショー