古舘プロジェクト所属の鮫肌文殊、山名宏和、樋口卓治という3人の現役バリバリの放送作家が、日々の仕事の中で見聞きした今旬なタレントから裏方まで、TV業界の偉人、怪人、変人の皆さんを毎回1人ピックアップ。勝手に称えまくって表彰していきます。第4回は鮫肌文殊が担当します。

登坂絵莉 様

 今回、私が勝手に表彰するのは、女子レスリング48キロ級金メダリスト、登坂絵莉さんである。日本選手団がメダルを獲りまくってガンガンに盛り上がったリオ五輪の中でも、八重歯の可愛い新チャンプの鮮烈すぎる活躍っぷりは凄かった。

リオ五輪女子レスリング48キロ級金メダリスト・登坂絵莉の秘めたる能力とは 撮影/高梨俊浩

 彼女の場合、金メダルを獲って凱旋してからも、幾多のスポーツトークバラエティー番組でレスリング以上に大活躍。その天然キャラを中居正広や上田晋也をはじめ超一流の司会者にイジり倒されて今や大人気だ。

 実は遡ること9か月前、この登坂絵莉さんをバラエティーでちゃんと使ったのは私が構成に参加する番組がおそらく初めて。日本で一番早かったと思う。

『正しくお参り!バッチリ開運!やしろツアーズ2』(東海テレビ)というその特番。神社仏閣に詳しいロンブー淳先生のもと、正しいお参りの仕方を学んで幸せをつかみたいタレントの皆さんが実際のおやしろに出向く。

 勝負の神様、鎌倉の鶴岡八幡宮で願掛けロケをすることが決まり、構成会議の席上で誰をブッキングするかの議論になった。やはり勝負といえばオリンピックだろうという話になり、すぐに吉田沙保里さんの名前があがった。

「じゃあ、もう一人は登坂絵莉ちゃんがいいよ」

 スポーツに詳しい後輩作家が推した。

「登坂絵莉、誰だよそれ?」

 失礼な話だが、当時の我々は登坂ちゃんに対してその程度の認識。後輩作家によれば『情熱大陸』(MBS)で特集され、霊長類最強女子・吉田沙保里が「私の跡を継ぐのはこの娘」とまるで本当の妹のように超可愛いがっている大注目の選手だという。

「じゃあ、とりあえず呼んでみっか」

 軽い気持ちでブッキング。

 しかーし! いざロケをやってみたら持ち前の天然キャラが爆発、担当ディレクターが「登坂ちゃんが大活躍したんだよ!」とコーフン気味でロケから帰ってきた。

 八幡宮の看板に描いてある鳩をアヒルと勘違いしたり、バラエティー的にはバッチリなボケ発言を連発したのだ。

 我々スタッフはそのロケを受けて「来年、リオ五輪で金メダルを獲ったら絶対に登坂フィーバーが巻き起こってスポーツバラエティーで引っ張りだこになるに違いない」と言っていた。お参りが効いたのか、彼女は見事、金メダルを獲得。我々の予想通りの人気者になった。

 今回はそんな登坂絵莉さんに「スポーツバラエティー久々の新女王誕生賞」を差し上げ勝手に表彰したいと思う。まだまだ秘めたる彼女の天然キャラなポテンシャル。バラエティー作家としてはレスリング以上に花開いてほしいと切に願っております!

【プロフィール】
◎鮫肌文殊(さめはだ・もんじゅ)
放送作家。’65年神戸生まれ。古舘プロジェクト所属。「世界の果てまでイッテQ!」など担当。渋谷オルガンバー「輝け!日本のレコード大将」(毎月第2金曜日)、恵比寿頭バー「歌謡曲主義」(毎月第3火曜日)などでの和モノDJ、関西伝説のカルトパンクバンド捕虜収容所のボーカリストなど音楽活動も数多い。