年を重ねるごとにオトナの艶っぽさが増す斎藤工。『運命に、似た恋』(NHK総合 金曜夜10時~)ではデザイナー・小沢勇凛(ユーリ)を好演中。
原田知世演じるシングルマザーの桜井香澄(カスミ)との運命にも似た出会いから恋に落ちていく純愛物語だ。
「実際の恋愛って、電撃が走るとかそういうものではなく、気がつけば忘れられないみたいな、心の奥の核心的な意識がものをいうんだと思います。
だから、外見だけでジャッジしたり、変に駆け引きをしたりしているのは、恋愛ごっこなんじゃないかなって。35年生きてそう思うようになりました(笑)。
知世さんとは初共演。往年の角川映画ファンでもあるので、スクリーンの中の知世さんは特別な存在ですし、陽だまりのような方でした。
あと非常に虫が苦手のようです。知世さんが奇妙な声を上げたときは、“あっ、虫がいるな”ってわかるくらい。終始かわいらしいし、知世さんと虫の関係性が非常に興味深い現場でした(笑)」
北川作品は時代のアイコン
脚本は『愛していると言ってくれ』や『ロングバケーション』などを手がけた“ラブストーリーの神様”北川悦吏子。NHKではこれが初執筆となる。
「僕は小学校までシュタイナー教育(ルドルフ・シュタイナーがドイツで始めた独自の教育思想)を受けていて、教育上テレビのない家で育ったんです。中学校で公立に移ってからですね、テレビが家にきたのは。同級生がテレビの話を朝するんです。
特に北川作品を放送していた時期は見た女子の反応がすごくて。この社会でやっていくには、ドラマを見て同じ情報を共有しないと生きていけないと学びました(笑)」
そこから、北川作品のファンに。
「北川さんの作品って、見ればその時代がわかるという、いわば“時代のアイコン”なんです。男女の恋愛だけではなく、その時代に起きていることを作品に落とし込んでいる。今やる意味や価値みたいなものが集約されている作品がすごく多いなって思います」
“運命”を感じるのはあの人
ドラマだけではなく、映画『blank13』で監督を務めるなど多忙な毎日で、気がつけば季節は秋になっていた。
「ドラマと自分の作品に集中していたので、仕事以外の記憶がほぼなくて(笑)。唯一、海にイカ釣りに行きました。食べ物で甲殻類が好きで、釣ったものをすぐ沖漬けに。家の冷凍庫にもまだ保存しています。
夜に出発する本格的なツアーだったんですが、暗闇に明かりをつけた船が何隻もいて、静寂の中で釣りをするその雰囲気がすごくドラマチックでした」
再び挑戦した監督業について聞くと、
「この夏、映画の監督をさせていただいて感じたのは、繰り返して何度も撮らないこと。ほぼテストをせずに撮影したんですが、そうすることで、役者も予想ができない展開が起きたり、本当の意味でのリアリティーある映像が撮れたんです。テストがないことでスタッフに迷惑をかけることもありましたが、ワクワクした現場でした」
そんな斎藤は、この人に“運命”を感じることがあるそう。
「この人には出会うんだろうなってあるじゃないですか。それが、EXILEのAKIRAさん。大河ドラマ『江〜姫たちの戦国〜』ではご一緒するシーンがなく交流はありませんでしたが、同じ作品に名前が並んでからの縁。AKIRAさんと僕は同い年で誕生日が1日違い。しかも、身長体重も全部一緒で、最近になって仲よくさせていただくようになりました」
取材した日もこんな偶然が。
「今朝、映画『HiGH&LOW THE RED RAIN』(10月8日公開)の試写会に行ったんです。見終わったあと、劇中ではご一緒はしてないんですけど、AKIRAさんの役と僕の役に勝手にシンパシーを感じて、“2人のキャラクターに裏ストーリーがあったら面白いのでは”と考えていたんです。そうしたら、たまたまAKIRAさんがいらっしゃっていたので、ご挨拶をしてこの話をしたら“同じことを考えていた”って。運命というか驚きましたし、不思議な体験でした」