気づいたらこのポーズ?
「学歴・頭のIQ」で、「仕事能力」は判断できない。仕事ができるかどうかは、「仕事のIQ」にかかっている。『世界中のエリートの働き方を1冊にまとめてみた』と『一流の育て方』(ミセス・パンプキンとの共著)が合わせて22万部突破の大ベストセラーになった「グローバルエリート」ことムーギー・キム氏。彼が2年半の歳月をかけて「仕事のIQの高め方」について完全に書き下ろした最新刊『最強の働き方――世界中の上司に怒られ、凄すぎる部下・同僚に学んだ77の教訓』は、アマゾンでも4日連続で総合1位を獲得するなど、早くも14万部を超える異例の大ベストセラーとなっている。本連載では、ムーギー氏が「世界中の上司に怒られ、凄すぎる部下・同僚に学んだ教訓」の数々を、『最強の働き方』を再編集しながら紹介していく。

一流の人は「休み方」もうまい

ムーギー・キム氏が2年半かけて書き下ろした「働き方」の教科書。一流の「基本」「自己管理」「心構え」「リーダーシップ」「自己実現」すべてが、この1冊で学べます。ムーギー・キム氏の講演会が開催決定!詳しくはこちらをご覧ください

「この人、急ぎの仕事もないのに、また週末も会社に来てるんか……。ほかにすること、ないんかいな……」

 世界中の職場で働いてきて感じるのは、仕事がデキる一流の人は押しなべて「週末の過ごし方もうまい」ということだ。

 頭はいいものの仕事がデキない二流の人に限って、平日はだらだら残業するし、急ぎの仕事がないのに週末も出社していたりする。

「この人、会社に住んでいるのでは?」と疑いたくなるほど、平日も週末も、四六時中会社で見かけるような人さえいる(実際に寝袋を持ち込んで、泊まり込んでいるような人も実在する)。

 一方、「激務」といわれるエリート業界の中でも、仕事で成果を上げている一流の人に限って、夕方までにきちんと仕事を仕上げ、さっさと帰っていく人もかなりいる。

 オフタイムや週末の過ごし方も一事が万事で、仕事がデキるかどうかの「仕事のIQ」は、オフの時間の使い方ひとつにもにじみ出てしまうものだ。

 では、いったい「一流と二流の人の週末の過ごし方」は何が違うのか。たかが休み方ひとつで、「二流の人のどんな恥ずかしい欠点」がバレてしまうのか。「二流の人の末路」とあわせて、早速、紹介しよう。

 まず週末の使い方でバレるのは、「人生の優先順位付けをきちんとできているか」だ。その中でも最も大切なのが、「家族の重要性をわかっており、そこにエネルギーと時間をきちんと費やせているか」どうかである。

「家庭の安定」なくして「仕事の出世」なし

【1】仕事の基盤でもある「家庭」を大切にしているか

当記事は「東洋経済オンライン」(運営:東洋経済新報社)の提供記事です

 一流の人は、なんといっても「家族へのコミット」も一流だ。私が見てきた世界中の一流の人は、誰もが「休日は家族と過ごす時間」と強く決めていた。

 確かに日頃は家に帰るのが遅く、家族と過ごす時間が少ない人は多い。海外出張が多く、家族の顔を見るのがままならないという人も大勢いる。

 あるいは、本当は仕事が早く終わっているのに「仕事の打ち合わせ」と称して、夜な夜な、高額のコリアンクラブに繰り出している人もいる。

「家庭の居心地が悪くて、帰りたくないのかな?」といぶかりたくもなるが、心配は無用だ。日頃どれだけ遊びほうけていても、「週末だけは家族に全力投球する時間」と胸に固く刻んでいる人が驚くほど多いのである。

 ある人は、週末は子どもの野球チームのコーチに全力を傾けている。またある人は、ほぼ全週末を子どもとのディズニーランドツアーに費やし、別の人は奥さんや旦那さんと必ずゆっくり食事をとるようにしている。

「家庭の安定なくして仕事の出世なし」とはよくいったものだが、一流の人は、仕事だけに注力して家庭を犠牲にするようなことはしないのだ(当然、諸々の事情でご家族がいない場合もあるだろう。ここでは、友人であろうが恋人であろうが「私的な生活で大切な人を、大切にする」というのが本質的なメッセージである)。

【2】「自分に合ったストレス解消法」があるか

 もうひとつ、週末の過ごし方でバレるのは、「自分に合ったストレス解消法」を見つけられているかどうかだ。

 言われてみれば、ストレスの多いいわゆるグローバルエリート企業で働く友人の中には、「スカイダイビング」や「スキューバダイビング」などを趣味にしている人が多い。「日常のストレス」が大きければ大きいほど、人はバランスを保つために「非日常な時間」を過ごして現実から逃避したがるのだろうか。

 某コンサルの東欧オフィスで働く友人、ガボン(33歳、身長2メートルの筋肉ムキムキ体型)の趣味は「スカイダイビング」で、「とにかく2週間以上空から飛び降りられないと、イライラして仕事にならないんだ」と話していた。

 

 スカイダイビングは怖いので私はやらないが、代わりに海に潜ってスキューバダイビングをするのが昔からの趣味である。同じ業界で働く友人の中にもスキューバダイビングフレンドは多い。

 なお私事で恐縮だが、私は魚や動物が大好きで、水族館や熱帯魚屋さん、マニアックなところでは「フクロウカフェ」に行って「カラフトフクロウ」に会いに行くのが趣味である。

 趣味の対象が何であろうと、平日に生まれるストレスを上手に発散する方法をきちんと確保できているかどうかは、長期的に心身ともに健康で働くために極めて重要である。

 ほかにも週末の使い方によってバレるのは、ジムやスポーツなど「運動をする習慣」である。とにかく一流の人たちは、健康管理にかける努力も超一流なのである。

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一流の人ほど、何事にもストイック

【3】「自己規律」および「集中力」「継続力」があるか

 私はいろいろな国のさまざまな職場で働いてきたが、皆、「ビジネスの世界を選ばずスポーツにキャリアを見いだしていたなら、オリンピックに出場していたに違いない」と思えるほど、走りが速いし何キロ走っても疲れない。

 私の元同僚の中にも、マラソンやテニスといったオーソドックスなものからトライアスロンや自転車競技というハードなもの、極真空手、太極拳、キックボクシングにレスリングといった、かなりハードなスポーツを趣味にしている人が多い。

「いい大学を出て、いい会社で働いているエリート」というと青白いオタッキーな姿を想像されるかもしれないが、海外の同僚を思い起こすと、WWE(米国の最大手プロレス団体)からすぐにデビューできそうなくらい、筋肉モリモリの人も多い。

 彼らがおカネをもっていそうだからといって、カツアゲしても十中八九、返り討ちにされるであろう。それほど彼らのスポーツへの情熱は、健康志向や趣味の世界を完全に超えているのだ。

 一流の人ほど、何をするにもストイックで徹底的だ。当初は趣味で始めたスポーツも、いつのまにかそこらへんのアスリートではかなわないレベルまで極めてしまう。

 時間があるときに運動やスポーツを規則正しく、一生懸命する習慣のある人は、仕事のパフォーマンスが高くなる蓋然性が高い。運動は「自己規律」および「集中力」「継続力」のあらわれであるとともに、仕事の生産性に必要な「健康への投資」でもあるからだ。

 頭のいい人が集まる職場ほど、逆説的だが「頭の良し悪し」では大きな差はつきにくい。しかし、その「フィジカルなインフラである肉体」では意外と大きな差がつくものなのである。

 では、一流の人に学ぶ「週末の使い方の秘訣」は何なのか。重要なポイントを2つに絞って解説しよう。

今日「仕事」がなくなったら、何をしますか?

【1】「ワークハード・プレイハード」が一流の基本

 

 本記事でも述べたように、仕事で成果を上げている人に限って、さっさと仕事を切り上げ、家族と過ごす時間、趣味に費やす時間を大切にしているものだ。

 あなたはくれぐれも、「帰っても暇だから」とダラダラ平日に残業したり、「やることがないから」といって週末にも出社するような二流の人になってはいけない。「ワークハード・プレイハード」が一流の人たちの共通点だと知ってほしい。

 私が尊敬する日本を代表するベンチャーキャピタリストであるTさんは、「休日のすべてを釣りに費やしているのでは?」と思うほど、フェイスブックが「釣りの写真」で埋まっている。美容整形外科医として大活躍している友人のOさんのSNSも、釣りの写真だらけだ。いま各業界で、「ストレス解消法としての釣り」が脚光を浴びているのだろうか。

 私は何も「成功している、デキる人ほど魚を釣っている」などと書いて、みなさんから炎上を釣りたいわけではない。

 ここで申し上げたいのは、仕事のストレスで崩れた自分の精神バランスを回復し、心身ともに健全な状態で月曜日からまた仕事に全力投球するためにも、好きなことで「プレイハード」な休日を送ることは、仕事の生産性を大いに左右する大切な習慣だということである。

【2】「仕事だけでリタイアした人の悲劇」を知る

 繰り返しになるが、一流の人ほど家族、趣味、運動にせよ「仕事以外の楽しみを大切にしている」ものだ。

 私の友人で、父親が東大の元教授だという人がいる。その元教授の研究分野を書くのは差し控えるが、その分野では世界的にも第一人者だった。しかし仕事ばかり打ち込んできたので趣味がなく、退官後はなんと「自宅のマンションの管理組合の役員」の仕事に精を出す毎日だというのだ。

 あなたは仕事の分野で「第一人者」と呼ばれるほど業績を上げているかもしれない。しかし、いずれ皆、退職し、「仕事以外の生きがい」を見いださなければならなくなる。そのときに情熱を傾けてやる仕事が何もないのは、あまりに寂しいではないか(誤解のないように言うと、マンションの管理組合の役員ももちろん立派な仕事だし、それがお好きな方は大いに管理してくだされば結構なのだが)。

「仕事が趣味で人生そのもの」という生き方も決して悪いわけではない。

 しかし、「仕事以外の楽しみ」を見つけられないまま定年を迎えれば、退職後、家族や友人から見放され、老後はマンションの管理組合の役員に毎回立候補するか、交代制なのに交代せずにその“閑職”に居座り続けようとする、それはそれは恐ろしい老後が待っているのだ。

(イラスト:岸 潤一)


《著者プロフィール》ムーギー・キム ◎1977年生まれ。「東洋経済オンライン」でフランス、シンガポールおよび上海での生活を書き綴った人気連載「グローバルエリートは見た! 」は年間3000万PVを集める超人気コラムに。 著書に、2冊ともベストセラーになった『世界中のエリートの働き方を1冊にまとめてみた』(東洋経済新報社)と『一流の育て方』(母親であるミセス・パンプキンとの共著、ダイヤモンド社)がある。『最強の働き方』の感想は著者公式サイトまで。