総務省が5年ごとに発表する2013年の住宅・土地統計調査によれば、全国の空き家総数は約820万戸。7軒に1軒が空き家、という事態になっているという。

25年後の空き家率は30~40%、日本はスラム化するという推計も

 ゴミが投棄されたり、ホームレスが違法に住みついたり、長年放置され続けたために倒壊の危機が迫る物件もあり、人口減少国家日本の、新たな社会問題になりつつある“空き家問題”。

 空き家の相談や管理サービスを行うNPO法人日本地主家主協会の手塚康弘理事長は、空き家がトラブルや犯罪の温床になると指摘する。

「依頼のあった空き家に月に1度訪問するサービスを行っていますが、空き家の近隣住民が、私たちが管理する空き家の庭に餌を置き、野良猫にあげていたことがあります。

 樹木が隣の家にまで越境し、トラブルになることも多い。草木が生い茂れば害虫が発生したりしますから。

 ほかには、商品詐欺の受け取り場所に空き家が指定されることもあります」

 誰も住んでいなくても、きちんと管理されていて問題の起きない物件もあるが、「管理されていない空き家が問題」と、地方自治を専門とする関東学院大学の出石稔教授は指摘する。

 高度成長期に各地に誕生したニュータウンはいまや高齢者の街になり、「売ります」の看板が立てかけられている戸建て物件は多い。それでも出石教授は、

「空き家を改装しシェアハウスとして活用したり、東京・文京区では空き家の撤去費用を区が持つかわりに区が20年間管理し、防災拠点にした例もあります。今後は民泊への利用も期待されます」

 と好例を明かすが、前出の手塚理事長は、

「都市部よりも田舎の過疎地域のほうが問題は深刻でどうやっても活用することができない場合もある」