NHK大河ドラマ『真田丸』で真田幸村の盟友・後藤又兵衛役でも話題沸騰中! 歯に衣着せぬ発言でバラエティー番組でも人気の哀川翔さん。

 Vシネマの重鎮、レーサー、カブトムシ愛好家……と、多岐にわたる活動で培った経験から、世間を騒がせる話題、現代人のさまざまな悩みをズバッと斬っていただきました!

「人生を変えるような巡りあわせは、誰でも均等にある」

人生訓をまとめた一冊『ブレずに生きれば道は拓ける! 一翔両断!!』を発売した哀川翔 撮影/SHIN ISHIKAWA(Sketch)

「別に秘訣なんてなくて、巡りあわせがよかっただけ。そのときそのとき、出会った人たちがすごくよかった。高校生のときは体育教師を目指していたのに、大学への願書の出し忘れでダメになって。次は“社長になりたい”って安易な気持ちで東京に出てきた(笑)。

 最初は路上パフォーマンスやっていたのが、歌をやらないかってところから始まって、ドラマやらないか、Vシネマやらないかって。全部、巡りあわせだから」

 役者としては、チンピラやヤクザなどの男くさい役柄の印象が強いが、いまやバラエティーでも独自の存在感を発揮し、多くの人に「アニキ」と慕われているのが哀川翔。

 芸能生活31周年を迎えた現在は、自身13年ぶりの大河ドラマ出演となる『真田丸』で後藤又兵衛役を熱演中だ。またこのたび、彼の熱い人生訓をまとめた1冊『ブレずに生きれば道は拓ける! 一翔両断!!』が発売された。

 そんな彼に、31年もの間、芸能界の一線で活躍してきた秘訣を聞いた際の答えが、冒頭の言葉だ。

 歌って踊れる男性ユニット『一世風靡セピア』のメンバーとして活動していた哀川を役者の道に誘ったのが歌手の長渕剛だったのは、ファンにはよく知られる話だが、そうした人生を変えるような巡りあわせは、意識して誰もが引き寄せられるものではない。

「そうかな? 俺は誰でも均等にあると思う。ただ、心の準備はしておかないといけない。

 例えば、波乗りをしたいなら、波打ち際でバタバタしているだけだったらいつまでたっても波には乗れない。ある程度、自分で動いて、いい波を探すでしょ。そうやって“いい波”が来たときに立てるかどうか、その違いだよ。俺はいつも立とうとしてきたから」

SMAP、高畑裕太、坂口杏里に一言

哀川翔 撮影/SHIN ISHIKAWA(Sketch)

 青春時代をともに過ごした一世風靡セピアのメンバーとは、解散しても気軽に集まる仲だという。解散といえば、現在世間を騒がせ続けているSMAPの解散騒動を、哀川はどうみるのか。

「うちらもケンカは年中してたけど、メンバー間に変な確執はなかったし、各々のソロ活動が増えてきて、グループ活動どうしようか? ってなったときにメンバー全員が解散に賛成したんだ。

 俺らは実働5年だったけど、あっちは25年。それは単純にすごいことだと思う。あれだけの人気者の集まりだし、いま世間を騒がせていることに申し訳ないと思ってるんじゃない? 俺らは自分たちで事務所の管理もしていたから自分たちだけでなんでも決められたしね。

 え、セピアの再結成? ないよ。終わったことは、終わったこと。じゃあ、解散って言わなきゃよかったじゃん、ってことになっちゃう。まあ、そうは言ってるけど、仮にうちのメンバー6人のうち4人が、いや、5人が“やろう”って言ったら、俺は“やる派”に回るかな。それが大人ってもんだし(笑)」

 私生活では5人の子持ち。子育てについて悩む親も多いなか、哀川の子育て論は非常にシンプルだ。

「子どもは勝手に成長していくんだから、親の使命は、子どもが成長するための場所と材料を提供してあげるだけ。それは何かっていうと『寝る場所』と『メシ』だよ。そのふたつをきっちり与えていれば、家を出たっきりでひどい悪さをするようにはならないから。

 あとは、食卓を一緒に囲むことかな。俺も仕事柄、夜を一緒にできないことはあるけど、夜がムリなら、朝だけでも一緒に食べる。1日のどこかで顔を合わせておけば、子どもはそうそうおかしくならないよ」

 先ごろ、強姦致傷容疑で群馬県警に逮捕され、世間を騒がせた俳優の高畑裕太(のちに不起訴処分となり釈放)の一件については、「いや、俺はわからないよ」と困惑しつつ、こんな哀川節が飛び出した。

「ただ、あれがもし俺の息子だったら、半殺しだろうな。でも、親の責任っていうけど、成人してる子どもなら、自己責任だよ。芸能の世界で社会人として生きてたんだから、親は関係ないじゃん。“うちの子がみなさんに迷惑をかけてすみませんでした”って謝りたい気持ちは、わかるよ。でも、親が何もかもやるのはどうなんだろう。

 仮に俺の子どもだったら、俺だったら記者会見はしない。聞かれたら、“裁くのは司法なので、その判断に任せます”って答えるよ」

 一方では、女優の坂口良子さん(故人)の娘、坂口杏里のAVデビュー報道も世の中を騒がせている。日本人女性の200人に1人は経験者だといわれるほど、AV女優に対するハードルは低くなっている現実も存在する現代。親として、もし娘がAVに出ていたら……と考えると、不安を覚える読者も少なくないだろう。

「そんなもん、出ちゃってたら、もうどうしようもないよね。俺の子だったら、無視するよ。もう怒りもしない。だって、怒ってすむ問題じゃないじゃん。相談もなく勝手にやったんだから、それで生きていけば? って話でしょ。

 やる前に相談があればムチャクチャ怒るし、もちろん止めるよ。チヤホヤされたいとか、楽にお金を稼げるとか、行き当たりばったりな気持ちでやるとしたら、その後にいろんなリスクがある仕事だから。

 でも、やってから怒ってもしょうがないからね。お金がどうしても必要だったとか、本当にその仕事をしたかったからだとか言うんなら、それはそれで仕方がないじゃない」

「悩んでる人って、暇なんだよな」

 新刊『一翔両断!!』の中で放たれている、自身の経験をもとにした哀川の言葉の数々は、現代社会に悩みを抱える読者の背中を押す力にあふれている。が、しかし、彼はこうも言う。

「悩んでる人って、暇なんだよな。暇だから、悩むわけ。例えば、子どものことで悩んでるっていうなら、もうちょっと家事をやるなり忙しくすればいいのに、そういう人に限って部屋が汚かったりする。やることやってないから、暇だし、悩むんだよ。“悩んでて、夜も寝れないんです”って人は、寝なきゃいいじゃん(笑)。ずっと寝なけりゃ、そのうち眠くなって寝るから。

 みんな余計なこと考えすぎなんだよ。だいたい問題だって何か起きてから対処すればいいのに、みんな何も起きてないのに心配するでしょ。それじゃ疲れちゃうし、まだ起きてないから大丈夫だって。だから、悩んでるときは“あ、私、暇なんだ”って思ったほうがいいよ」

“熱い男”という、これまでのイメージとはかけ離れた、柔軟性に富んだお答えがなんだか意外⁉ しかしそこには、修羅場をくぐり抜けてきた男ならではの謙虚さと優しさがみて取れる。

 そんな哀川が、あえて、悩んでいる人に伝えたいこととは─。

「なんの本でもそうだけど、その1冊の中に絶対1行は自分に刺さるところがあるんだよね。俺は、それが本との出会いだと思う。

 映画もそうだね。どんな、どうしようもないといわれている映画でも、どこかワンシーンは心に刺さる。その1行、そのワンシーンで、けっこう人生が明るくなったり、変わったりするから。みなさんが今回の俺の本で、そういう1行にぶち当たってくれたら、うれしいね」

 これこそ、まさに心に突き刺さるひと言!

<プロフィール>
あいかわ・しょう 1961年、鹿児島県生まれ。『一世風靡セピア』の一員として『前略、道の上より』でレコードデビュー。長渕剛主演のドラマ『とんぼ』(TBS系)や映画『オルゴール』での新人らしからぬ存在感が認められ、一躍脚光を浴びる。その後、東映Vシネマで、たて続けに主演を務め、ヒットシリーズを連発。現在はドラマ、映画、またバラエティー番組でも独自の存在感を発揮し、活躍中。

<書籍紹介>
『ブレずに生きれば道は拓ける! 一翔両断!!』
(KADOKAWA/角川マガジンズ刊 1500円+税)
芸能生活31年、55歳になった哀川翔の人生訓をまとめた一冊。「仕事」「男と女」「子育て」など、複数のジャンルごとに哀川の名言をビッシリ収録!