中川大志 撮影/廣瀬靖士

 物語のクライマックス『大坂の陣』へと向かい始めた『真田丸』。そこでキーパーソンとなるのが、亡き秀吉(小日向文世)の嫡男・秀頼。9月25日に放送された第38話で凛々しく成長した姿を見せ、鮮烈なデビューを飾った。

「あの扮装でNHKの局内を歩いていると、別の番組の出演者やスタッフの方たちが道をあけてくれて、ちょっと頭を下げてくれている気がして(笑)。すごく気持ちいいんですよ」

 演じているのは若手のホープとして注目されている中川大志。NHKに着いたら早く秀頼の衣装を着たいと笑う彼だが、配下の家臣を演じるのはみんな大先輩──。

「先輩がたを前に僕が座るのは、申し訳ないのですが常に上座。少しクセになっていますけど(笑)、でも、みなさんとの距離が離れているのがちょっと……。撮影前のセッティングのときは、みなさんセットの中でなごやかにお話しされているんですけど、なかなかその中に入っていけなくて。たまに堺(雅人)さんが“寂しいでしょ?そっち”と声をかけてくれます(笑)」

先輩・内野聖陽からのアドバイス

『真田丸』で豊臣秀頼を演じる中川大志(NHK提供)

 クランクインが待ち遠しかったという中川だが、いざ入ってみて、もうひとつ残念なことがあるという。

「ずっと一視聴者としてドラマを楽しんでいたんですけど、僕が入ったときにはテレビで見ていたおなじみのみなさんがお亡くなりになられていて……。

 豊臣をずっと支えてくれていた石田治部さん(山本耕史)や、大谷刑部さん(片岡愛之助)もいらっしゃらないし。片桐且元役の小林(隆)さんとは、“豊臣家の人材不足が深刻だ”ってお話ししています(笑)」

 とはいえ、これから後藤又兵衛(哀川翔)や長曾我部盛親(阿南健治)、毛利勝永(岡本健一)といった5人衆の面々も登場。さまざまな思惑を持ちながら、秀頼のもとへと集まってきて、ひと癖もふた癖もある牢人たちとともに戦へと向かっていく。

「僕は大坂で戦いになる発端は、家康と二条城で対面したときだったと思うんです。秀頼は普通に頭がいいけど、その上をいくほどではなかったのかなって。あの場面でひと芝居打って、わざと抜けた殿を演じていたらどうなっていたんだろうと思うんです。家康が危機感を持たないで、“この程度か”と思ってくれたら、豊臣の未来も変わったかなと……。

 人から慕われるようなカリスマ性もあるキャラクターですが、自分にすべてが託されているプレッシャーと、繊細な自分が心の内側で葛藤しつつも、まっすぐ立ってなくてはいけない。そういった気持ちを抱えている顔が徐々に出せていければ、豊臣家の滅亡に向かっていくさまがわかるんじゃないかな、と思っています」

大坂城の主人として、家康の軍勢を迎え撃つ決意をした秀頼。力になってくれる牢人衆たちを前に何を語る──(NHK提供)

 虎視眈々と天下を狙ってきた家康が、ついに豊臣に牙をむく『大坂の陣』は目前に。

「初めて内野さんとお会いしたのは、僕がかつら合わせでNHKに行ったときでした。前室に座っている内野さんを紹介していただいたとき“ああ、君かぁ”って(笑)。こいつが秀頼か、と思ってくれたんでしょう。内野さんからは撮影前に“本気でぶつかってこい”と言っていただきました。

 内野さんは事務所の先輩でもあるので、すべての撮影が終わったあとに、撮影中に思ったことをゆっくりとお話しさせていただきたいと思っています」

大河ドラマ出演は『江~姫たちの戦国~』『平清盛』に続く3作目。『家政婦のミタ』では物語の舞台になった阿須田家の長男・翔を演じていた 中川大志 撮影/廣瀬靖士

プライベートQ&A

――今、ハマっているものは?

「ずっと好きなのはバス釣りです。でも、マス釣りとか、フライフィッシングにもチャレンジしたいですね。ひとりで釣堀に行く時間も好きです。そういうときはボーッと釣り糸を垂らしているのがいいですよね」

――1か月休みがとれたら?

「自然が多い、ニュージーランドとか海外に行きたいです。短い時間ならNYとかシンガポールといった刺激のある楽しいところがいいけど、長い時間を過ごせるなら自然のあるところでのんびりしたいです」

――今年中にやっておきたいことは?

「高校生活最後の年なんです。年が明けると学校に行くことが少なくなって、卒業を待つだけになるので、友達と体育祭や学校祭といった学校行事を思い切り楽しみたいですね」