「早口」な人が出世しない理由とは
 敏腕社長でありながら「理学博士(Ph.D.)」「MBA」「行政書士」「宅地建物取引士」「栄養士」などと多くの資格を取得し、その波乱万丈の経営経験から、多くのビジネス書が著作にある臼井由妃さん。そんな彼女の著書『お金持ちはなぜ、靴をピカピカに磨くのか? 金運を鍛える「節約」生活のルール』(朝日新聞出版)が9月下旬に発売された。同書では、夫が残した3億円の借金返済を可能にした節約術やノウハウが解説されている。今回は前回の「お金持ちは金銭的な余裕があるのに、なぜレストランで「一番安いコース」を頼むのか」に引き続き、臼井さんがお金持ちの”考え方”を教えてくれた。

 話すスピードと収入には「相関関係」が、あります。早口な人は、伝えるべきことをきちんと伝えられず、コミュニュケーションに問題が生じたり、煙たがられることもあって、出世や昇進の妨げになっている場合が多いのです。

 また精神的にゆとりがないことで、早口になる方もいらっしゃいます。あなたの周りにも、いらっしゃいませんか?

 こういう方は、潜在能力はあっても「できる人」には見えませんから、重要な仕事を頼まれたり、任せられることが少なく、チャンスに出会う可能性も減ってしまいます。

 仕事はチームプレイ。会話は、あなただけでは成立しません。ですから、「早口」なために周囲と円滑なコミュニュケーションを取れないというのは、公私に渡って痛手となります。

 なかには「有能な早口」の方も、いらっしゃいます。早口でよどみなく話すことができれば、相手はその勢いに圧倒され、交渉や営業の場では、大きな武器になります。

 饒舌に話されたら、雰囲気に呑まれた自分にとって不利な条件であっても、思わず「イエス」と、頷いてしまう人もいるでしょう。納得しないまま渋々「イエス」と応じても、「結果」が出れば、評価は高まります。

社内のコミュニケーションではマイナスに

 しかしこうした言動は、社内のコミュニケーションではマイナスになってしまいます。上司への報告や連絡、相談、同僚への伝達。

9月下旬に発売された『お金持ちはなぜ、靴をピカピカに磨くのか?』著:臼井由妃(朝日新聞出版)画像をクリックするとAmazonの購入ページに遷移します

 部下に指示を行う場合や友人にお願いをする場合などに、早口でまくし立てられたら、相手は萎縮してきちんと内容が伝わらない可能性がありますし、あきれて聞く耳を持たない人もいるでしょう。

 やがて、仕事ではチーム全体の歯車が狂い、成果を出せないままで終わる。プライベートでは、「仲間はずれ」という事態になりかねません。

 相手が誰であれ、早口で威圧的にまくし立てる人に好ましい感情を抱くはずなど、ありません。

 では、ゆっくり話せば収入が増え、出世や昇進も叶うのでしょうか?

 そう単純なものでは、ありません。ゆっくり話し過ぎると、今度は相手を苛立たせてしまう可能性が、あります。

 揚げ足を取られることを恐れ、他人を警戒しながらゆっくり話す人もいますが、そうした心は、相手に読まれているものです。

 それにゆっくり話す人を「大物ぶっている」とか、「偉そう」などと、悪い印象を抱く人もいます。

 早口でまくし立てるのと同様、交渉や営業では効果があるかもしれませんが、社内のコミュニケーションやプライベートの人間関係では、効き目はありません。

 人との出会いや交流は、金運を鍛える「倹約生活」をしていくうえで、大切な要素です。一見、話し方と「金運」とは無関係なようですが、人間関係がうまくいかずストレスを抱えた状況では、心地良い「倹約生活」など、不可能でしょう。

 私たちは、話す内容よりも話し方や雰囲気を重視しているものです。厳しい内容を話すにしても、優しく丁寧に伝えれば、相手は不快に思わないことさえあります。

 基本は「ゆっくり」話しながらも、会話のスピードを操ることで、運を引き寄せ、お金に好かれる。「倹約生活」も、ゆったりと心豊かなものに変わっていきます。


著者プロフィール:臼井由妃(うすい・ゆき)●1958年東京生まれ。健康プラザコーワ、ドクターユキオフィス代表取締役。行政書士試験に合格し行政書士資格を有する。宅地建物取引士・栄養士。33歳で結婚後、病身の夫の後を継ぎ会社経営に携わる。次々にヒット商品を開発し、独自のビジネス手法により通販業界で成功をおさめる。日本テレビ「マネーの虎」に出演。経営者・講演者・経営コンサルタントとして活動する傍ら、難関資格を取得した勉強法も注目される。ビジネス作家としても活躍。著作は50冊を超える。