『真田丸』で家康を陰で支えてきた側室の阿茶局を演じる斉藤由貴 (c)NHK

 ついに信繁(堺雅人)が“幸村”を名乗り、クライマックスが近づいてきた『真田丸』。その宿敵・家康を物語の初めから、陰で支えてきた側室の阿茶局を演じる斉藤由貴に直撃──。

「阿茶は家康(内野聖陽)という人の小心さというか、こずるさを知りながらも、武将である以前にひとりの男に対して、全身全霊をもって尽くすことを決心している女性だなと。私は彼女が、心底惚れているととらえて演じています」

「あくまで(史実というよりも)私が演じている阿茶という観点ですが、淡々と情勢を見据え、飄々としながら“あなたは天下を獲れる人”と信頼している。戦場に出て戦うのは男ですから、女性は下に見られていたわけで、圧倒的に制約のある立場ですよね。その中で機知や創意工夫が試されたのかなと」

 実際『大坂の陣』の和議に、家康の信頼を受けて乗り出した阿茶。ドラマでも豊臣方の使者となった、茶々(竹内結子)の妹・初(はいだしょうこ)との駆け引きが43話(10/30放送)で描かれる。

「彼女たちが女という性別を乗り越えて勝ち得た、自分自身を生かす場を与えられたということなのかな、と思います」

 演技のほとんどが城の中でのシーン。家康や本多正信(近藤正臣)といった、いつもの顔ぶれとの現場は?

「芝居に関しては、忌憚なくズケズケ言い合える感じがあります。待ち時間でも誰かがセリフを言い始めると、それにセリフをかぶせて。ジャズの演奏のようにセッションをしているみたいで、純粋に楽しいです。ただ、自主練になってしまうので、呼びにきた助監督さんがそれを見ながら“ひと区切りつくまで待とう……”となっていましたけど(笑)」

 夫・家康(内野聖陽)の“素顔”は?

「内野さんは徹頭徹尾、芝居のことしか考えてません。これはそのまま書いてもらっていいんですけど、本当に“バカ”(笑)。ただのバカじゃなくて“役者バカ”です。自分がいかにこのお話の中の家康として役柄を深められるか。120%そのことしか頭にないと思うんですよ。“本当にこの人、芝居に魅入られちゃってる”って、端から見ていて面白いです(笑)」

「内野(聖陽)さんは徹頭徹尾、芝居のことしか考えてません」と語る斉藤由貴 (c)NHK

 真田や豊臣の俳優とは、ほとんど共演シーンがない斉藤。しかし、交流はあるそうで、

「豊臣方なら、石田三成の山本耕史くんは『レ・ミゼラブル』で、彼が子どものときからおんぶしたり抱っこしたり(笑)。彼はゲーマーなので、甲冑を着たままゲームしているときに“最近はあまり課金していないの?”とか(笑)。

 真田方でいうと長澤まさみちゃんですね。事務所の後輩なので、一緒にご飯食べに行こう、みたいな話をしたり。渋谷で“こういうものが食べたい”って聞くと、“ここが美味しかった”とかメールが来ます」