イラスト/まんしゅうきつこ

 ショップ店員など普通のバイトから、脚フェチモデルなどのエロ系まで、幅広いジャンルをこなしてきた人気漫画家・まんしゅうきつこ先生に、思い出に残っているバイト秘話を聞いてみた。

いちばん楽だったのは“友達のふり”バイト

 今までいろんなバイトをしてきましたが、いちばん印象的だったのが、知らない男性の家に行き、“話し相手”になるバイトです。なぜこのバイトをやることになったかというと、キャバ嬢の友達がいたんですが、その子は愛人や脚フェチモデル、ネットオークションで自分のパンツを売るなどいろんなことをしていたんです。彼女が忙しくなって愛人契約をした男性の相手をしている暇がなくなったんですね。それを引き継ぐ形で、その愛人の話し相手になるバイトを始めました。

 男性の部屋に行くのは週3回で、1回6時間ぐらい。友達がいないオタクっぽい人でした。彼の話を聞いていたり、まったく彼が話さない日もあるので、そういうときはずっとゲームしていたり。1か月でだいたい8万円ぐらいもらってました。身体の関係があれば、もうちょっと高いらしいので「1回くらいヤッてもいいんですよ」と言ったら断られたのがいい思い出です。慣れれば友達の家に遊びにいく感覚なので、すごく楽でしたね。

意外と経費がかかる脚フェチモデルバイト

 脚フェチモデルのバイトも、同じ友達の紹介で始めました。バイトの内容は、ホテルの一室を借りて、そこでカメラ撮影をします。撮影料は1万8000円ぐらい。ミニスカートをはいて行くんですが、脚フェチといいながらも、みんなパンチラを撮りたいんです。脚を組み替えるたびにシャッターを切るんですけど、私は撮らせないようにしてたんです。本当はパンチラを撮らせるほうが、撮影会にも呼ばれる回数が増えるのでいいんですが……。

 あと、この時期は地方に住んでいたので、撮影会のたびに東京に出てくるお金や、衣装も毎回替えるので、お金がかかる。近所のマックでバイトしているのと変わらないな、と思って、半年ぐらいでやめましたね。

面接で躊躇してしまったおむつ倶楽部のバイト

 前に変わったお仕事をして、いくらもらえるか調べる『給与明細』という番組で、アイドルがおむつ倶楽部にアルバイトに行き、「絶対ムリ!」って言いながら、おむつを替えられなかったんですよ。それを見て、おむつを替えるぐらいなら、私にもできるなと(笑)

 で、面接に行ったら、まず育児経験があるかどうか聞かれたんです。そのときは「まだないです」と答えたら、SMもしくは介護経験があるか、と聞かれて……。なんでだろうと思ったら結局、おじさんがウ●コやおしっこをしたおむつを替えなきゃいけないんですよ(笑)。子どものおむつ替えならいいけど、知らないおじさんのはさすがに無理! 面接でうろたえてしまって、結局、不採用になりましたね。

 そのときに勤めてる方の写真を見せていただいたんですけど、ありえないぐらい太っている方が多くて。そのかわり赤ちゃんをあやすみたいに、乳首を吸われる赤ちゃんプレーもするんです。今は私も子どもを産んだし、これからは親の介護も始まるかもしれないので、今ならやれるかなと(笑)

ノルマのあるバイトはやはりキツイ!

 いちばん大変だったバイトは実演販売でした。高圧洗浄機を売っていたんですが、お客様の前で実演するのがとにかく恥ずかしい。当たり前ですが、物がまったく売れないのでアルバイト代も少額。あとはインド洋品店は、1日いくら以上売らないといけないノルマがあったんです。「よくお似合いです〜」なんてウソもつけないから、これも売り上げはまったく伸びず……。すぐやめてしまいましたね〜。

まんきつ的・主婦にオススメのアルバイト

【1位】パンや部品など工場のライン
人としゃべるのがイヤで、単調な作業が得意な人はやっぱりコレ。黙々とやるだけなので楽です。

【2位】ファストファッションの店員
UNIQLOやGapなど、そこはかとなくおしゃれ感があり人に言える。900円くらい(当時)と時給も悪くない。

【3位】漫画家のアシスタント
言われたものを描けばいいだけなので、絵を描くことが好きで、ある程度絵が描けるなら誰でもできます。

<プロフィール>
まんしゅうきつこ
大学在学中に江川達也のアシスタントを経て漫画家デビュー。自身がなったアルコール依存症を描いた『アル中ワンダーランド』が話題に。10月18日発売『週刊SPA!』にて、銭湯の漫画連載『湯遊白書』をスタート。

イラスト/まんしゅうきつこ