"医療大麻"合法化を訴える活動家であるがゆえの罪
今回のケースは、“芸能人が大麻所持で逮捕された”という一言では済まされないよね。所持、使用していたという罪だけでは済まされない、別の罪があると思う。その罪は、大きく分けて二つ。
そもそも"医療大麻"という存在自体、国内の多くの専門家たちのなかで賛否が分かれています。しかし、少なくとも彼女や、その仲間は自らの信念で"医療大麻"合法化を訴える活動をしてきました。
いまは容疑を否認しているようだけど、たとえ彼女が所持、使用していなかったとしても、同じ家のなかに所持している人がいる、快楽のために使用している人がいる、そういう場所に住んでいたわけですよね。
表向き、医療のため大麻を合法化しようと言いながら、実際には自分の快楽のために合法化してほしいだけなのでは、と疑われても仕方のない状況なわけ。これは、医療に大麻を導入してほしいと活動をしている人たちにも影響してしまうでしょうね。
周知のように、大麻を所持、使用することは、いまの日本では法律で禁止されています。もし医療の面から本当に大麻を合法化させたいのであれば、法律という一線を超えない範囲で、地道に活動していくべきだった。法律を破ってしまうと、それまでの議論や活動を台無しにしてしまいますからね。
第一、疑いをかけられて、シラを切る態度にも違和感を覚えます。もし、心から大麻を礼讃しているのであれば、捕まえること自体がおかしいという徹底したスタンスで通すべきでしょ。正々堂々としていればいい。自分で悪いことだと思っているのなら、最初からやるなよと思うわけです。
移住者であるがゆえの罪
ふたつめは、彼女が石垣島への移住者であるがゆえの罪。移住者全体へのイメージに影響を与えてしまいかねないということです。
移住を巡っては、元々その土地に住んでいる人たちと、移住者とのあいだで調和がとれていないという問題があります。
家を建てても、すぐにはインフラが整わないため、汚水を海に流してしまって、サンゴが傷ついてしまったというような、さまざまな問題が実際に起きています。
そうした問題を乗り越え、互いに歩み寄ろうと努力をしている人たちもいるなかで、今回の彼女の軽率な行動が、両者のあいだの溝を深めてしまわないよう願います。
"医療大麻"の合法化に向けた活動家、移住者、ナチュラリスト……、名前の知られている人間が、そうした顔を持つ以上は、自分の行動が周りにどのような影響を与えてしまう可能性があるのか、しっかりと考えなくてはならなかったはず。自分の“立ち位置”を腹立たしい位わかっていませんよね。
《構成・文/岸沙織》