もし、愛する愛犬・愛猫が寝たきりになってしまったりボケてしまったら、どうしますか? 可能な限り介護してあげたいと思っても、飼い主の生活環境はさまざま。1つの選択肢として紹介したいのがプロに介護してもらうこと。

ペットの第2の家、スタッフは家族

寝たきりの犬は床ずれが起きないように、何度も体位を変える。朝4時から夜中の12時まで、スタッフの手厚いケアが続く 撮影/齋藤周造

「ご契約者様は、40~50代の方が半数以上ですね。ご両親が飼っていたけれど、高齢になり飼えなくなって連れてこられる方が多いです」

 と、東京ペットホーム代表、渡部帝さん。

「お世話しているのは、年齢でいうと猫も犬も、ほとんど10歳を越える高齢の子です」(渡部さん、以下同)

 ときには、寝たきりになった状態で入所するケースも。

「病気でも、寝たきりでもお引き受けしていますが、身体が弱ってきて食べられなくなった子はお断りしています。ここは、看取る場所ではなく、第2のわが家。家族としてスタッフ一同で迎えています」

 東京ペットホームでは犬猫別々のホームで最大、犬19頭、猫20頭を預かることができる。介護はそれぞれの状態に合わせオーダーメードで行っている。

「病気の犬は療養食を、ドライフードが食べられなくなったら、お湯を加えてやわらかくしたり、ウエットフードを混ぜたりします。体調に合わせて、工夫して食べてもらっています」

 寝たきりの場合は、流動食を1日数回に分けて与えている。

「歩けなくなってくると、だんだん関節が硬くなってくる。できれば、また歩けるようにケアをしたいと思っているので、まめにマッサージを行っています」

 寝たきりで同じ体位をとっている時間が長くなると、顔が変形してくるので枕を使い防ぐ。ひとりでは歩けない犬は、身体を支えてあげるなど、補助しながら散歩に行く。

「ここに連れてきてから元気になったと話される飼い主さんもいます。“家ではヨボヨボしていたのに、走り回ってる!?”って驚いていらっしゃいました」

内部に潜入! 犬猫たちが元気に遊ぶ姿が

<写真左>1.5×1.5メートルの広々とした個室、窓が大きい6平方メートルの広間でのびのびと生活する犬専用ホーム。床はすべらない素材を使い、インテリアは落ち着いた色彩 <写真右>個々の体調に合わせたフードを与え、散歩は1日に1~3回行う 撮影/齋藤周造

 愛情あふれるスタッフに、犬たちは満足げな表情。毛並みはツヤツヤとして、元気に遊ぶ姿が印象的だった。

<写真左>外を見るのが好きな猫のために、窓を広くとった猫専用ホーム <写真右>高齢とは思えないほど毛並みがいい美人猫。実は白内障で目が見えない 撮影/齋藤周造

「老犬ホームはあっても、老猫ホームがないというところからスタートしたんです」。経験豊かで愛情あふれるスタッフが世話をしてくれる。

旅立つときはひとりにしない

 施設の目の前には、動物病院が。獣医師とも連携をとっている。これまでに看取ってきた犬猫は、夜は渡部さんの自宅で、昼はスタッフに見守られていた。

「ひとりで旅立たせたことは、今までありません」

 一生預かりの費用が年間60万円(小型犬入居2年目から。入居時90万円。医療・介護費は別)。金額だけを聞くと高い印象を受けるが、これだけのケアを受け、食費も含めて、1日1643円。

 長年、可愛がった大切な家族。愛情たっぷりのホームにお願いするのも選択肢のひとつとして考えたい。

<取材先>
東京ペットホーム(東京都大田区)
http://www.tokyo-cathome.com/