九州・熊本地震の次は阿蘇山大噴火だった。今度は中国地方の鳥取県中部でマグニチュード(M)6・6の大地震が起きた。次はどこで何が起こるのか? 専門家は、“地震のクセ”について重大指摘する。

鳥取県中部で起きた地震で倒壊した家屋(共同通信ヘリから撮影)

「やっぱりきましたね。震源は浅く、典型的な内陸直下型地震でした。2011年の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)の前に起きた'08年の岩手・宮城内陸地震とよく似ています」

 鳥取県中部を震源とする地震が10月21日午後2時7分にあり、立命館大学・歴史都市防災研究所の高橋学教授は「週刊女性」の取材にそう答えた。

 気象庁によると、震源の深さは11キロで、地震の規模を表すマグニチュード(M)は6・6と推定される。最大震度は6弱と大きく揺れた。

 同県倉吉市、湯梨浜町、北栄町で自宅の屋根瓦が崩れ落ちるなど家屋損壊は1500件以上にのぼり、全半壊した建物もあった。屋根の修理中に転落して重傷を負うなど22人がケガをした。現地では一時2900人を数えた避難生活が続く。

 高橋教授が「やっぱり─」と言ったのには理由がある。『週刊女性』本誌既報(11月1日号)のとおり、熊本・阿蘇山が10月8日に爆発的噴火をする約3週間前に九州や中国地方で異変が近いことを察知しメールで知らせてくれた。中国地方については次の記述があった。

《警固断層(福岡)や菊川断層(山口)、豊後水道(大分・愛媛)―広島―鳥取県西部の断層が動きやすくなっているとおもわれます》(9月14日の高橋教授のメール)

 結果を見れば、九州では阿蘇山が36年ぶりの爆発的噴火で1万メートルの噴煙を上げ、鳥取では大地震が起きた。高橋教授は昨春、メディアが箱根山の火山活動で騒ぐのをよそに「九州のほうが危ない」と「週刊女性」誌上で警告し、口永良部島(鹿児島)が爆発的噴火するなど“九州連発噴火”を言い当てた実績がある。

地震のクセは西日本と東日本で違う

 次はどこで大地震・大噴火が起きるのか。ここ約1年半を振り返ると、口永良部島噴火→桜島噴火→熊本地震→阿蘇山噴火→鳥取県中部地震と、九州南端から徐々に東に向かうように異変が続いている。西から東へ─。そんな法則があるのだろうか。

 高橋教授は「それがあるんですよ」と声を大きくする。

過去の経験から大雑把にとらえると、西日本では西から東へと地震の震源が動いているんです。この法則に従えば、鳥取から東が危ないといえる。ただし、東京以北の東日本は別。法則も異なります。メインコースは北海道→仙台→福島→千葉とまっすぐ南下していくパターンで全体の約8割がこのコースをたどります。残りの2割は仙台から枝分かれして新潟→秋田→北海道南西部とUターンします」

 大まかなコースは地図(※下図)に示した。

[図]西日本と東日本の地震のクセ

 高橋教授によると、国内ではM6以上の地震は5年間で約6〜7回、うちM7クラスが約3回、発生しているという。西日本で次にM6〜7クラスの大地震が発生する可能性が高い地名を挙げてもらった。

兵庫、京都、滋賀、岐阜、長野などが危ないとみています。“地震のクセ”ってわりと素直ですからね。熊本や鳥取など西日本全域が乗るユーラシアプレートには相当ひずみが生じています。それに影響されて内陸直下型地震を起こす活断層が動いているとみています」(高橋教授)

 政府の地震調査委員会は鳥取県中部地震の要因について、長さ10キロ以上の未知の活断層がずれたことで地震が起きたとする見解を示した。10月28日までに震度1〜4の余震が258回起きている。気象庁は「同程度の地震は当分続く」と注意を呼びかける。

 どうして大地震に先んじて危険性を知らせることができなかったのか。高橋教授は「未知の活断層のせいにするのは責任逃れ」と批判する。

「そんなことを言い始めたら、国内は大小さまざまな未知の活断層だらけです。日本列島には約2000の活断層があるとされていますが、実際にはその2〜3倍あるとみています。もっと視野を広くもって大局的に活動をみる必要があるでしょう」(高橋教授)

 早見表(※下図)を参照してほしい。高橋教授によれば、国内の地震・噴火活動はステージ1〜4のサイクルを約70〜100年かけて終え、それを繰り返しているという。

 

西日本はいまステージ3に入ったところです。ステージ2の口永良部島噴火や阿蘇山噴火を終え、大地震が発生します。鳥取県中部地震はその入り口です。一方、東日本はステージ3の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)から5年以上すぎ、ステージ4に入ったとみています。巨大噴火が起こったり、海底隆起し大津波が心配されるアウターライズ地震が起こります。ステージ4が終わらない限り、3・11はまだ続いているんです

 と高橋教授は話す。

 西日本では、最悪32万人の死者が想定される南海トラフ地震が迫る。東日本ではこれに加えて首都直下型地震の発生も予測され、タイミングによっては2020年東京五輪の開催どころではなくなるとの見方もある。