独特の存在感とハスキーな歌声で親しまれた、女優で歌手のりりィさんが、11月11日亡くなった。享年64。肺がんで闘病中だったという。
最後のドラマ出演となったのは、4月に撮影した福山雅治主演の月9『ラヴソング』。女優としては幸薄い役が多かったりりィさんだが、やり手のレコード会社社長をイキイキと演じた。
「その出番を終えた直後に、検査でがんが見つかり、治療に入ったそうです。お住まいは千葉県の外房ですが、鹿児島で療養していたという話も聞きました。女優としてもどんどん役の幅を広げられていただけに、残念でなりません」(ドラマ関係者)
映画『湯を沸かすほどの熱い愛』が公開中で、撮影を終えて公開待機の映画が3本。あまりにも早すぎる……。
りりィさんといえば、人気ユニット、DREAMS COME TRUEとの縁もよく知られるところ。長男でミュージシャンのJUONが吉田美和との“年の差婚”で話題となったのは4年前のことだ。
JUONがボーカルを務めるバンド、FUZZY CONTROLは、現在ドリカムのツアーにサポートメンバーとして参加中だが、亡くなった11日は公演がなかった。
ドリカムの中村正人は、彼女の最期についてこうブログに綴っている。
《親しくされていた皆様や、JUON、吉田に見守られながらの旅立ちだったそうです》《吉田も「りりたん」と呼ばせて頂くほど慕っていました。りりィさんは、二人にとって大切な大切なお母さんであると同時に、音楽家として、女優として、大尊敬する先輩でした》
1972年に歌手デビューしたりりィさんは、'74年に自ら作詞作曲した『私は泣いています』が100万枚の大ヒットとなり一躍、時の人に。
父親が朝鮮戦争に従軍したアメリカ空軍の将校で、りりィさんはハーフ。ミステリアスな美貌で、女優としても大島渚監督の『夏の妹』や松田優作主演の『処刑遊戯』などに出演した。
結婚・出産のため芸能界を離れたが、豊川悦司の母親を演じたドラマ『青い鳥』('97年)以降、コンスタントに活動。『3年B組金八先生』で上戸彩が演じた性同一性障害の生徒の母親役で記憶している人も多いかもしれない。
プライベートでは2度結婚し、2度離婚。ミュージシャンの齊藤洋士と15年以上にわたるパートナーシップを結び『りりィ+洋士』というユニットで、全国のライブハウスを回っていた。
「情の深いいいやつでした。いつも自然体で、歌うことが大好き。50過ぎから、すごく地に足のついた生活を送っていた」と、40年来の友人。
葬儀はごく内輪でとり行う。「そのうち、みんなで集まって、私を肴にワイワイ騒いでほしい」というのが故人の遺志だったという。