女性同士の友情を描いた最新映画『マイ・ベスト・フレンド』の日本版テーマソング『STAR』を担当した歌手の平原綾香(32)。自身の女友達との関係など、『Jupiter』で知られる“歌姫”のイメージと違う意外な素顔が──。
映画『マイ・ベスト・フレンド』の日本版テーマソング『STAR』を担当した平原綾香

「友達からは、天然と言われ続けていて、デビューしてからは“あーや、もっと素を出せばいいのに。面白いんだから、バラエティーにも出たらいいのに”と、言われていました」

 そう語るのは、デビュー曲『Jupiter』の大ヒットで知られる歌手の平原綾香。壮大な曲を美しい歌声で人々を魅了。クールビューティーな“歌姫”のイメージだが、友人の後押しに最近では『行列のできる法律相談所』(日本テレビ系)などのバラエティー番組にも出演するようになった。

 デビューして13年。30代になって心境にも変化があるという。

「おちゃらけてもいいと思えるようになりましたね。昔は『Jupiter』のイメージで話されることが多くて、相手に合わせてしまうことが多かったのですが、最近は、自分の素をどんどん出せるようになってきました」

 そんな彼女が、「30代でいちばん好き」という映画『マイ・ベスト・フレンド』(11月18日公開)で、日本版テーマソング『STAR』を担当した。

高校時代に出会い仲よくなった4人

 映画は、幼なじみで親友の2人が、仕事、恋愛、結婚、出産といったさまざまな場面で絆を築きながら、大きな運命を乗り越えていく、女の友情を描いている。

「いちばん大変なときや、最悪な状態のときに一緒にいてくれるのが、いちばんの親友だと思います。映画の2人も、まさに苦しいときにその人に会いたい、そばにいたいと思う関係。真の友情を描いています。涙なくして見られない名作に出会うことができて、幸せです」

 平原の“マイ・ベスト・フレンド”は、高校時代に出会い仲よくなった4人で、“おばちゃん”“あいちゃん”“えみちゃん”“あーや”と呼び合うという。

誰かひとりでも“苦しいよ”と連絡があったら、夜中でも駆けつけてくれる頼もしい友達です。話は聞いてくれますが、絶対に同情はしなくて、悩みを笑い飛ばしてくれる。それがすごくうれしいです。一緒に泣いてあげることもときには必要なのかもしれないけど、本当の友情って、一緒にどん底に落ちるのではなくて、引き上げてくれる人だと思います

 女の友情はときに希薄と言われがちだが、ケンカや仲間割れもないという。

「“おばちゃん”は、1歳上の先輩で、先生からもおばちゃんと呼ばれていました。“あいちゃん”は、おばちゃんの妹で、“えみちゃん”とわたし(あーや)の3人が同級生。おばちゃんが3人を統括するお母さんのような存在です。それぞれが仕事をするようになったり、結婚したり、状況が変わっても、誰かが欠けることは想像できないし、支え合っている感じが強いです

大人になってからのほうが、よりありがたみを感じる

 友人たちは、平原のコンサートスタッフとしてグッズ販売を手伝ってくれることもあり、物心両面で支えになっている。

 10代から続く付き合いは、大人になってからさらに重要性を増しているとか。

「子どものときは、1日寝たら忘れちゃうみたいなことが、大人になるとできなくなる。そういうときに、同じ時代を生きてきて、経験からアドバイスをしてくれるので、より必要性を感じます。人間関係でも、若いときの悩みは、学校や友達とケンカしたことが原因のケースが多いけど、社会に出ると、仕事先の人とうまくいかなかったりとか……。でも、そこには友達がいるわけではないので逆に客観的に見てくれる。

 大人になってからのほうが、よりありがたみを感じています。さらに、一緒にホテルにお泊まりしたときなどに、私が悩んでいたのか、寝言を言って、うなされていたみたいで……。そんなこともさらりとかわしてくれる友達は、かけがえのないものだなって思います

 そうした友達や家族への感謝を込めて作詞した曲『STAR』(アルバム『LOVE』に収録/発売中)が、映画の内容とも重なり、テーマソングに選ばれた。

「自分でも、この映画のために書き下ろしたのかな? と思うくらい、ハマっているので驚きました」

平原綾香の気になる結婚観は?

“32歳までに結婚したい”と発言していたが

 楽しいという30代になって、プライベートで最近始めたことがある。

「パーソナルトレーナーをつけて体幹トレーニングをしています。五輪候補選手が初期にやるような内容で、傾斜になったランニングマシーンで、ダッシュとかするんです。おかげで身体が締まって、意外と筋肉もあるんですよ。こういう話をするとイメージにないみたいで、驚かれます」

 30代での心境の変化は、32歳になった平原の結婚観にも影響はあるのか。

 かつて25歳のときに桂由美コレクションでウエディングドレスのゲストモデルを務めた際に“32歳までに結婚したい”と、発言していたことについて聞くと、

「言っていました! そのときは結婚したいし、子どもも欲しいと思っていたので、32歳が適齢かなと。でも無理ですね(笑)。人生はあっという間。目標? 35歳かな。あと3年しかない……」

<プロフィール>
ひらはら・あやか/1984年5月9日生まれ。東京都出身。サックスプレーヤーの父・平原まことの影響で、サックスを始め、音楽を学ぶ。2003年にホルストの組曲『惑星』の『木星』に日本語詞をつけた『Jupiter』で歌手デビュー。同作品で日本レコード大賞新人賞などを受賞。来年夏にミュージカル『ビューティフル』に、キャロル・キング役で主演

<作品紹介>
映画『マイ・ベスト・フレンド』
幼いころからの大親友で、ファーストキスから初体験まで、お互いのすべてを知っているミリー(トニ・コレット)とジェス(ドリュー・バリモア)。あるとき、ミリーに乳がんが見つかり、同時期にジェスが妊娠。お互いのことを思うがゆえに気持ちのすれ違いが生じる。2人の友情のゆくえは―。11月18日(金)TOHOシネマズシャンテほかにて全国公開/配給:ショウゲート