日本人の“若さ信仰”は根深い。ちょっと老いが顔に出ようものなら「劣化した」とささやかれ、若見えの女優やタレントは「奇跡の○歳!」と称えられる。そのくせ、若くあろうと努力をすれば、「美魔女とか、イタイよね〜!」と手キビシイ……。われわれ中年世代のエイジング、一体ど〜したらいいの!?
アンチエイジングは健康のために
アンチエイジングはできるだけ早く始めるべき、と話すのは新刊『人生を踊るように生きて行こう』が好評な横森理香さん(53)。
「アラフィフ世代のアンチエイジングは健康が最大の目的。若いころの“アンチエイジング=若さ&きれいをキープ”という方程式は成り立ちません。きれいはおまけとしてついてくるぐらいに考えましょう」
ダイエットについても同じことがいえるという。
「アンチエイジングのための多くのダイエットは、アラフィフ世代の身体に負担をかけます。食べないダイエットは、栄養不足により健康を害するだけでなく、見た目もそれこそ“おばさん”くさくなるのは目に見えています。これではアンチエイジングできるどころか、老化を加速させてしまい、本末転倒。これから先の人生を元気にイキイキと過ごすためのメンテナンスだと、まずは意識を変えることから始めて」
エステに行くこともあるという横森さんが、多くのエステティシャンに“50代とは思えない!”と絶賛されるのがツルツルの肌。その秘訣は?
「早寝早起きのおかげだと思います。これは想像以上に効果的です。私も30代中ごろまでは昼夜逆転の生活。“昼日中に物書き稼業ができるわけない!”と思っていました。
しかし、子宮筋腫を開腹手術せず治癒させ、不妊治療なしに子どもが欲しいという夢がありました。当然、長年の昼夜逆転生活がたたって、身体は即対応というわけにはいかず、無理なく早寝早起きができるようになるまでには約半年かかりました。時差ボケを解消させるときのように、30分ずつ寝る時間を早めていく方法で習慣づけることができました。
ご存じのように夜10時から夜中の2時まで熟睡すると若返りのホルモンといわれる成長ホルモンがよく出ます。これが肌のハリとツヤをキープできている要因のひとつだと思うのです」
いちばん長くいる場所を“パワースポット”にする
また、この時間帯は、古代インドからの伝承医学・アーユルヴェーダでは“自然治癒の時間”ともされているとか。
「身体の悪いところを自然治癒力が勝手に治してくれるのです。ただし、その際、空腹で寝ていることが肝心。これがアーユルヴェーダの考え方で“飲食は就寝3時間前まで”とされているゆえんでもあります。今では、夜9時に寝て、朝5時にはパッと目が覚め、スッキリと起きられるようになりましたね。夕食時には、冬なら赤ワインのお湯割りをコップ2杯ほど楽しめば、心地よい眠りに誘ってくれるので、おすすめですよ」
慌ただしい生活の中でも楽しみを自ら作っていくことが大切だと横森さん。
「私は日々の幸せを大切にしています。自分が心地いいと感じる時間、場所があるということは癒しにもエネルギーにもなるものです。特におすすめしたいのが、いちばん長くいる場所を“パワースポット”にしてしまうこと。
自分が好きなインテリアにしたり、小物を集めたり、好きなアロマを焚くのもいいでしょう。生花を飾ったり、ガーデニングを楽しむのも素敵です。そこにいるだけで、幸せな気分になり、エネルギーを充電できる空間にするのです。日々の生活にちょっとした潤いをプラスするだけで、いつもより笑顔の時間も増えるはずです」
もちろん、食べることが大好きならちょっと手の込んだ料理に挑戦したり、おいしいと評判のレストランに行ったりするのもOK。お取り寄せして友人や家族で試食会も楽しそう!
「私は旬のものが好きなので、家での食事にはできるだけ取り入れるようにしています。四季があり、海に囲まれて、食材がこんなに豊富なのは日本人の特権。これを楽しまないのは、もったいないことではないでしょうか」
年を重ねると若いころほど出かけなくなるのも、老化のサイン。おばさん街道まっしぐらになる危険性があると横森さん。
「出かけるにはお金もかかるし、疲れやすく、面倒くさい。おのずと家でテレビを見る時間が増えていくという人も出てきます。なにもスケジュール帳いっぱいに予定を入れる必要はもうありません。それぞれに合ったペースと“質”で出かける機会は自ら作りましょう。年をとると誘われることが少なくなりますが、自分が“行きたい”と思ったのなら、誰かを誘えばいいのです。誘っても断られることもありますが、相手の返事に一喜一憂する必要はありません」
「自分の居場所」は自ら作るもの
また、アラフィフ世代は、少し大きなこと、それも新しいことにチャレンジするラストチャンスともいえる年齢。自分がやりたいこと、興味があることには勇気を出して挑戦してみてほしいという。
「例えば、仲間が集まる場所を自ら作ってしまうのもひとつの方法です。私も本音を語れ、素のままの自分でいられる場所が欲しくて8年前に『シークレットロータス』というコミュニティーサロンを作りました。ここでベリーダンスやヨガの教室をはじめ、さまざまなイベントやレッスンを仲間と共有しています。
おしゃべりと笑い、歌や踊りがあって、それぞれの価値観をともに分かちあえる場。人生の悲喜こもごもを共感しあえる場。そういう場所があれば人は孤独にならないし、仲間と一緒であれば、年をとるのもけっして怖くありません。
1度きりの人生です。これからまだまだ続く人生を、よりハッピーなものにするためにも“機会”や“場所”は自ら作ること。これが美しいエイジングにつながるのではないでしょうか」
横森理香さんに聞く! 『週刊女性』読者のお悩みQ&A
Q.旦那がもう女性と見てくれない……。セックスレスは寂しいです。(51歳・既婚・パート)
A.「セックスレスに悩む話をよく聞きますが、そればかりにこだわる必要はないのでは!? エクスタシーはセックスのみにあらず! おいしいものを食べたり、旅行に行ったり、趣味を仲間と楽しんだり、ワクワク、ドキドキできることはたくさんあるはずです。そして幸せは比べられるものではありません。レスでも幸せに過ごせるのなら、その幸せな部分をもっともっと楽しめばいいと私は思います」
Q.年齢問わずイキイキしてる人たちと仲間になりたいが、自分に自信がなく、気後れしてしまう。結局、新しい友人がつくれない。(45歳・既婚・会社員)
A.「人間は総合点。誰でも絶対にいいところを持っています。周りの人に聞けば、自分が気づかなかった素敵な部分を見つけてくれるはず。自己否定は何もいいことはありません。もし、自分から仲間に入れないなら、自分でそういう場所を作ってしまうのも、ひとつの方法ですよ!」
Q.若い子にチラ見されるだけで“おばちゃんでごめんね”と思ってしまう。自意識過剰でしょうか……。(39歳・未婚・会社員)
A.「おばちゃんには若い子と違う魅力があるのを忘れないでください。相手がいいと言うなら、何の問題もありません。それこそエイジング・コンプレックスに陥っているのではありませんか? 年を重ねるのは悪いことばかりではないと知ってほしいと思います」
<プロフィール>
横森理香◎作家、エッセイスト。『ずーっと♪ 幸せが続く生き方』では生涯現役を目指す生き方を指南。女性の生き方をテーマにしたエッセイに定評があり、『40代大人女子のためのお年頃読本』(アスペクト)はベストセラーに。