これまでのアイドル遍歴を振り返る本『イジリー岡田のニッポンのアイドル』(主婦の友社)を出版した、お笑い芸人のイジリー岡田さん。
中2で大好きになり、ファンクラブにも入った最初で最後のアイドルは、往年の人気番組『スター誕生!』出身の石野真子。初めて見た瞬間、「この人だ!」「俺は垂れ目と八重歯が好きなんだ!」とビビッときたのだそう。
「学校の誰かを好きになると、毎日会えてドキドキするじゃないですか。今のアイドルは会いに行く機会が多いけど、当時は100%会えないとどこかで思ってた。でも、だからこそ価値がある存在で、あきらめのある憧れがあったんです」
内弁慶で好きなアイドルにも消極的なイジリーさんを握手会やコンサートへ連れ出してくれたのが高校時代の友人、ナカヤマくん。
「彼から“◯日の□時、××へ行くよ”と誘われるたびに一緒に行ってました。雑誌にない情報もあったから、たぶん直接事務所に電話してイベントがあるかどうか聞いてたんだと思う。僕も彼も下敷きにお気に入りのアイドルの写真を挟んで持ち歩き、『平凡』や『明星』などのアイドル誌を買いあさっていました」
中学時代はテレビ画面に張りつき、カメラで撮影。
「もう使命感を持って、僕が映像を残さないと、と思ってましたから。録画時間を節約するためにCMは飛ばしたいけど、当時はそんな便利な機能は備わっていない。だからCMの本数や秒数を計算して、番組が再開する直前にボタンを押す練習もしました。録画したビデオテープは実家に全部保存してあるんですけど……1度も見返したことはないんです。老後の楽しみにと思って。でも、死ぬまでに間に合うかな(笑)」
今のアイドルは素を見せることで盛り上がる
'87年にはホリプロに所属し、お笑い芸人に。AKB48など若手アイドルとの共演も多いが、今と昔のアイドルの違いって?
「昔は“素”を見せない、見せたとしても寝起きドッキリくらいで、見ている側も、汚れたところのない、完璧な女の子として見ていました。僕らの時代のアイドルには完璧な“像”があって、素の部分は逆に見たくない、と思っていましたから。しかも親衛隊に入ったりしない限り、みんな個々に応援していたんですよね。
でも今はバラエティー番組やイベントがあるから人間性が見えやすいし、どこかが欠けていてもOKで、そういう素の部分を見せることで盛り上がるし、みんなで支えようとしてますね。でも、全部引き出し開けて自分をさらけ出さなきゃいけないのかな、大丈夫かなと心配しちゃうこともあります。
実は、この仕事を始めてからは、アイドルは共演者として見ていて、学生時代の“好き”という気持ちは閉じ込めているんですけど、アイドルファンはみんな中高生のときの僕と同じ。だからみんなの思いはわかっているよという気持ちがあって、このアイドルを目立たせたい、僕が真ん中に入ってどう盛り上げよう、といつも考えてます。
ホント、運動も勉強も苦手だった僕はアイドルの存在に助けてもらったし、今もそれによって生かされているなと思いますね!」