人生をやり直すためにやって来るタイムトラベラーを取り締まる戸籍監理課のメンバーのヒューマンドラマ『リテイク 時をかける想い』(フジテレビ系・オトナの土ドラ/土曜夜11時40分~)。不思議なSFのこだわり、大人が楽しめる見どころは?
未知の存在に右往左往する現代人を描く
タイムマシンもハイテク機器も登場しない、一風変わったSFがスタート。舞台は現代。人生をやり直すためやって来たタイムトラベラーが引き起こす問題に、戸籍監理課に所属する主人公が立ち向かっていく。
「あまたあるタイムトラベルものとは違う発想で作りたいと思ったんです。さらに、映画『シン・ゴジラ』のように未知の存在に右往左往する現代人を描こうと考え、企画したのが本作です。
SF作品を食わず嫌いしている方にもお楽しみいただけるよう、日常と地続きにありそうな世界観づくりにこだわっています」(後藤勝利プロデューサー、以下同)
主人公の新谷真治を演じる筒井道隆は、連続ドラマ7年ぶりの主演。新谷とともに行動する那須野薫役に成海璃子、2人を後方支援するパート職員のパウエルまさ子を浅野温子が演じる。
エリート街道まっしぐらだったが、キャリアや家族、友人、すべてを失った新谷。現在は法務省民事局戸籍監理課の課長だ。同僚から閑職と思われているが、実は法務大臣政務官(木下ほうか)からの極秘指令が下されていた。それは“リテイク(タイムトラベル)”してきたオバケ(未来人)を見つけだすこと。
目印は、白い服を着た人物。リテイクすることで着衣は白く漂白されてしまうためだ。リテイクは1度きり。元の時代に戻ることはできないので、オバケは必死に行動を起こす。新谷と薫も、そんな彼らが現代に影響を及ぼすのを食い止め、現代人の混乱を防ぐために真剣だ。
筒井道隆と成海璃子は凹凹コンビ
後藤Pは筒井のキャスティング理由をこう語る。
「筒井さんは、独特の存在感で、プライベートが謎に包まれている。ミステリアスなイメージがこのドラマの世界観にぴったりなんです。
新谷はリテイクしてきたオバケの人生の悩みや後悔に向き合うヒーロー的な存在ですが、決めゼリフをズバッと言って解決するカッコよさはない。上司から叱咤され、薫やまさ子にやいのやいの言われて追い込まれ、最後の最後にギリギリ頑張るリアリティーのあるヒーロー。そんな新谷を演じられるのは筒井さんだけです!」
見どころは、オバケを探すために行動する新谷と薫の丁々発止のかけあい。
「当初は凸凹コンビのイメージだったんですが、このふたり、凸凹ではなく、凹凹コンビなんですよ。命名は筒井さんです。素の筒井さんと璃子ちゃんは一見、正反対ですが、実は根っこは同じ。
ふたりとも今という時代に流されず、どこか抗って生きているように見えます。その不器用な生き方は、愛すべきものがあります。そんなふたりの空気感が画面からも伝わってきます」
6人の脚本家が担当、オトナの土ドラ初の1話完結
筒井は久々の主演でも気負うことがまったくなく、撮影現場では、にぎやかな浅野や成海らの聞き役に徹しているという。
「のほほんとして穏やかな空気を漂わせています(笑)。率先して明るく盛り上げようとか、スタッフをいじろうとかは、まったくないですね。浅野さんいわく“みんな(筒井、成海、浅野は)勝手だからいいよね”と。変にまとまろうとせず、それぞれを尊重している感じです」
本作はオトナの土ドラ初の1話完結で、6人の脚本家が担当している。家族もの、コメディー、ラブストーリーなど、毎回違ったテイストとゲスト出演者を楽しめるのが特徴だ。
第2話(12月10日放送)は、ハートウォーミングな物語。偏屈で人に心を開かない22歳の若者の漆畑彰(タモト清嵐)の前にリテイクしてきた47歳のオバケ漆畑(マギー)が現れる。
「同一人物を演じるので、マギーさんと清嵐君は、すごく細かいところまで打ち合わせをして演じてくださいました。マギーさんの撮影が始まると清嵐君も来て、癖や言い回しを確認しているんです。芸達者なふたりのオバケと現代人をお楽しみください」
こだわりがいっぱい
■戸籍監理課のセットに注目
新谷、薫、まさ子の職場である戸籍監理課は、実は隠し見どころが満載。まず、新谷の後ろに貼ってある世界地図。ところどころにシールが貼ってあるのは、リテイクした人物の報告があった場所だけど、よ~く見ると、そのシールは、「あるドラマ」のタイトルの形に!(答えはリテイク)
「オフィスの配置や飾りつけは、面倒見のいいまさ子のセンスによるものをイメージしています。思わず僕がうなったのは、メダカの水槽があることです。国東から怒られ、薫とまさ子にいじられる中間管理職の新谷が唯一、心を許せるのは、メダカだけだと(笑)」(後藤P)
こだわりのセットにはまだまだ面白ポイントがありそうなので、探してみて。
■まさ子のド派手ファッション
夫がイギリス人のまさ子。
「浅野温子さんは衣装の打ち合わせのときに外国人の男性に好まれる女性のイメージで和装を提案なさったんですが、まさ子の大和撫子的な部分は内面で表現していただくことにして、洋装に。
公務員の新谷と薫がスーツ系で地味なのに対し、パート職員のまさ子はド派手ファッションです(笑)。まさ子がいるシーンは、毎回パッと明るい感じになっていますので、お楽しみに」(後藤P)