2012年8月14日、東京・秩父宮ラグビー場で行われたNEWSのコンサート。その開始を前に、4人は同じ思いを共有していた。
「彼らが口々に話していたんですよ。“ありがたいよね。今日のこと”って」(元スタッフ)
山下智久と錦戸亮というツートップの脱退により、解散すら囁かれたNEWS。CDリリースもコンサート開催も不安視されるなか、メリー喜多川副社長やその娘であるジュリー副社長に頭を下げ、熱意が認められて活動継続にこぎつけたというのは、前号でお伝えしたとおりだ。
が、結果を出さなければ、真の活動継続とはいえない。
「4人でもやっていけるのか、ってことをやっぱりみんな思っていたんですよね。数か月間、不安と葛藤のなかで過ごしてきたことを振り払うように“4人でもやれるってしっかり見せていこう”って話してました」(前出・元スタッフ)
12月9日に出版された『NEWS あの日のままで』(主婦と生活社)には、このコンサートの様子が《復活の狼煙》というタイトルで描かれている。元スタッフたちが愛情あふれる目線で書いたこのドキュメントのなかでも、クライマックスと呼ぶにふさわしい場面だ。現場に居合わせた元関係者が語る。
「楽屋に設置されたモニターには会場が映し出され、その膨大な数の席がちゃんと埋まっていくのかどうか、気になる4人は何度となく目を向けていました。
というのも、それまでNEWSは1万5千人クラスの会場でやっていたのに、この会場は3万人。メンバーが減ったにもかかわらず、いつもの倍です。しかし、それが見事に満席になりました」
実際、4人は新生NEWSに手ごたえも感じていた。なかでも手越祐也は当日、
「俺らについてくれば大丈夫だし、幸せにしてあげるよ、って思ってる」
会見でそう、ファンへのメッセージを語り、カメラが止まった後もこうつぶやいた。
「これが本心です。それだけの自信が今はあるんです」
ではどうやって、彼らは手ごたえや自信を得ることができたのか。
4人を引っ張ったのは、リーダーの小山慶一郎だ。ジャニー喜多川社長に気に入られ、メリー副社長にも認められていたから、まさに適任だったが、
「でも、最初はリーダーらしい自覚はなかったです。年下だけど、センターの山下のほうがリーダー役みたいになってました」(別の元スタッフ)
そんな小山を変えたのは、危機意識。「解散」回避に向け、リーダーシップを発揮し始める。ほかのグループにはない、メンバーだけの「会議」を頻繁にやるようになったのも、そのひとつだ。前出の元スタッフによれば、
「言い出しっぺの進行役が小山で、加藤シゲアキがそれに味方して、増田貴久も協力。手越はちょいちょいツッコミを入れるんだけど、最後は全員まとまるという感じだったようです」
とはいえ、強引に命令するタイプではない。むしろ、気配りの人で、誰にでも「元気ですか」と挨拶して、打ち解けてしまう。
「本当にいいやつで、ジャニーズの先輩たちからも好かれているんです。例えば、手越に対してだと、好き嫌いがけっこうはっきりしてるけど、小山のことはみんなが助けたいと思うんですよね」(前出・元スタッフ)
復活コンサートで3万もの客席を埋め尽くしたのは、“世界一優しい”といわれるNEWSファンだった。ライブ会場にいた元スタッフは、
「このライブは新生NEWSのデビューライブみたいな意味があり、それを見届けようとする温かさが、会場中にあふれていたものです」
そんなファンに向かって、小山がした約束が本のなかにある。
《「もう不安や悲しいなんて言いません。(略)僕は死ぬまでNEWS辞めませんから」》
みんなが助けたいと思うタイプの小山が“リーダー”であるように、メンバー同士もメンバーとファンも助け合う。それがNEWSという、素敵な存在なのだ。