週刊女性PRIMEをお読みの皆さん、はじめまして。ライターの仁科友里と申します。

 女性向けの婚活指南本『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)を上梓した関係で、私は婚活女子から相談を受けることが多いのですが、思い込みが強すぎて失敗してしまう“婚活自爆女子”が増えていると感じています。自分の思考回路が結果的に婚活を邪魔してしまっているのです。

 2016年もまもなく終わろうとしていますが、今年も婚活がうまくいかなかったとお嘆きのあなた、ココロの大掃除を兼ねて、少しだけご自分を振り返ってみてください。

 婚活を成功させる三要素を以下の3つだと私は定義しています。

(1)適度な自信

(2)相手にメリットを予感させること

(3)タイミング

 この3つのうち、最も重要かつ難しいのが(1)の“適度な自信”をつけることだと思います。

 婚活女子Aさんは、会社員として働いています。料理と絵を描くことが好きなことから、自信をつけるためにカフェでのバイトとイラストレーターを始めました。しかし、カフェでは手際が悪く、叱られてばかり。イラストでも思ったほど稼げず、前より自信をなくしてしまったそうです。

 それでは、ここで問題です。上記の行動にはAさんの自信に対する思い込みが隠れています。それはなんでしょうか?

 Aさんの思い込み、それは、「新しい分野で目覚ましい結果を出せば自信がつくはず」と考えていることです。人気モデル、押切もえから名前を拝借して、この考え方を私は“押切方式”と読んでいます。

押切もえ

 最近、千葉ロッテマリーンズの涌井秀章投手との結婚を発表した押切ですが、モデル人生は最初から順風満帆というわけではありませんでした。所属事務所の倒産、日雇いのバイトをしながら食いつなぎ、オーディションに落ちるという挫折を経験しつつ、『CanCam』(小学館)の専属モデルの座を獲得。その後は少しずつ露出を増やし、ついには表紙モデルにまで上りつめます。

 そこで満足することなく、英会話、フルマラソン、ゴルフ、アロマテラピー、ワインエキスパート、料理、テーブルコーディネート、気功、登山、座禅、農業に挑戦。初の長編小説『浅き夢みし』(小学館)は初版一万部を売り上げて重版決定、二作目の『永遠とは違う一日』(新潮社)は第29回山本周五郎賞候補となり、絵画では初出品ながら二科展に入選と才能を発揮しています。

『浅き夢みし』発売直後、時事通信社の取材に「自信とは最終的に自分自身で持つもので、誰もつけてくれません」と答えていますが、これは努力で栄誉を勝ちとり、自信をつけた経験からの発言ではないでしょうか。

“押切方式”の落とし穴とは

 しかし、この「成果=自信」という押切方式には、落とし穴があります。成果を自信の根拠とすると、成果が出なかったり、自分を上回る成果を出す人が出てきたら、たちまち自信を失ってしまうのです。つまり、押切方式で得られる自信は一過性であって、結果的に自信をなくしやすい側面を持っているのです。

 成果は確実に自信をもたらしますが、周囲に評価されることも、自信をつけるために大事な要素です。成果がさほどなくても「よくできた」「がんばった」と声をかけられたら、自信がわくはずです。権威ある賞をとらなくても、特技がなくても、周囲(婚活女子の場合、成果や成長が求められる職場)に評価されれば自信はつきます。

 それでは、周囲に評価されるために、何をすべきか。まず、自分の存在を周囲に知ってもらうため、積極的なコミュニケーションを心掛けましょう。

 たとえば、仕事ができて人望もあると思う女性の先輩を見つけたら、「どうやったら先輩のようになれますか?」と素直にコツを聞いてみましょう。婚活世代がプライベートを大事にすることはよく知られていますが、会社の飲み会は自分を売り込む最大のチャンスです。毎回とは言わなくても、定期的に顔を出すことをおすすめします。

 あなたが仕事で何が得意で、何か不得手で、どんな人間かがわからなければ、周囲はアドバイスすることもほめることもできないのです。男女問わず、周囲の大人と話して、自分の理解者を作ること。実はこれが自信をつけるための、一番の近道なのです。

 多くの婚活女子が誤解していることですが、婚活は点数を多く取ったほうが勝ちの受験とは違います。一年にいっぺん、一万人を超える応募者から、たった一人のグランプリを選ぶオーディションでもありません。

 婚活は相手が求めるメリットを先読みし、準備した人が勝つ、“借り物競争”です。チャンスは何回でもあります。どうか安定した自信を身に着けて、婚活にのぞんでほしいと思います。

 メリットとは何か、どうしたらメリットを先読みできるかについては、次回お話したいと思います。

<プロフィール>
仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ。会社員を経てフリーライターに。『サイゾーウーマン』『週刊SPA!』『GINGER』『steady.』などにタレント論、女子アナ批評を寄稿。自身のブログ、Twitterで婚活に悩む男女の相談に答えている。2015年に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)を発表し、異例の女性向け婚活本として話題に。2016年8月に男性向け恋愛本『確実にモテる世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)を上梓。