「法律的には問題はなかったけれど…」
芸能の世界に入る前に、カラオケ会社に勤めていた際、BGM関連のシステムで、特許の発案者になっているんです、私。またその頃、著作権検定がはじまったこともあって、著作権については少し勉強したことがあるんです。
そのとき興味深かったのは、芸術のなかでも、映画や音楽に関しては著作権が厳しいものの、ファッションに関しては実用品であることから、著作権で保護するのがなかなか難しいということです。
どうしても保護したい場合、日本では登録から20年間保護される“意匠権”などはあるものの、他の芸術分野に比べ、かなりオープンなところがあるんです。
だけど衣服に関しても、ロゴをパクってしまっては駄目。海外に行くとわかるのですが、有名ブランドのものと似たような絵柄や形状のもので、ロゴだけ付いていないということがよくあります。ロゴを付けていなければ、多くの場合違法ではないわけです。
今回問題となった益若さんのデザインについても、バンドのロゴではないので、バンド側がそのデザインを商標登録していない限り、訴えても勝てないということもあり得ます。
だから益若さんも、謝って逃げてしまうのではなく、むしろインスピレーションを得てデザインしたと主張しても良かったのかもしれませんね。あくまで法律上はセーフなわけですから。
ただし、益若さんの場合、ファッションアイコンとしての立場がありますから、彼女のオリジナリティに期待していたファンが失望してしまうという事態は、いずれにせよ避けられなかったかもしれませんが。
「芸能人と商品の関係」
益若さんについてはわかりませんが、芸能界では、芸能人の看板の大きさを使って、プロデューサーとは謳っているものの実際には名前を貸しているだけ、というケースは珍しくはありません。本人があまり携わっていなくて、監視できていない場合も多いんです。
本人がデザインしていると思っているファンは、期待を裏切られた気がするかもしれないけれどね。何事も看板の大きさに飛びついて鵜呑みにするのではなく、消費者側は賢くならなくてはいけないと思います。
芸能人がブログやツイッターなどで愛用していると言っているようなサプリや健康食品なんかも、宣伝が半分だと受け取ってもらえれば良いわけですよ。私のところにも依頼が来るくらいですからね。まあ私の場合、ツイッターで商品の宣伝をしたら、フォロワーの方々は違和感を持つでしょうけど(笑い)。
《構成・文/岸沙織》