2017年の大河ドラマ『おんな城主 直虎』も期待大! そこで、主人公の井伊直虎は「こんな人だった!」という、おもしろエピソードを予習的にご紹介。準備万端で見れば、2倍も3倍も楽しめるはず!
受難の戦国時代に翻弄され続けた井伊家
井伊家第二十二代当主・直盛のひとり娘として生まれた直虎。この数字が示すように、井伊家の歴史は驚くほど古く、井伊氏の始まりは平安中期にまで遡るという。遠江(静岡県西部)井伊谷の井戸から誕生したとされる井伊共保を初代とし、「井」の字と縁が深いことから旗印を井桁(いげた)に、井戸の傍らに咲いていたとされる橘の花を家紋として、約1000年にわたり現在まで続く由緒ある家柄として存在する。
井伊谷城を本拠地としてからは、この地方の国人領主(国衆)として栄えるものの、戦国時代に今川氏の支配下に置かれると次々と受難の波が押し寄せることに!
祖父である二十一代当主・直宗が1542年に三河・田原城の戦いで討ち死にすると父・直盛が家督を継ぐことに。しかし直盛には跡継ぎとなる男子がいないから、さぁ大変。
そこで叔父・直満の子・亀之丞(のちの井伊直親)を婿養子として迎え、直虎を許婚(いいなずけ)にしたうえで結婚を計画するも、井伊家の筆頭家老・小野政直は井伊家に不満を抱いていたことから、この継承に納得せず、「直満と直義(直満の弟)が武田家に通じている」と、ありもしない話を支配している主である今川義元に密告! あろうことか直満と直義は、「謀反の疑いあり!」と激怒した義元によって自刃させられてしまうのだった……。
恋仲を引き裂かれ出家した直虎。井伊家は再び家臣の裏切りに
まだ10歳とはいえ、当主候補であった亀之丞は疑いの目から逃れるため信州へ避難。許嫁を失った直虎は、失意の中、龍潭寺へ出家し「次郎法師」と名を改めることに。
裏切者・小野政直が死去すると、信州から亀之丞(直後に直親と改名)が帰国。しかし! すでに直親は逃亡先で正室(しの)を迎えることになり、直虎は結果としてハシゴをはずされる憂き目に遭う。その後、生涯独身を貫いた直虎のピュアさを考えると涙が止まらない!
さらに、世に名高い「桶狭間の戦い」が起こると、今川軍本隊として参戦していた父・直盛が戦死。直親が二十三代当主となり嫡男・虎松(のちの直政)が誕生したことで一件落着と思いきや、この継承に異を唱える人物が。名を小野政次。そう! 因縁深き小野政直の嫡男であり、2代にわたって井伊家のお家事情を混乱させた天敵が立ちふさがるのだった!
桶狭間で義元を失った今川家に対して、台頭著しい松平家(家康)。揺れ動く遠江の中にあって、井伊家の舵取りは頭を悩ませるものだった。そこに目をつけた政次は、今川家当主・氏真に「直親が裏切って松平家につこうとしている」と再びありもしないことを密告! 結果、直親は誅殺されるというデジャブのような悪夢を繰り返してしまう。
跡継ぎである虎松はまだ2歳。このままでは今川・小野のオモチャにされ、お家断絶も覚悟しなければならなくなった井伊家。さあ、この絶体絶命のピンチをどう乗り切る!?
お家断絶の危機を救った女領主「井伊直虎」誕生
今川か? 徳川か? もめる家中では内紛が起こり、虎松の後見役であり二十代当主だった直平は戦中に亡くなり、昵懇(じっこん)の仲であった新野親矩をはじめ多くの家臣も戦死。おまけに政次は執拗(しつよう)に虎松の命を狙う。龍潭寺の住職・南渓和尚は虎松を三河の鳳来寺へと匿(かくま)うも、危険にさらされる虎松に対し井伊家は、虎松の母・しのを再婚させることで一時的に虎松から井伊姓を捨てさせることを決断。
ついに井伊の名を継ぐ男性が途切れ、当主不在の異常事態に陥る井伊家。そこで南渓和尚は「出家していた次郎法師を虎松が当主になるまでの中継ぎとして暫定当主にする」という起死回生の策を提案! 白羽の矢が立った次郎法師は「井伊直虎」と名を改め「男」として表舞台に帰ってくることに。まるで『リボンの騎士』のサファイアや『ベルサイユのばら』のオスカルのような展開!
さらに直政を養子に迎えることで、エリート教育を施す養母としての才も発揮していく直虎。母・しのとの対立を乗り越え、お家断絶回避のため一枚岩となっていく直虎だったが、氏真&政次からの嫌がらせにも似た圧力は続き、居城・井伊谷城を失ってしまうのだった……。
※後編(1月15日12:00公開)に続きます。