「これだけたくさんの人に見ていただいているので“べっぴん”(特別な逸品)のタイトルにこだわりつつ、すみれ(芳根京子)の気持ちを丁寧に描いていきたいですね」
物語中で成長を続けるキアリス同様、平均視聴率が20%を超え、絶好調な朝ドラ『べっぴんさん』。新年を迎え、新たなステージに移る物語の見どころを、制作統括の三鬼一希チーフプロデューサーに聞きました。
「ヒロインたちは戦争で“失われた青春”を、もう1回キアリスでやっているんです。針と糸を使って、自分たちが納得のいくものを作りあげることをやっているのが幸せなんじゃないかとすみれが気づき、家族もそれに引っ張られ、手に手をとって、みんなで幸せを実感するのかなと」
会社も大きくなり、環境が変わってきたすみれ。気になる今後の展開については、
「どれだけ周囲が変わっても、“好き”ということから逃げない芯の強さが、次の扉を開くという物語をお見せしたいです」
ティーンエージャーは難しい!?
第82回(1月11日放送)から時代は変わり、10周年を迎えたキアリスとともに、子どもたちが成長した姿で登場する。
「年月が流れて、すみれたちの4人だけではなく、2世代目の話もクロスしてきます。夢とは何か? 幸せとは何か? の問いかけが発端で始まる、母と子どものバトルにも乞うご期待です」
高校に入学を決めたさくらと健太郎。1歳年上の龍一は、ふたりに大人の世界を見せてやろう、と『ヨーソロー』に連れていく。
「さくら、健太郎、龍一が成長して三角関係になるんじゃないか、と思われている方もいらっしゃるかもしれません。でも、大きくなった彼らを見れば “それはないな” と思うでしょうね。だって、龍一くんがどうしようもなくダメダメな子なんですよ(笑)」(三鬼CP・以下同)
五月に連れられ、二郎が演奏するナイトクラブに、ドレスアップして足を運んださくら。楽しい時間のあと、どんな騒動が起こる?
ずっと独り身? 明美さんの恋愛事情
4人のうち、1人だけ独身の明美(谷村美月)。第51回(11月30日放送)でキアリスで働いている足立武(中島広稀)に“告白”されたが、さらっと“ごめんなさい”をして以来、浮いた話が出てこない……。もしかして独身のままなの?
「彼女の恋愛については、何も決まっていません。誰かと結婚するということも考えてなくはありませんが、ただ結婚しました、ということは絶対にしたくないです。
好きな人が出てきても “I love you” もあれば “I miss you” もある。結婚という形が大事ではないんです。ドラマの中でいい展開があれば、考えます。実は彼女、局内でもとても人気が高く、武が告白した回の試写では“あの男は一体、誰だ?”と言っていた人もいたくらいで……(笑)」
“栄輔ロス”のみなさん、お待たせしました!
紀夫が帰ってくるまで、寂しい思いをしていたすみれを、傍らで慰め励まし、支えていた栄輔(松下優也)。第48回(11月26日)を最後に姿を消していた彼が、戻ってくる!
「栄輔という存在は当初、想定していませんでした。ただ紀夫が不在の間、すみれを誰が支えるかという話になって、芳根さん演じるすみれを見ていると、誰かがそばにいてあげないと、絶対にすみれはつぶれてしまう、と思ったんです」
そこで考えたのが、紀夫とは違うスタンスで、すみれを思う栄輔。演じている松下優也については、
「彼は明るいです。太陽は言いすぎかもしれませんが、無駄に明るい電球かな(笑)。でも松下くんはその明るさの陰にある、栄輔の切なさをしっかり見せてくれたと思います」
当の松下は、再登場について、
「成長した姿を持ってこられれば。意外な形で戻ってきますので、ご期待ください!」
キアリス4人の“これから”
10周年を迎えたキアリスは、全国的に知れ渡る企業に成長している。三鬼CPは、初めは“好き”がスタート地点だった4人のこれからについてこう語る。
「今風に言えば、ママ友が好きで始めたオンラインのベンチャー企業ですね。利益が出たら分配の揉め事もあるかもしれない。もっと大きく儲けようという人も出てくるかもしれない。このままがいいという人も当然いるだろうし、もしかしたら実店舗を出さないかという話がくるかもしれない」
こぢんまりと4人だけでやっていたときとは、状況が変わってくる。
「すみれたちには、4人で始めたときのマインドをどこかに持っていてほしいんです。でも会社として大きくなるにつれ、ちょっとずつズレていく。本来、目指していたものは? 何のために仕事をしているんだろう? もっと後半になりますが、“思いを込めてものを作る” という原点を彼女たちがどう振り返るかを描きたいです」
☆待ち時間の楽しみ方☆
現場での待ち時間も増える長丁場の撮影。その中でもヒロイン・芳根は、いろいろと楽しみ方を探しているようで。谷村美月&土村芳が彼女のお茶目なところを教えてくれました。
谷村「この前、撮影前に前室で待っていたときに京子ちゃんが不思議なお菓子を買ってきたじゃない」
土村「太くて大きいグミ(笑)」
谷村「あれ、引っ張ってどのくらい伸びるかやろう、って盛り上がっていたよね」
土村「その相手をしたのは私ですけどね。京ちゃんとグミの両端を噛んで伸ばしていたら……」
谷村「思っていたほどうまくいかなかったよね(笑)」
土村「あれはうまくいかなかったというか、京ちゃんが食いちぎったんですよ。あれ、噛まなければわりといけたと思うけど、伸ばしていくときに彼女“ニィ”って歯を見せて笑って。その“二ヒヒ”でグミが切れ、私は本番前なのにグミまみれ……(涙)」
谷村「(笑)。あれ、けっこう高かったみたい。うまくいかなかったから、あのあと買ってきてないよね(笑)」