一昨年の秋に千葉県東金市にある、老人ホーム『ゆりの木苑』で平尾昌晃の『ラブ&ハーモニー基金福祉ライブ』が行われた。同所の事務課課長の銅銭公一さんは、ライブ当日の様子について「平尾さんの体調は、あまりよくなさそうでした。楽屋などでも、酸素ボンベを持ち歩いていましたよ」と語った。
平尾は、79歳と高齢ながら現在も活躍する歌手。
「1950年代のロカビリーブームでアイドル的人気を博したあと、作曲家として五木ひろしさんらのヒット曲などを数多く手がけてきました。79歳という年齢を感じさせない“生涯現役”の方ですよ」(音楽誌ライター)
もっとも、現役なのは歌手活動だけではない。
「彼は、若いころに結核で闘病した経験から、チャリティー活動にも関心を持ち、'75年に各地の施設を慰問する『愛のふれあいコンサート』を開始。'02年には『NPO法人ラブ&ハーモニー基金』を設立しました。こうしたチャリティー活動を、もう30年以上、続けていますよ」(前出・音楽誌ライター)
ただ、50代にも心筋梗塞を患っているだけに冒頭の証言は心配なところ。ちなみに、この施設でのライブ、実は'03年にも行われていた。
「平尾さんは、千葉で毎年チャリティーゴルフをされていたのですが“ほかにもなにかボランティアをしたい”と東金市の市役所に相談したそうです。そこで、社会福祉法人である弊社が選ばれました」(前出・銅銭さん。以下同)
12年ぶりの2回目のチャリティーライブだったのだ。
「東金に平尾さん行きつけのそば店があるんです。そのお店の奥さまが今うちに入所されているので、そういったご縁なのかもしれません」(同)
気になるライブの内容はというと、
「平尾さんがおひとりで歌ったのは、2曲です。あとはお弟子さんたちと一緒に5曲くらい歌いました。利用者のなかにはファンの方もたくさんいたので、“キャー”という黄色い声も(笑)」(同)
とはいえ、寝たきりだったり車イスが必要だったりして、会場に足を運べない人も。すると、平尾はライブの前にそうした人たちのもとへ行き、声をかけたりしたそうだ。
「利用者の中には、コミュニケーションがとりにくい方もいます。それでも平尾さんは慣れているのか、反応がなくても自分から“お元気ですか?”などと、どんどん声をかけていましたよ」(同)
だが、自身も無理をしていたようだ。
「ステージの横で休憩するときには、利用者の方から見えないように、すぐに酸素を吸入していました。以前よりすごくやせた印象を受けたので心配していましたが、ステージに立つとガラッと変わったので、やはりプロだなと思いました」(同)
布施明に書いた『愛は不死鳥』ではないが、平尾もまた不死鳥のように、これからも“生涯現役”で歌を届けてくれることを願いたい。