カナダ人兄弟と日本人による4ピースバンド、MONKEY MAJIK。写真左からタックス(ドラム)、メイナード(ボーカル&ギター)、ブレイズ(ボーカル&ギター)、ディック(ベース)

 時代を超えて愛される名作アニメ『サイボーグ 009』の映像化50周年を記念し、フル3DCG(三次元コンピューターグラフィックス)で蘇(よみがえ)った映画『CYBORG009 CALL OF JUSTICE』のオープニングテーマ曲『A. I. am Human』を、昨年末に発表したMONKEY MAJIK(モンキーマジック)。

 サイボーグ009の原作者・石ノ森章太郎の故郷、宮城県を拠点に音楽活動を行っていること。そして、主人公たちが持つ“加速装置(運動速度を爆発的に加速化させる装置)”の疾走感を表現できるアーティストであるということで白羽の矢が立った。

メイナード「相当すごい作品なので、お話をいただけて光栄でした。緊張しつつも、とにかくいい作品を作りたいなと思ったし、そういうものができたと思っています」

ブレイズ「16年前に初めて日本に来たとき、石ノ森先生ゆかりの地・石巻の隣町に住んでいたんです。石巻にはよく仕事で来て、サイボーグ009や仮面ライダーの像や、先生のイラストが描かれた電車を見ていました。まさか、16年後にコラボできるとは思っていなかった」

 これまで、数々のCMや映像作品の主題歌などを歌ってきた彼ら。その中でも今作は特別なものだったそう。

タックス「初めて、ひとつの作品のオープニングとエンディングの両方を担当できたんです。どちらかだけだと、作品のどこかの部分を切り取ってという感じになってしまうんですが、今回は、より深く作品の内容を楽曲に落とし込むことができました。最初は主人公が持つ加速装置で走り抜けていくイメージでダンサブルな曲。エンディングは、どうして人は生きていくのかという、作品のいちばん伝えたいテーマを表現したものを作ることができました」

 今作も含め、発表する楽曲の制作は、プロデュースまですべて4人で行っている。

メイナード「基本、メロディーは僕とブレイズで。日本語の歌詞はタックス。できあがったものを4人でアレンジしていきます。曲によって違いますが、今回はオープニングの作曲をブレイズが、エンディングを僕が担当しました」

バンド結成16周年に突入

 メジャーデビュー曲『fly』やドラマ『西遊記』の主題歌『Around The World』、ヨコハマタイヤのCMソング『空はまるで』など、洋楽と邦楽の魅力を併せ持つ、幅広いジャンルのヒット曲を生み出してきた。

メイナード僕らの曲を聴けば聴くほど、どんなバンドかわからなくなるかもしれない(笑)。4人それぞれにアイデンティティーがあるから、逆にひとつに決めることができないんです。

 確かに最初は楽曲の方向性を決めるうえで、僕ら兄弟がぶつかることもあったけど、いまはないな。何を作っても、すごくいいものができあがる、センスのある4人だと思っているから。なんか、自分たちのことをすごくほめている感じだけど、16年も続いたらいいよね(笑)」

 数々のバンドが誕生していく中、これだけの長い期間、続けられるグループはなかなかいない。

メイナード「ギネス記録を狙おうと思って(笑)」

ブレイズ日本の“ローリング・ストーンズ”って言われるようにね

 4人に笑顔が生まれたとき、『週刊女性』を手にしていたディックの「これ知ってた?」という声が。

ディック「GReeeeN(グリーン)が映画になるんだって」

メイナード「すごいね! 彼ら以前の事務所の後輩なんですよ。みなさんは見たことがないかもしれないけど、僕らは素顔を知っています」

タックス「僕らのライブを見に来てくれたこともある」

ブレイズ「みんな、優しく、いい人」

タックス「すごく、いい子ですよ」

 歯科医であるGReeeeNのメンバーから治療を受けているからの発言かと聞くと、

タックス「それは、ないない(笑)。メイナードが矯正しているから、そう思われたのかもしれませんけど」

GReeeeNじゃないか疑惑

メイナード「昔、彼らがヒット曲を出したときに、“ブレイズとメイナードが歌っている”という噂が広まったことがあったんです。声が全然違うのに(笑)」

 GReeeeNもMONKEY MAJIKも東北から全国へと羽ばたいたバンド。5年前の東日本大震災以降も4人は拠点を変えず、支援活動に参加しながら音楽活動を続けている。

メイナード「仙台を離れることは? と聞かれることがあるけど、ないと思います。特別に決めているわけではないけど、離れる理由がないから」

タックス「僕は生まれも育ちも仙台。地元で面白い友達と会って、そこを中心に仕事をしている幸せ者です。生活する場所を大切にしながら、そこで感じたことを歌にするほうが僕らには向いているんじゃないかと思う。地元で自分たちのペースで16年やらせていただけている。いまさらそれを崩す必要もないんじゃないかな」

 移り変わりの激しい音楽業界でスタンスを変えずに活動を続けられている。それこそが、彼らの実力を証明している。

メイナード「ドンと行ってないしね(笑)。自分たちでも、よく続けられていると思います。ただ、いっきに、ドンと行ったアーティストを見ていると僕らとは違うと思う。僕らなんて、毎日、危機感でいっぱいですよ。明日があるように頑張ろうって。それは、最初から変わらない」

ディック危機感という言葉を久しぶりに聞いた感じがしないくらい、危機感にひたっていますから(笑)

メイナード「(笑)。ストレートに感謝しています。こんなに長くやってこれたのは、ミラクルだと思っている。」

タックス「ドーンと行ったら、落ちるときも大変だから。鳥人間コンテストみたいに、低空飛行で長くね。上に向かっちゃだめなんです(笑)。いい風をつかんで、スーッと飛んでいく」

メイナード「いつも言うけどフレッシュないい音楽を届け続けたいと思っています。感動させられるようなものを持っているかわからないけど、何かを感じていただけていることが僕らの力になる」

タックス「謙遜と健康が大事です。健康じゃないと、人のことを思いやったりできないし。穏やかな日常を送れて、その中に音楽がある。それが、なによりも幸せ。苦しいときに聴くと勇気が湧く音楽も大切ですが、なにもないときに気持ちいいなと思ってもらえる歌もいいなと言える境地にたどり着きました

ディック「そういうタックスは、いま本来の元気がないんです」

タックス「椎間板(ついかんばん)ヘルニアになってしまって。手術をするんです。4月から全国ライブハウスツアーが始まるので、根本的に治さなくちゃいけないものは、治療しておこうと思って」

春から全国ツアーがスタート!

 久しぶりだというライブハウスツアーのタイトルには、“原点回帰”の文字が。4月から4か月をかけて全国を回っていく。

メイナード「前回のツアーのときに、沖縄のライブハウスに立ったんです。そうしたら、“カッコいい”ってほめられて。やっぱり僕らは、ライブハウスのバンドなんじゃないかなと思っちゃって(笑)。これは、全国のみなさんに見せたいなって」

ブレイズ「昔、ハイエースでライブハウスを回ったみたいに、今回も車で移動して。ロードムービーも作れるね」

タックス「去年、熊本で地震が起こってから、ライブ会場に募金箱を置いてるんです。今回のツアーで、ようやく届けにいくこともできる」

メイナード正直、体力なんかを考えると、全国のライブハウスツアーは最初で最後だと思っているんです。そのくらいの気持ちでいこうって。あと、4人がどのくらい仲がいいのかも試したい。4か月もずっと一緒にいるって、経験がないから」

ブレイズ「今日みたいに、ちょっとおしゃれな格好できなくなるね。みんなでスウェット着て。デミグラスソースの跡がついているような(笑)」

メイナードもしかしたら、途中から解散ライブになるかもしれない(笑)

タックス活動休止になったりして。その理由がブレイズが僕らの服にデミグラスソースを落としたからとか(笑)

<最新情報>
ニューシングル『A. I. am Human』[CD+DVD]1800円+税、[CD]1200円+税
4月8日からスタート! 全国ライブハウスツアー『MONKEY MAJIK JAPAN TOUR 2017〜LIVE HOUSE 原点回帰〜』
詳細は、公式サイト http://www.monkeymajik.com/