もじゃもじゃヘアにカラフルな男着物の袴姿がトレードマークの春風亭ぴっかり☆。春風亭小朝一門に入門後、二つ目に昇進するや、翌年の『NHK新人演芸大賞』で決勝に進出。また、『大人AKBオーディション』最終選考の選出でも話題になった、寄席のプリンセスと呼ばれる存在だ。
「師匠のようになりたいと言って弟子入りしたんで、落語以外でも大忙しです」
そもそも舞台女優を目指し、劇団の研究生だった彼女。小朝師匠の大ファンになり、次第に落語家に気持ちが傾いていったという。
「あるとき、劇団に“落語家になります。辞めます”と宣言して、アルバイトも全部辞めて小朝師匠のところに行ったんです。弟子は取らないと聞いていましたが、“明日から来て”と言ってくださって。とまどいながらも通い始めました」
現在、女性落語家は30人ほどいるが、当時は10人。楽屋は完全な男社会だ。
「食べるものも量も男性と同じ、それも早食いだから10キロくらい太りましたね。持つ荷物も一緒、化粧もしないし、女子更衣室もない。髪型も坊主頭にして、男着物を着てバタバタと走り回っていました」
修業時代は友人と一切連絡をとる暇もなく、唯一、女性の同期、三遊亭美るくと励まし合ってきた。
「朝から晩まで働き詰めで、夜中にスーパー銭湯で待ち合わせ。2人でシャンプーしながら愚痴を言い合い、“明日も頑張ろうね”と言い合って終電で帰るんです」
念願の二つ目昇進は、入門から5年目だった。
「化粧、好きな髪型が解禁。ときには女着物も着られるようになって、ものすごい解放感でした。5年間耐えられたのは、頑張ればプロとして落語をやらせてもらえる、という希望のほうが大きかったから。いま、幸せですね」
落語を女性が演じるのは苦労も多いのでは?
「やりにくいといえば全部やりにくいかな。昨年の『NHK新人落語大賞』で演じた『湯屋番』(※)は、男が番台に上がる噺なので、私がやったことに批判もありました。でも、私はあまり気にしないでやっちゃいます」
(※)『湯屋番』:主人公は道楽者の若旦那で、居候中の身で銭湯で奉公させられる。番台に上がると妄想にふけり最後は番台から転げ落ちる。
10日間連続独演会、全国ツアー、海外公演など異例の落語活動でも知られる。
「昨年はドイツでやってきました。演目は『動物園』。ドイツ語の字幕でね。おもしろかったのは、笑うツボが日本人と同じだったこと」
今年で芸歴10年目だが、
「『ぴかテンイヤー』と称していろんなイベントを考えています。まずは4月に女性ばかり12人も集まる落語会を。女子会のついでに寄席や落語会にぜひ立ち寄ってもらいたいですね」
【春風亭ぴっかり☆ウェブサイト】
http://pikkari.club/