お笑いトリオのネプチューンが、時代劇に挑戦した。その名も『空想大河ドラマ 小田信夫』(NHK総合・土曜夜11時35分~・全4回 ※2月11日放送が第2回)。“本家”をパロディーにしたようなタイトルだが、セットや衣装は本物で“まじめに、ふざけた”という新感覚のシチュエーションドラマ。続編も目論む3人が語る意気込みや制作の舞台裏とは──。

“本物”のセット&衣装大まじめにふざける

 朝ドラや大河を見ない世代にも楽しめそうなドラマが登場。『向田邦子賞』や『岸田國士戯曲賞』を受賞した気鋭の劇作家、前田司郎による脚本で、ネプチューンが“空想大河ドラマ”と銘打った時代劇に挑戦。3人そろっての連ドラ出演は初となる。

「NHKのこういうドラマに出るのが夢だったので、うれしい」と、堀内健。

「ネプチューンと前田さん、NHKさんでできたことを非常に感謝しています」と、名倉潤。

 そして、“本家”大河に出演経験のある原田泰造は、

「すごいセットが用意されていて、すごいスタッフで、それをネプチューンでやれるっていう夢のような仕事でした」

ネプチューンが“NHK大河”に主演!? (c)NHK

 制作の経緯について、中村高志プロデューサーはこう話す。

「まず前田さんに書いてもらい、ネプチューンさんに演じてもらうことが決まりました。次に、題材をどうするか。『あぶない刑事』のパロディーで“安全刑事”は? とも(笑)。でもせっかくNHKでやるのだから時代劇はどうかということに。あくまでもコントではなくドラマなので、きちんとした衣装を着て演じていただきました」

 時代劇はお金がかかるが、前田の提案などもあり、工夫を凝らして実現した。

「何十人ものスタッフで屋外撮影して非常にお金のかかる合戦のシーンは過去の大河ドラマのものを使ったり、大きなセットや甲冑を流用したりしていますが、細部には手を抜いていません。例えば、カツラはコントにありがちな、スポッとかぶるだけのものではありません。演者さんに合うよう頭全体を包み込む地金を1時間かけて作り、ヒゲも1本1本つけていくなど、手間ひまかけて制作しています」(中村P、以下同)

 この物語の舞台になっているのは、主に信夫の居城。第1話で信夫が柴田や明智と歩きながら話す廊下が登場するが、実はこのセット、昨年の大河ドラマ『真田丸』の上田城の一部を使ったもの。

「戦国時代の城は、例えば大坂城のように畳敷きのこともありますが、真田家はそれほど大きな大名ではなかったので板張り。そこで小田信夫の城も板張りにしました」

 本格的なセットに衣装、大河も手がけた演出家を前に、ネプチューンは緊張ぎみだったという。

「最初はおっかなびっくりという感じでしたが、スタッフが大まじめにふざけている雰囲気を察してくださり、だんだん調子が出てきたようです」

 撮影はハードスケジュールだったが、3人とも楽しんで演じきり、早くも続編に意欲的。

「(見終わったら)最後に絶対、小田信夫ロスになると思うんですよね(笑)。今度は続編をやってみたい! 『小田信夫』の続編もいいんですけど、豊臣秀夫とか徳川家康子とか(笑)。実は徳川家康は女だったとか」(堀内)

小西真奈美と初共演にホリケン感激

 舞台は戦国時代の架空の小大名、小田家。

 当主は同時代の英雄、織田信長を意識しつつ、こぢんまりと生きている小田信夫(堀内)。信夫は天下統一を口にするが、あくまで口だけ。

 脇を固める重臣は、柴田勝夫(原田)に明智充(名倉)と、どこかで聞いたことのあるような名前。そんな小田家の面々は、襲いかかるどうでもいい試練にどう立ち向かうのか? 

 一見、本格的な時代劇だが、いたるところに笑いがちりばめられている。そのひとつがオープニングタイトル。時代考証、建築考証などのクレジットには「なし」となっている。

「“なし”と表示することで、普通の時代劇じゃないんだなと感じていただくためです(笑)。信夫の正室で、つかみどころのないお毛(小西真奈美)にもご注目を。堀内さんはドラマ初主演と同時に大ファンの小西さんが横にいるので、二重の喜びだったそうです」

 1話15分と短いドラマだが、中村Pいわく、朝ドラを手がける“NHKのDNA”で、見ごたえは十分と自信をみせる。

「“お堅いNHK”のイメージを逆手にとった作品です(笑)。残酷だったり、いやらしかったりするシーンはありません。前田さんとネプチューンさんの楽しい世界が広がっていますので、土曜の夜には、クスリと笑ってください」