「もとはメンバーが食べた、体験したことなどを追体験したい欲求から始まったそうです。それが今、ソロになった彼らを起用することで、“私たちはこんなにも商品を買いますよ”という、ファンによるスポンサー企業への購買アピールに変わってきているのです。つまりは5人の露出が増えていくほど、経済効果が上がっていくというわけです」(広告代理店関係者)
元SMAPメンバーらがソロとして、それぞれ“あたらしい”道を歩き出して1か月半がたった。世間がSMAPのいない日常に徐々に慣れつつある中、ファンは人知れず5人を支え続けている。
「解散した後ということもあって、ファンのみなさまによる“スマノミクス”という購買運動が起こっていると聞いています」
そう話すのは、中居正広がソロとして初めて出演したCM『氷結』を販売するキリン広報担当者。同CMで、力強くバットを振りながら「あたらしくいこう」と前を向く中居のセリフが印象的だ。
担当者によると、昨年の氷結CM出演者のさかなクンと比較して1・3倍のツイッターでの口コミ、志村けんと比較して1・5倍のテレビ露出につながっているという。
「またウェブではさかなクンが174件、志村さんが154件の記事が上がっていたそうですが、中居さんの場合は200件を超えているということです。またCM動画は1万回以上の視聴回数と、直近の情報としてあがってきています。(販売数の)正確な数字のほうはまだお伝えすることができないのですが、感触としてはそのよう(スマノミクスでアップ)にうかがっております」(キリン広報担当)
そう、安倍晋三首相の経済政策を称した“アベノミクス”に由来する、SMAPファンによる購買運動“スマノミクス”が全国各地で発動しているのだ。
「昨年の解散騒動で起きた、ファンによる『世界に一つだけの花』購買運動は、これまでの売上枚数におよそ40万枚を上乗せさせてとうとう300万枚に届かせました。熱意はバカにはできません」(前出・広告代理店関係者)
それだけではない。2月6日、読売新聞の朝刊で氷結の1面広告が掲載されると瞬く間に、駅やコンビニエンスストアの店頭で販売されていた同紙が姿を消したのである。
「お昼過ぎに(中居の広告を)知って急いで最寄りのコンビニに買いに行ったのですが、見事に読売新聞だけすっからかん。慌てて夫に連絡して、仕事場近くで買ってきてもらいました」(40代主婦)
読売新聞グループ本社広報部に聞いてみると、
「駅売りの2月6日付朝刊は通常より売れ行きがよかったと報告を受けています。読者などからの反響も大きく、本社には“キャッチコピーがカッコよかった”“どうしても新聞が欲しくてコンビニエンスストアで購入した”などの声が寄せられています」
新聞広告で使用されたコピーは《言わせとけ。》。独立、解散騒動でさまざまな報道がなされたことに対しての答えとも受け取れるひと言だ。
そして氷結につられるように、香取慎吾がCM出演する『明治北海道十勝スマートチーズ』を、おつまみとして同時に購入していくのだという。
「弊社が扱っていますスマートチーズはこれまでも比較的好調に売れている商品です。それ(スマノミクス)が直接の“トリガー”になっているかはこちらでは認識しておりませんが、SMAP解散にともなって、お客様が商品をご購入されているというのは、ツイッターなどの反響で確認しております」(明治広報)
ちなみにファンはこのセットを“スマ飲み”と称して楽しんでいるのだとか。
「満満満足、1本満足」のフレーズが耳に残る『1本満足バー』CMには、やたらとテンションの高い草なぎ剛が出演。
「草なぎさんの影響かはわかりかねますが、'16年は(前年度比で)106%と伸長しているので好評なブランドかと思います。季節に合わせまして新商品のご提案、マーケティング施策や広告もさせていただいていますので、それ(スマノミクス)に限らずとは思います」(アサヒグループホールディングス広報担当)
CMだけでなく、メンバーが出演したテレビやラジオでもスマノミクスが起きている。
1月12日放送の『ニンゲン観察バラエティ モニタリング』(TBS系)に、ドラマ『A LIFE〜愛しき人〜』の番宣をかねて木村拓哉が出演。ドラマ収録時に食べようとしていたシュークリームが1個減っていたことに「シューちゃんなくなってる」とこぼす木村。この“シューちゃん”はとくにブランド名は紹介されずも……。
「(商品名シューヴァニーユは)倍は売れていますね。“木村拓哉さんのシュークリームですか?”と反響はすごいです。早ければ昼には売り切れてしまうこともあって、生産を増やしてはいるのですが追いつかない状況です」(『フレデリック・カッセル』販売担当)
ファンの観察眼はすごい。
そして2月2日にバレンタインデー特集を組んだのが、稲垣吾郎のラジオ『編集長 稲垣吾郎』(文化放送)だ。
この日は、大丸東京で販売されている6つのブランドを紹介し、試食した稲垣。中でも「かわいい! ボク、写真撮ってもいいですか!?」と、はしゃいでいたのが『ゴンチャロフ』のチョコレート『プチ デザートアラモード』だ。
「稲垣さんのラジオの影響はものすごいですね。それまでは1日1件ほどのお問い合わせが連日20件以上、私が今日売り場で対応させていただいたお客さまだけでも10人以上から、“ラジオで扱っていた商品は?”との問い合わせがありました」(販売担当者)
このほかのブランドも、同様に売り場は大盛況だった。