「キャリアウーマン風の方に睨まれたので、(自分も)すごい睨み続けました。うちの子が何かしましたか? って」
1月28日の『訊きたい放題!』(TOKYO MX)でロンブー淳が怒りをぶちまけた。ある商業施設に行き、昨年10月に生まれた長女をベビーカーに乗せていたときの体験だという。
「ベビーカーに車載カメラつけてやろうかな。(睨みつける人が)どんな顔で見てるか自分で見ればいいと思って」
淳がベビーカー問題を取り上げたのは、昨年末にベビーカーの利用自粛を呼びかけた都内の寺院が話題になっていたから。
「“初詣で混雑するときは、ベビーカーでの入門をお断りする場合があります”という看板を出すと、“差別では?”“安全のために必要”と論争に。
ただ寺にも事情があったんですね。57段の階段があり、ベビーカーでは移動が大変。それで専用の参道を設けていました。でも、1台に何人もの大人が同行するなどの悪質なマナー違反が続出してトラブルに。しかたなく自粛を呼びかけたそうです」(一般紙記者)
子育てママにとっては切実な問題を、世間の女性たちはどのように考えているのか、街の声を聞いてみた。
「郵便局に行ったとき、ベビーカーで順番待ちをしていると、 “邪魔だ!”と言われました。人が通るのに十分なスペースは空けていたんですけどね……」(20代)
子連れの女性に対して、あからさまな悪意が向けられる現実がある。
「生まれて数か月の子どもをなぜ外出させるのか理解できない。病気になるのが怖くないのだろうか。昔は1歳になるまで外出はさせなかった」(70代)
「わがもの顔で電車に乗ったり、ベビーカーで道を占領したりするのはどうかと思う」(50代)
嫌な経験をしている人ばかりではない
イラつく側にも理由はあるようだ。ただ、誰もが攻撃的な態度になるわけではない。
「イラッとされるのはしかたないと思います。でも、実際にどうのこうの言ってくる人は変な人。そういう人から子どもを守らなければという意識はある」(30代)
世の中の目が変わってきたという声もある。
「7歳上の子の育児をしていたときは、もっと寛大だったと思いますよ。今はちょっと子どもが騒いでいるだけで“なんでしつけができていないんだ”という冷たい視線を向けられます」(30代)
しかし、嫌な経験をしている人ばかりではない。
「嫌な思いはしたことはありませんね。むしろ、ベビーカーで歩いていると人が寄ってきて可愛がってくれますよ」(20代)
「電車内ではベビーカーをたたんで抱っこしています。子どもが起きて泣きだしてしまうと、周囲の目線が気になることもありますが、優しい人が多いですよ」(30代)
子連れ女性を温かく見守る人も多いのだ。産婦人科医の宋美玄さんは、ベビーカー論争が過熱した背景には昨今のインターネットの普及があるという。
「誰もが手軽に発信できるようになって、匿名で掲示板などに書き込めるようになった。過激な意見は少数でも、まるでそれが大多数の声のように映りますからね」
ただ、2児の母である宋さんも不愉快な思いをしたことがある。
「渋谷にある商業施設に行ったときのことです。オープンして間もないころで、思いのほか混んでいました。すると、“子どもが親の都合で連れ回されてかわいそう”と、あえて聞こえるように言われたんです。反応したら負けだと思ったので、無視してそのまま立ち去りました」
商業施設でトラブルになりやすいのがエレベーター。
「最近ではベビーカー優先のエレベーターもあるのですが、使っていない人たちであふれていることがあるんです。文句を言ったことはありませんが、ちょっと残念ですよね」(宋さん、以下同)
お寺とは逆のマナー違反も横行しているのだ。子連れママにとっては困ったことだけれど、ベビーカーで出かけなければならないことも多い。
「現代は核家族化が進んで、お母さんと子どもが1対1で過ごす時間が圧倒的に多くなっています。外出するときに誰も預かってくれる人がいないなら、一緒に外に出なきゃならないですよね。それに今は、“1か月健診が終わったら外に出ていい”と医者から言われますからね」
子育てママが街に出られないのはおかしなこと。ベビーカーが迷惑に思われない方法はないのだろうか。
「ママの側も“子どもを連れてるんだから優遇されて当然”というようなオーラは出さないほうがいいと思いますね。卑屈になる必要はありませんが、 空間を占拠しているのは確かですから。気持ちが伝わるような感じで振る舞えば、怒りの気持ちを覚える人は少ないと思いますよ」
淳も番組内で言っていた。
「子どもが国の宝だって言うなら、みんなで大事に育てなきゃ」
気持ちに余裕があれば子育てママに優しくなれる。