'16年7月、診療報酬を水増し請求したとして詐欺罪に問われ、東京地裁によって懲役3年・執行猶予4年の有罪判決を言い渡された医師で元タレントの脇坂英理子氏。その約3か月後には厚生労働省が、医業停止3年の処分を発表している。
「タレント時代はバラエティ番組に頻繁に出演し、ホストクラブで豪遊する姿や派手な私生活が話題になっていました。判決が出てからすぐにtwitterを再開して、最近ではInstagram(インスタグラム)も積極的に投稿しているようです」(スポーツ紙記者)
そんな脇坂氏の現在を取材すると、『クラウドワークス』というウェブサービスで、記事執筆などを行うライターとして登録されていることがわかった。
同サイトはクラウドソーシングで仕事を受発注できるサービスを展開しており、彼女は医療系の原稿の執筆をしているという。
「クラウドソーシングはDeNAが運営する健康情報サイトで起きた一連の不祥事、いわゆる“WELQ問題”でも話題になりましたね。ウェブメディアから原稿執筆を受注するライターさんが1文字あたりの単価が1円以下で執筆するということもあって、手軽な発注先として知られています」(前出・スポーツ紙記者)
さっそく同サイトで本人と思われるアカウントを確認してみると、princessricoの名前で登録されており、脇坂氏本人がInstagramに投稿している写真と同じものがプロフィール写真としてアップされている(“すべての写真を見る”をクリックすると、プロフィールの詳細などこのほかの画面キャプチャがみられます)。
2月17日時点で、同サイトへの登録日は1月24日、『本人確認』という項目は「済」となっている。記載されている出身地や学歴なども本人の経歴と一致する。仕事内容は「ブログ記事作成」とあり、報酬額は「2円(文字単価)」。これは、まさしく“1円ライター”の部類に入る。
すでに14件ほどの記事執筆を受注しており、依頼者からの評価は上々のようだ。
スキル欄に“医師免許”、これってアリなの!?
はたして、これは本当に脇坂氏なのだろうか。同サイト内に掲載されている『本人確認』の仕組みを見る限り、免許書やパスポートなど公的な書類を送って、専用の事務局を通して承認作業を行っている。さらにプロフィール欄には本人のtwitterアカウントも紐づけられており、脇坂氏であることは間違いなさそうだ。
しかし、気になるのは『職種・スキル』の欄に「医師」「医師免許」と記載されていることだ。脇坂氏は現在、業務停止命令が出ているのにも関わらず、“医師免許”をスキルとして登録して仕事を受注している。この点、法律上の問題はないのだろうか。
医療過誤・医療事故を専門に活動している堀法律事務所の石黒麻利子弁護士に話を聞いてみた。
「免許取消ではないので、医業停止の場合は医師の肩書きを使うことに法的問題はありません。執筆業は患者さんに対してダイレクトに診療するわけではありませんし、医師法の医療行為には当たりません。なので、違法にはならないでしょうね」(石黒弁護士)
また業務停止命令を下した、医師の業務停止などの行政処分と手続きを行う厚生労働省の医道審議会に話を聞くと「ライターとしての仕事であれば問題はないです。医師免許を明示して仕事を受注することについてもご本人の問題です」(担当者)とのことだった。
脇坂氏本人に話を聞こうとコンタクトをとると代理人の男性が取材に応じ、脇坂氏が同サイトでライターとして登録していることを認めた。そして、今後の芸能活動については「社会貢献や人様の役に立てる企画やご依頼をいただけるのであれば、前向きに検討させていただきたい」と回答した。
ホストクラブで豪遊をしていた女医の転落、そして再出発。まずは「1円」から修行を積むということか。