10周年記念スペシャルが2週続けて視聴率20%超えを記録した『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)。この怪物番組をはじめ、テレビレギュラー8本を抱える“ウッチャン”こと内村光良が絶好調だ。
「あれだけの大物タレントにもかかわらず、共演者に緊張感を与えないところがすごいです。若手にも“好きなことをやっていいよ”と懐が広いんです」(テレビ局関係者)
それが視聴者にも伝わるのか、先日行われた『新入社員が選ぶ理想の上司ランキング』では、男性部門で初のトップに。タモリや池上彰よりも、多くの支持を集めた。
そんな“理想の上司”に育てられた人には、あのジャニーズアイドルも!
「イモトアヤコさんやNEWSの手越(祐也)さんも『イッテQ!』に出たてのころはまだロケに不慣れでした。手越さんは一緒にロケに出ていた内村さんの立ち居振る舞いを手本にして実力をつけ、バラエティータレントとしての地位を確立したんです」(前出・テレビ局関係者)
お笑い評論家のラリー遠田氏も、こう分析する。
「優しくて高圧的になったりすることもないので、若手芸人が気を遣いすぎないですむのでしょう。何もしゃべっていなくとも、番組に流れる雰囲気がよくなっている感じがしますね。今のバラエティーは過激なことが年々難しくなっていて、マイルドな笑いが求められている時代。その点、内村さんはちょうどマッチしていると思います」
実際、バラエティー番組の制作現場ではこんな声がささやかれているようだ。
「内村さんと同じ“お笑い第3世代”と呼ばれてきたとんねるずさんやダウンタウンさんだと、現場がピリつくこともあります。内村さんの場合、いい意味で、緊張感がないからノビノビとできるのでしょう」(芸能プロ関係者)
そのため、次世代の芸人たちから安心してリスペクトされる存在に。
「バカリズムさんもウッチャンナンチャンさんと同じ映画学校を卒業して、同じ事務所に所属しました。彼らに憧れて芸人になったそうです」(前出・テレビ局関係者)
そんな“業界内フォロワー”は芸人だけにとどまらない。
「内村さんはスタッフにもとても気遣いをする人。若手ADにも食事をおごったりすることもあるそうです。そのとき優しくしてもらったADがディレクターやプロデューサーなどに昇格したときに“内村さんと仕事をしたい”とオファーをするようなんです」(前出・テレビ局関係者)
レギュラー番組のタイトルを地で行くような「やさしいね」キャラが生きているというわけ。もっとも、それだけでやっていけるほど芸能界は甘くない。前出・テレビ局関係者は、その“プロデュース力”を絶賛する。
「『新・ウンナンの気分は上々。』(TBS系)の番組内で、当時バカルディとして活動していた三村(マサカズ)さんと大竹(一樹)さんをさまぁ〜ずに、海砂利水魚だった有田(哲平)さんと上田(晋也)さんをくりぃむしちゅーに改名させたのも内村さんです。これをきっかけに注目され、現在の活躍に至ったんです」
改名させたことへの責任感からか、その後も積極的に自分の番組に2組を登場させたという内村。今でもインターネット番組『内村さまぁ〜ず』などで共演をし続ける三村は、雑誌のインタビューでこう語っている。
《映画の批評も悪口も聞いたことない。こっちがそういう話をしても、それに乗っかって「あれはダメだね」と言うことすらない。「でも絵はよかったよね」「音楽はよかったよね」というふうに何に関してもいいところを見つけてくるんですね》
笑いについても、またしかり。放送作家はこう言う。
「笑いを見るのが好きな人なので、どんな種類の笑いも受け入れるんです。芸人としては“内村さんが笑ってくれているからもっと”と調子に乗ってしまう。泳がせてよさを引き出すというのがプロデューサー、演出家としての手腕なんだと思います」
内村チルドレンの皆さん
それゆえ“内村チルドレン”というべき芸人が多い、というのが、前出のラリー遠田氏の指摘だ。
「有吉弘行さんも低迷していたときに内村さんの番組に出て、再ブレイクのきっかけをつかんだんです。今、最前線にいる芸人さんで、内村さんにお世話になっている人は多いんですね」
そんな有吉は内村に対する感謝の気持ちを番組で表現。
「再ブレイクのきっかけになった『内村プロデュース』(テレビ朝日系)とそっくりな企画の番組を不定期に放送しています。内村さんに対するリスペクトの気持ちがあふれていました」(前出・放送作家)
さまぁ〜ずやくりぃむしちゅーの件も含め、いわば“タレント革命”を成功させることで、業界を活性化させてきたわけだ。それにより、ますます高まる評価と人望には“ポスト・タモリ”との呼び声もある。
それでいて、笑いへの情熱もまだまだ後輩に負けていない。NHK『LIFE!〜人生に捧げるコント〜』では今も精力的にコントで活躍中。さすがは、かつて『笑う犬』シリーズ(フジテレビ系)などのコント番組で一世を風靡した人だと思いきや、そのこだわりには別の理由も。
「内村さんは若い子どもたちに“イッテQのおじさん”と呼ばれるらしく、ちゃんとお笑いをやっている人として認知してほしいようです」(前出・芸能プロ関係者)
その“子どもたち”のなかには、自分の娘も含まれているのかもしれない。よきパパでもある内村だが、こんな証言も聞こえてきた。
「娘さんができてから、お子さんを溺愛のようです。しかし、そんななかでも、お笑いの勉強を欠かしていないそうで、娘さんがきゃりーぱみゅぱみゅさんのミュージックビデオを食い入るように見ている姿を見て、そこから笑いのための動きや表情を学んだりもしているようです」(前出・放送作家)
お笑いへの飽くなき努力も50代にして全盛期を迎えることができた要因なのだろう。これからも、ウッチャンには“ノビノビ&マイルド”な笑いを見せ続けてほしい!