昨年1月に亡くなった世界的ロックスター、デヴィッド・ボウイ(享年69)。50年におよぶ創作活動を音楽や映像で体感する大回顧展が世界9か国を巡り、日本に上陸! 連日行列ができるほど大盛況。日本文化にインスパイアされた衣装や直筆の絵画など約300点を堪能できる。

会場入り口のメインビジュアルと入場を待つ来場者

デヴィッド・ボウイ大回顧展に潜入!

 あの美しい男に再び会える! 世界各地の美術館で最多動員数を記録し、総動員数160万人を突破した大回顧展『DAVID BOWIE is(デヴィッド・ボウイ・イズ)』。リアルタイムでデヴィッド・ボウイの美しさに酔いしれた世代にはたまらない展覧会なのだ。イギリス、カナダなど欧米9か国を巡回し、10か国目の日本上陸。アジアでは唯一の開催となっている。

 展覧会は、ボウイの70歳の誕生日(1月8日)に始まり、2日間で約6000人が来場する人気ぶり。好きな日時に入場可能な「ALL TIME チケット」はすでに完売(※2月平日限定のALL TIME チケットは発売中)。入場時間が2時間ごとに指定されるチケットは前売り、当日券とも発売されている。

「本展は音も作品のひとつととらえ、全員に配布するヘッドホンの数には制限があり、日時を指定させていただいています」

 と、広報担当。入場時間は指定されるが、退場は自由なので、じっくり見ることができる。

 会場入り口には40〜50代の女性が多いが、なんと10〜20代のヤング世代も。なぜ?

「親世代の影響や、若い世代に人気のアーティストがリスペクトしていることが要因のようです」(広報担当)

 衣装やアートの展示が多いため、スタイリストやデザイナーを目指す若者も訪れているとか。それ以外にも、外国人の家族連れも目立つ。

 入り口で渡されるヘッドホンを装着して、会場を歩くと、何も操作しなくても音が流れてくる。“シンクロサウンド・ヘッドホン”といわれる、新しいシステムで、展示物の前に来るとインタビューの音声や音楽を聴きながら鑑賞できる。これぞ体感できる演出法で、臨場感に、ビックリ!

寛斎デザインの衣装、ボウイ様のふんどし

 展示の始まりは、山本寛斎がデザインした存在感のある衣装。侍や歌舞伎をイメージしたという斬新さが目をひく。親日家のボウイは、’70年代、寛斎にコンサートツアー用のステージ衣装を依頼。顔やスタイルが美しいボウイでなければ着こなせない。

 その奥には“出火吐暴威”と習字のような文字で刺しゅうされた、寛斎デザインの白いマントが……。もしかして暴走族をイメージした? のではなく、“激しい勢いで言葉を吐き出すもの”の意味で、“デヴィッド・ボウイ”の当て字にもなっている。

“出火吐暴威”と刺しゅうされた寛斎デザインのマント

 続いて、直筆の記譜や詩など貴重な展示を見ながら進むと、何やら“ふんどし”のような展示物が! これは、役者としても活躍したボウイが映画『エレファント・マン』公開(’80年、ジョン・ハート主演)前に、同作をブロードウェイの舞台で主演し、着用したもの。こ、ここに、ボウイ様の股間が……! リスペクトするファンには申し訳ないが、若かりしころの麗しきボウイ様の姿がチラつき、ふんどしにかぶりつき。

 その先には着用した、美しいボディの写真が。撮影禁止のため、ぜひ会場でご覧あれ♪

坂本、たけしが語る“異能の人”の魅力

 衣装に負けないくらいアーティスティックなパワーを放つのは、ボウイが描いた絵画。ボウイは天から三物、四物を与えられたようで絵もプロ並み! 作家の三島由紀夫を描いた作品は、現代絵画としても素晴らしい作品。何か彼と通じるものを感じたのか、自身の寝室の壁に飾ったほどのお気に入りだったようだ。

ボウイが描いた三島由紀夫の肖像画が飾られたコーナー

 日本独自の展示としては、大島渚監督の映画『戦場のメリークリスマス』(’83年公開)の展示コーナー。音楽を担当した共演者の坂本龍一、ビートたけしが、本展のために収録したインタビューを放映。坂本は「シャーマン的な人」、たけしは「特別な人」とボウイが世界に影響を与えた人物として思い出を語っていた。

 最後はライブ会場を彷彿(ほうふつ)とさせる、巨大モニターに囲まれた一角。その場に展示されている衣装を身にまとって歌うボウイの映像に、涙まじりに眺めるファンも。

 ボウイの魅力にたっぷり浸り会場を出ると、グッズ売り場とカフェへ。

 ここは入場券がなくても入れるフリー・スペース。カフェでは飲み物を頼むと、“稲妻”メイクのボウイのコースターがもらえ、記念にもなる。開催は4月9日まで。

 

《デヴィッド・ボウイ大回顧展》
『DAVID BOWIE is』◎4月9日(日)まで/火〜木・土・日・祝10:00〜20:00(最終入場19:00)、金10:00〜21:00(同20:00)/休館日:毎週月曜日(ただし3/20、3/27、4/3は開館)/会場:寺田倉庫G1 ビル(天王洲)/住所:東京都品川区東品川二丁目6番10号/料金:一般当日2400円(前売り2200円)、中高生・高校生当日 1200円(同1000円)、小学生以下は無料。
詳細は、http://davidbowieis.jp/

《関連イベント情報》
ボウイと時代をともにした写真家らによる展示会を開催。
●ミック・ロック写真展(東京・原宿VACANT/2月25日〜3月13日)
●BOWIE:FACES展(東京・目黒ブリッツ・ギャラリー/2月17日〜4月2日)
●鋤田正義写真展(東京・品川キヤノンギャラリー/3月6日まで)