菅田将暉

 11月公開の映画『火花』の主役に決まり、「お笑いがなかったら、今の僕は存在していないと思います。常に芸人さんの繰り出すパンチが好きで好きで好きで好きでしかたなかった」とコメントを寄せた菅田将暉。

 ピース又吉直樹による芥川賞受賞作の世界を、今や飛ぶ鳥を落とす勢いの彼が演じるのだが、プレッシャーも感じているようだ。

 というのも、彼は大のお笑い好き。'08年の『ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト』でファイナリストに選ばれ、16歳で上京したときには、

周りに知り合いもいない環境で早朝から深夜まで撮影のなか、わずかなプライベートの楽しみはお笑いのDVDを見て笑うことだったそうです」(芸能プロ関係者)

 過去にも野性爆弾やバカリズム、プリマ旦那など、たびたび好きな芸人を紹介していた菅田。いちばん好きな芸人と公言するダウンタウンと共演した際には、こんな展開に。

「昨年5月に『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)のゲストとして出演した菅田さんは、彼らと対面すると好きすぎるあまり平常心を保てず号泣。また、便箋8枚にも及ぶ手紙を読み、お笑いの専門家も舌を巻くほど的確で愛のあるダウンタウン論を展開していました」(テレビ誌ライター)

 昨年6月に放送された対談番組『SWITCHインタビュー 達人達』(NHK Eテレ)でも、“会いたい人”としてダウンタウン組の板尾創路を指名。さまざまな話題で盛り上がるなか、意外な一面も見せた。

菅田さんはこれまで7年間、俳優として寝る間も惜しんで仕事に打ち込んできたそうなのですが、そろそろ限界が来そうな気がすると悩みを吐露していたんです」(前出・テレビ誌ライター)

 すると板尾は、こうアドバイス。

板尾創路の言葉が腑に落ちる

「人はみんな変わるんだと。“人間、矛盾してないやつなんておれへん”“(変わるのも)いい言い方をしたら成長”だと。菅田さんは“なんかちょっと安心しました”と腑に落ちた様子でしたよ」(前出・テレビ誌ライター)

 実は、この名言の主が、『火花』の監督だった。

「芸人役という、彼にとって最も畏れ多い役をやるにあたって、監督が板尾さんだったというのは仕事を受ける大きな要因だったそうです」(芸能プロ関係者)

 とはいえ、コミカルな演技にも定評のある菅田。池松壮亮と組み高校生2人の無駄話だけで成立していたかのような異色のコメディー映画『セトウツミ』の大森立嗣監督からは、こんなエピソードが。

花火が身体について熱がるシーンがあったのですが、そこはもう“全力で熱がってくれ”とお願いすると、本番はものすごい顔で暴れてくれたんですよ(笑)。あの顔の作り方はどこかお笑いの影響もあるのかもしれませんね。役者なのに全然カッコつけたりしないんです

 まるでリアクション芸人みたいな熱演ぶり。しかも、すごいところはそれだけじゃなかった。

「現場で見ていて、一見するとガーッと役に入り込んでいっちゃってる感じに見えるんですけど、実は、2割3割くらいはそれを俯瞰して見ているんじゃないかなという印象は受けました。熱い部分と冷めた部分の両方を持ち合わせている芸人さんと、似通っているところもあるのかなと」(前出・大森監督)

 お笑いで身につけた感性を生かし、若手漫才師を楽しく演じてくれそうな菅田。この勢いで、『M-1グランプリ』にも出場しちゃったりして!?