井頭愛海 撮影/齋藤周造

「キャストの人たちにも“芳根ちゃんにそっくり”って言われています。高良(健吾)さんには、“しゃべり方や目線がすごく似ている”と。雰囲気を芳根さんに近づけようとは思っていましたけど、意識していないときに似ていると言われるのはうれしいですね」

『べっぴんさん』で、すみれ(芳根京子)の娘、さくらを演じている井頭愛海(いがしらまなみ)。似ているのは顔だけではないようで、

「私、取材のとき、パンくずを口につけたまま受けてしまったことがあって。そうしたらメイクさんに“お母さん(芳根)と一緒やん。お母さんもメロンパン口につけて撮影に行ってたよ”って(笑)。やっぱり親子やね、って言われてしまいました」

 そんなふたりの記念すべき初共演のシーンは、ナイトクラブで母娘が対峙(たいじ)するカット。

「夜遊びを叱(しか)られて頬を叩(たた)かれるシーンでした。私と芳根さんも、あのときはお互いをまだよく知らなかったので、その距離感がすみれとさくらにも重なって、お芝居にも出ていたかな、と思います。

 撮影を重ねるたびに一緒にお食事に行ったりして、ちょっとずつ芳根さんとの距離感が縮まっていく感じでした」

 すみれとさくらの確執がドラマでは描かれていたけど、井頭もそのときのさくらと同年代。自分自身にも反抗期はあった?

「私も去年くらいまではさくらみたいな感じだったと思います(笑)。“わかってるから、何回も言わないで!”みたいな感じで口答えしていましたし。だから、反抗する気持ちは演じていてわかります。でも、さくらとしてすみれさんを見ることで、お母さんはこんなふうに考えてくれていたんだ、とわかることも多かったです」

中身は“昭和のオバちゃん”!?

 昨年4月に東京の高校に入学。その半年後に、朝ドラの撮影で大阪に戻ってきている。

「今はまた家族みんなで過ごせるのがいいな、って。撮影が終わっても東京に帰りたくないなと思っちゃいます。やっぱり大阪の街が好きですね。大阪の人って“ふわーん”としている感じがして、電車とかでおばあちゃんが小さい子に話しかけていたり、ヒョウ柄の服を着ている人を見ると大阪やなぁ、って安心するんですよ(笑)。

 私、生粋の大阪人みたいで、現場ではノリのよさから“15歳には思えない。昭和のオバちゃんや”って言われてます(笑)」

井頭愛海 撮影/齋藤周造

 劇中ではさくらも成長して25歳になり、キアリスに入社。物語も終盤に入って、さくらにはどんなドラマが待っている?

「これから私も結婚します。でも相手が誰かは最初知らなくて、撮影前に“私、誰と結婚するんですかね?”って雑談していたら、出てきた名前に私自身がびっくりしちゃって。喜代(宮田圭子)さんには“(お相手の男性を)見る目が変わったでしょ?”って言われて“ちょっとだけ”って答えましたけど。視聴者の方にも驚いてほしいですね(笑)」

 朝ドラでひとりの女性の半生を演じてきた井頭。このあと、どんな女優を目指す?

「いろんな色になることができる、カメレオンみたいな女優になりたいです。あと、一番うれしいのは見てくださった人に“井頭愛海みたいな女優になりたい”と思われること。感動を届けたり、人の心を動かすことは誰にでもできることではないので、そういう存在になるために、これからも前進していければと思っています」

井頭愛海 撮影/齋藤周造

「天然と言われます(笑)」

 芸能界デビューのきっかけは?

「小学生のときにミュージカル『アニー』を見てミュージカル女優に憧れました。母のガラケーの録音機能を使って劇中歌の『トゥモロー』を歌って録音したんですけど、とてもじゃないけど……というレベルで(笑)。歌はダメだな、って」

 それでも女優の夢はあきらめられなかったようで、’12年に『国民的美少女コンテスト』でファイナリスト21人に選ばれ、審査員特別賞を受賞する。

「デビュー作が映画の『おしん』だったんですけど、今回の朝ドラも舞台が昭和。私、昭和が似合うと言われるので、次は現代の女子高生とか演じてみたいですね(笑)」

 自分はどんな性格?

「けっこう流されやすいタイプかな……。性格的には天然と言われます(笑)。誰とでも仲よくなれるんですけど、最初は少し引っ込み思案かも。現場でも初めのころは、監督さんとなかなか話すことができず、納得のいく演技ができなくてトイレで泣いたこともありました。でも今は自分の意見も言えるようになりましたし、周りからも“芯がしっかりしてきたね”って言ってもらえます。これって、負けず嫌いなんですか?(笑)」