若乃花(三代目)以来、実に19年ぶりの日本人横綱・稀勢の里が誕生。三月場所のチケットは即日完売! 大相撲人気が高まるばかりの今場所の見どころを、東京相撲記者クラブ会友の杉山邦博さん、相撲通で知られる女優の紺野美沙子さん、相撲女子“スー女”を自任するアイドル・山根千佳さんの三人に聞いた。
「2017年は世代交代元年になると、年始から申し上げてきました。稀勢の里が横綱になることを含めてです。まさに先場所は、それが顕著な場所となりました」
とは、東京相撲記者クラブ会友の杉山邦博さん。’03年初場所で引退した貴乃花以来、14年ぶりに日本人横綱が番付に記された三月場所(3月26日千秋楽、エディオンアリーナ大阪)が白熱している。
女性ファン注目の若手が続々! 白鳳はピークが過ぎた?
「若手の正代、御嶽海、石浦、遠藤、宇良、小柳らが世代交代ののろしを上げる力士であることは間違いありません。そこに新横綱・稀勢の里はもちろん、今まで相撲界を支えてきた30代の上位陣─白鵬、鶴竜、日馬富士、豪栄道をはじめ、照ノ富士、高安、玉鷲らがどれだけ厚い壁として立ちはだかる存在になりうるか。逆に若手がその壁をどう破っていくのか。これが最大の注目点でしょう」
相撲通で知られる女優・紺野美沙子さんは、
「やはり、4横綱の優勝争いですね。関脇、大関が最後までついていって、最後は4横綱の誰か……という展開が理想ですね」
また“スー女”タレントの山根千佳さんは、
「やっぱり、稀勢の里ですよね。ついに横綱になって、初めての場所。完全に今、稀勢の里に風が吹いているので、私は優勝すると予想していますが、白鵬がそこにどう立ちはだかるか。やはり、今まで相撲界を守り抜いてきた意地やプライドがあると思いますし」
場所前、稀勢の里に会ってきたという杉山さんは、
「仕上がりはいいですよ。いろんなオファーが殺到している中で、昔からお世話になった人以外のものは断っています。午前中はしっかり稽古して、午後だけ表敬訪問していましたから。決して浮かれてもいないので、大丈夫でしょう」
最強の横綱・白鵬も32歳。ピークを過ぎたという声が一部ではあがっている。
「昨年の五月場所で大鵬を超え、歴代最多となる37回目の優勝を達成。ある種の満足感があることは間違いありません。今、彼の頭の中にあるのは優勝記録よりも、魁皇が持つ1047勝の歴代最多勝ち星に並び、超えることでしょう(※先場所末時点で、白鵬の通算勝ち星は1019勝)。
ただ、本人がそう思っていなくても、衰えや陰りが見え始めたという見方をされてもやむをえません。事実として4場所、優勝から遠のいていますから。この屈辱から気持ちを切り替え、やる気さえ出せば、私はまだあと3回や4回の優勝は十分ありうると見ています」(杉山さん)
※この記事の内容は開幕前の取材に基づいています。横綱・白鵬は右足などの負傷で春場所5日目の16日から休場しました。
大関も新旧交代? 琴奨菊は復活なるか
大関から陥落した琴奨菊は、今場所で2ケタ勝てば大関に復帰できるが、
「琴奨菊ファンの方には大変申し訳ないんですが、彼には非常に厳しい場所になると私は見ています。“今までよく頑張った”と温かい拍手を送ってあげてほしいと思います」
と杉山さん。また紺野さんも、
「ぜひ戻ってほしいと思いますが、どんな強い力士でも、その地位にずっととどまることはできないので……。堂々といい内容の相撲を取ってほしいです」
照ノ富士は角番。負け越せば大関陥落となるが、
「強気な力士ですし、ギリギリ勝ち越して、踏ん張るんじゃないかと思います。正直、稀勢の里よりも早く横綱になると思っていたんですが、ケガが……」(山根さん)
一方、新大関候補と目されているのが、高安。
「先場所2ケタ勝ったので、今場所も2ケタ勝って、来場所は大関取りに、ぜひ挑戦してほしいです。同部屋の兄弟子・稀勢の里の援護射撃にも期待します」(山根さん)
「去年の大関取りは失敗しましたが、もう間違いなくいくと思いますね」(紺野さん)
千秋楽に賜杯を抱くのははたして──?
<プロフィール>
◎杉山邦博さん
大相撲観戦歴64年。’53年にNHK入局。’87年の定年まで一貫して大相撲実況を担当。東京、メキシコ五輪をはじめ、各種スポーツ実況も。現在は東京相撲記者クラブ会友、日本福祉大学客員教授など。
◎紺野美沙子さん
大相撲観戦歴約50年。慶應義塾大学在学中にNHK連続テレビ小説『虹を織る』のヒロインで人気を博す。テレビや映画はもちろん、国際協力の分野でも活動中。’10年より『紺野美沙子の朗読座』を主宰。
◎山根千佳さん
大相撲観戦歴18年以上。『37thホリプロタレントスカウトキャラバン2012』を経て、芸能界デビュー。バラエティー番組を中心に活躍中。家族そろって好角家で、物心がつく前から相撲を観戦している。