「好きな人ができない」と言う婚活女子の共通点
連載第5回、第6回と、“メリット”を与えあえる人で周囲を固めて、“婚活環境”を良くすることについて書きましたが、婚活女子のGさんから、こんなメールが届きました。
「“婚活環境”を良くすることは大事だと思います。でも、やっぱり大事なのは男性と出会うことだと思うのです。もう何年も彼氏どころか好きな人もいません。どうしたらいいですか?」
おそらく、Gさんと同じことを思っている読者の方も多いことでしょう。なので、どうして“婚活環境”を見直す必要があるかについて、もう一度お話ししたいと思います。
仕事のご褒美として、上司が有名なレストランに連れていってくれるそうです。どうしたら、おいしく食事ができると思いますか?
多くの人が「シェフの腕がよければ、食事はおいしい」と答えるでしょうが、それは不正解。有名店であっても食事をおいしく感じるかどうかは、半分はみなさんのコンディションにかかっています。例えば、食事の直前におやつを食べすぎて満腹だったら、せっかくの料理の味がわからないでしょう。反対にお腹が空きすぎた状態では、食事を味わう余裕がなくなります。みなさんのコンディションが悪ければ、どんなおいしい食事も台無しなのです。
婚活も同じです。自分のコンディションを調整する、つまり“婚活環境”を良くしておくことで、相手の良さに気付くことができます。婚活女子最大のお悩み「好きな人ができない」ことも、“婚活環境”を見直すことで改善される可能性があります。
「好きな人ができない」婚活女子とメールをやりとりしていると、孝行娘が多いことに気付きます。「親孝行はいいことだ」と無条件に信じているみなさんは驚くかもしれませんが、親孝行には“マイナスの思考回路”が潜んでいます。
ご両親が離婚している、離婚はしていないけれど、お父さんが経済的に頼りなかった。母親の苦労を見て大きくなった娘たちは「自分がお母さんを助けたい」という意識を持って成長します。就職後は、母の日や誕生日のプレゼントはもちろん、食事や旅行に連れて行ったりもします。給料のほとんどをお母さんに渡しているケースもあります。
孝行娘は「愛することは、相手に直接的に貢献すること」と信じているので、婚活の際に「私のために何をしてくれますか?」と人事部的な視線で男性を見てしまいます。自分が努力家なぶん、孝行娘が相手に求めるレベルも高い。その結果、「頼りない」と怒りや寂しさを感じてしまう。親孝行が婚活のハードルを上げてしまっているのです。
上戸彩がはまる「孝行娘のジレンマ」とは
女優・上戸彩は、孝行娘のジレンマにはまっているように私には見えます。上戸は『徹子の部屋』(テレビ朝日系)などいろいろな番組で、両親の離婚で逼迫(ひっぱく)した家計を助けるために芸能界入りしたこと、財布には二千円しか入れないで貯金をし、お母さんに家をプレゼントしたこと。結婚したら山口百恵さんのように引退して、たくさん子どもを持ちたいことを話しています。
家庭に対する思い入れは並々ならぬものがあり、『女性セブン』(小学館)によると、「料理や掃除、洗濯とか、女としての仕事をちゃんとこなせるようにしたい」と家事を請け負う宣言をしていました。そんな上戸ですが、EXILEのリーダーだったHIROと結婚し一子をもうけたものの、離婚危機説が何度も浮上しています。
親孝行、家事は女性の役目、家族が一番。ここまで家庭を優先に掲げながら、離婚説が出ることに婚活女子はとまどうかもしれませんが、ここに孝行娘の典型的な盲点が隠れているように私は思います。親孝行と過去への執着は紙一重なのです。孝行娘は「お母さん(と私)かわいそう」という過去と、「だから、こんな家庭がほしい」という未来にばかり目をやって、今をおろそかにしがちです。理想の家庭は努力ではなく、男性と作るものです。ですから、大事なことは、男性といい関係を築くことなのです。
これまでの人生に欠けていたものを、結婚生活に求めることを私は“ココロの借金”と呼んでいます。傷ついた心を受け止めてほしいという気持ちは、理解できます。が、この発想は、男性に「オレが過去に作った借金、愛してるなら、全額返済してくれるよね?」と迫られるくらい、理不尽で暴力的な行為であることも忘れないでください(ココロの借金の詳細については、拙著『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』をご参照ください)。
娘に結婚してほしいと願うお母さんにとって、最大の親孝行とは、みなさんがしっかりした伴侶を見つけることではないでしょうか。そもそも、健康でお仕事をしている時点で、みなさんは十分、孝行娘です。これまで親孝行してきた人は、お母さんに費やしてきた時間を、男性のために使ってみてください。お母さんでなく、男性とたくさん会話すること。それが“婚活環境”を強化することにつながります。
次回は最終回となります。『東京タラレバ娘』(講談社)のタラレバ娘たちはなぜ結婚できないかについて、考えたいと思います。
<プロフィール>
仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ。会社員を経てフリーライターに。『サイゾーウーマン』『週刊SPA!』『GINGER』『steady.』などにタレント論、女子アナ批評を寄稿。自身のブログ、ツイッターで婚活に悩む男女の相談に答えている。2015年に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)を発表し、異例の女性向け婚活本として話題に。2016年8月に男性向け恋愛本『確実にモテる世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)を上梓。