家にインターネット回線がある、またはスマートフォンを持っていれば、地上波のテレビ番組はもちろん、海外で話題のドラマや映画、スポーツなどが見放題になるネットテレビ。競争はますます激しくなっている。

 2011年に日本へ初上陸を果たした動画配信サービス大手のHulu。日本のネットテレビ普及率の現状と手ごたえを、Huluの日本向けサービスを手がけるHJホールディングス合同会社広報チームの後藤直子さんに伺った。

人気ドラマの”見逃し配信”が大人気

Huluの2016年視聴者数ランキング

「加入者数は緩やかに増え続け、現在151万人(2016年12月現在)の方々にお楽しみいただいています。主な視聴者層は20代~30代。最近は“見逃し配信”へのアクセスが多いことが特徴的です」(後藤さん、以下同)

 見逃し配信とは、テレビで放送されたドラマやバラエティーなどを、ネットで見ることができるサービス。

『ゆとりですがなにか』は、総合ランキングで7週連続1位になったほど。決まった曜日と時間にテレビの前で番組を見るという生活習慣ではない世代に響いた作品で、Huluでは大人気でした」

 2014年、Huluは日本における事業が日本テレビ傘下に入って以降、日テレ系ドラマのスピンオフ番組や独自コンテンツにも力を注いでいる。

「アラサー女子の悲喜こもごもを描く『東京タラレバ娘』のスピンオフ作品『東京ダラダラ娘』は、アラフォー女子の悩みを本作さながらの設定で展開する人気作です。今は競合各社がそれぞれのカラーを出しながら動画配信サービスの裾野を広げていくことが重要だと考えています」

 5月以降にモバイル向けリアルタイム配信など全面リニューアルをするHuluだが、今後のオススメは?

アン・ハサウェイやジャスティン・ビーバーといったハリウッド女優、セレブが口パクパフォーマンスでバトルする『リップシンクバトル』。そして、アンジャッシュの渡部(建)さんが地方で美食レポをする『渡部の歩き方』は、東京の番組では登場しない名店が続々と登場するので旅のおともに最適です。小栗旬さんが主演するオリジナルドラマ『代償』も地上波に負けないクオリティー。地上波のように決められた放送時間を流す必要がないため、毎回長さが異なります。濃い部分はとことん濃くできるのもオリジナルドラマの強みです」

 一方で課題もあるという。

「視聴者層のメインストリームともいえる40代以上の方々にはまだ浸透していないと実感します。体験会などでサービスの説明をすると“どうやって見るの?”“どんな番組があるの?”という声がありました。」

メインの視聴者層をどう振り向かせるか

 おトク&簡単にネットで見られるといっても、ネットで動画を見る習慣がないユーザーをどう引き込むかが問われている。

『アンパンマン』や『Disney BOX』は、ランキング上位に入る人気コンテンツ。お子さんを持つ家庭にとって魅力的な番組や、お年寄りの方々が楽しめる番組などを作ることでユーザーを振り向かせていきたい」

 “テレビ以上に動画配信サービスが欠かせない”という状況を作り出すことができれば、世代関係なく自ずと食指は動くはず。

ひと昔前は、“無料で飲める水道水があるのになぜ有料で水を買うの?”という考え方があった。ところが今ではミネラルウォーターが当たり前に。近い将来、ネットテレビもそのような存在になると思っています。その先頭にHuluがいるように、私たちもより多くのお客様を満足させる番組を配信していければと思います」