子どもの入学や夫の転勤など、春は新生活が始まるシーズン。大人の「初めまして」をしくじると、取り返しのつかないことに! イヤでも付き合わなくちゃいけないご近所さんとの正しい関わり方とは──。

 

「初対面での印象は、今後のご近所付き合いを左右します。上手にコミュニケーションしていきたいものです」

 と話すのは、「伝え方」の技術を教えるコピーライター・佐々木圭一さん。“第一印象をよくするためには、伝え方がカギ”だという。

ポイントは “自分の思ったことをそのまま口に出す” のではなく、“相手の頭の中を考えたうえで伝えること”。この1点を守るだけで “この人、いい人だな” と思ってもらえる可能性がグンと上がります」(佐々木さん、以下同)

 伝え方はセンスではなく、技術。

「料理はレシピがあれば誰でも作れます。伝え方にも同じようにレシピがあり、誰でも身につけることができます」

 技術を知って、あとは実践あるのみ。1度身についてしまえば、あらゆるシーンで活用できるはず!

初対面で効果的な伝え方ポイントは2つ!

「あなたのお願いを実現させる答えは、自分の中にない。相手の中にあるものです」というわけで、佐々木さんが提案する伝え方の技術の中から第一印象がバツグンによくなる2つを伝授。

【1】相手の好きなこと

「相手は何が好きなのか」を見つけることで、今後のお付き合いにもプラスに働く。なにかお願いをする場面でも、相手の好きなこと(メリット)から考えることで、好感度がグッと上がる。

【2】認められたい欲

 人に期待されると、そのとおりの成果を出したくなるもの。“頼りにしている”というスタンスを相手に伝えることが大切。「すごい!」「さすが!」などが認められたい欲を刺激する言葉。

 それでは実践です。

引っ越しの挨拶を〇×でジャッジ

「隣に越してきた小林です。これからよろしくお願いします」(×)

「ご挨拶に伺ったら、みなさんやさしそうな方ばかりで、ここに引っ越してきて本当によかったです」(〇)

 笑顔で、気持ちよく挨拶することが大前提。そのうえで「相手の周囲の人をいい人と伝えることは、相手の“認められたい欲”を刺激してあなたの好感度を上げます」(佐々木さん)。手土産は、できれば前の土地で用意してくると話題になる。“前に住んでいたところでおいしいと評判だったものなんです”など会話のきっかけが作れてコミュニケーションが広がる。

 さらに、「ここはゴミ捨てのルールって、ありますか?」など地域のルールを聞くことで、“きちんとしてそう”という印象に。自分の家族のことを話すのは、あなたが“どんな人なのか”が伝わって相手も安心するが、しゃべりすぎは禁物。常に“教えてください”というスタンスを忘れない。

こんなときはどうする?

【立ち話が長くて帰れない】

「もうこんな時間! そろそろ帰らなきゃ」(×)

「もうこんな時間! 楽しくて、ついこんな時間まで話しちゃいました! 夕飯の買い物、忘れちゃうとこでした」(〇)

【話したくないことまで聞かれたとき】

「それはプライベートなことなので」(×)

「山田さんの足もとにも及ばないから、恥ずかしくてとても言えないですよー!」(〇)

【悪口や愚痴が多く、同情を求めてくるとき】

「そうですよねー、わかります」(×)

「山田さん、いろいろ考えていてすごいですね! 私は鈍感なので、そこらへんの事情がわからなくて……」(〇)

 言いたくないことを言うときも「認められたい欲」を使えば、相手をイヤな気分にはさせない。悪口に同調してしまうと、勝手に仲間にされてしまう。「そういう話題はよくわからない」と敵でも味方でもないことを伝えよう。

<教えてくれたひと>
佐々木圭一さん◎コピーライター、作詞家、上智大学非常勤講師。伝え方には技術があることを発見。著書の『伝え方が9割』シリーズはベストセラーに。