閉ざされた孤島で起きた男女10人の連続殺人事件──アガサ・クリスティの傑作ミステリーの日本初の映像化が実現した。3月25日・26日夜9時よりテレビ朝日系で2夜連続放送される『そして誰もいなくなった』は、主演・仲間由紀恵をはじめ向井理ら豪華キャストが、次々と殺されていく話題作。その撮影現場の裏側を、プロデューサーに直撃!
実力派女優&俳優が競演、向井の“死に方”はお墨つき
「錚々たる顔ぶれがそろったこともさることながら、セットも見事。私は40年近くドラマ制作に携わってきましたが、ここまで見事なセットは初めてです。制作費は大丈夫か? と不安になるほど(笑)」
と、藤本一彦プロデューサー。2夜連続ドラマがもう1作品作れるほどの時間と制作費を投じたという今作。原作はアガサ・クリスティの同名小説。閉ざされた孤島の招待客らが10人、次々に殺されていく。テレビ朝日では数年前から、英国のクリスティ財団と映像化を交渉。念願叶って2夜連続のドラマ化に成功した。
「ミステリーの金字塔を日本で初めて映像化することは、われわれにとって大きな喜びですし、キャストのみなさんも(出演を)快諾してくださいました」(藤本P、以下同)
舞台は八丈島沖に浮かぶ孤島(兵隊島)の『自然の島ホテル』。オーナーに招待され、8名の男女がやって来る。元水泳選手(仲間由紀恵)、ミステリー作家(向井理)、元傭兵(柳葉敏郎)、外科医(余貴美子)、元刑事(國村隼)、元スター女優(大地真央)、元国会議員(津川雅彦)、元裁判長(故・渡瀬恒彦さん)。ホテルの執事夫婦(橋爪功、藤真利子)によると、オーナーは不在という。
夕食時、突然聞こえてきた“謎の声”は、執事夫妻を含め、招待客の知られたくない過去を次々に明かしていく。そして直後に、最初の殺人が起き──。
孤島という“密室”状態での殺人事件。“自然回帰”がコンセプトのホテルなので携帯電話もパソコンも使えない。
10人のなかに犯人がいるのか? 誰が何のために? または犯人である11人目が登場するのか?
主演の仲間をはじめ出演者が次々と殺されていく名演技は見もの。第1夜から惜しげもなくどんどん死んでいく。向井の死に方は、収録に偶然居合わせた医療監修の医師からお墨つきをもらうほどの迫真ぶり。ほかの登場人物も、さまざまな最期を迎え、必見だ。
仲間が3日連続で料理した、大地伝授のレシピとは
「演技巧者がそろったので、NGもほとんどありません。孤島で起きた事件のため、屋外ロケも多かったんです。しかし、晴れてほしいときは晴れ、風が欲しいときは吹く。天気まで味方につけて、撮影はいたって快調に進みました」
撮影現場には飲み物などを用意したテントがあったが、そこに出演者からの差し入れが絶えることはなかったという。
「インパクト勝負でなく、美味しいお菓子などの銘品で埋め尽くされていました。柳葉さんはじゃんがらラーメンのケータリングを差し入れしてくださいましたね。みなさんの差し入れのあまりの豪華さに、制作サイドは鉄板を持ち込み、焼きたてのステーキを召し上がっていただきました」
出演者は、自分が何番目に殺されるか、どんな殺され方をするのかなどを話して良好な雰囲気。潤滑油になったのは橋爪という。仲間は大地と女子トークで盛り上がった様子。
「料理の話になり、大地さんが伝授した“レタスしゃぶしゃぶ”を、仲間さんは3日連続で作って召し上がったと喜んでいました」
不朽の名作、豪華出演者に重厚なセットと“不可能に近いことが実現した”今作を、トータル・エンターテイメントとして楽しんでほしいと藤本P。
「密室の殺人や殺害方法など、見たことがあるトリックと感じるかもしれませんがミステリーの多くはこの作品が原点になっているんです。ミステリー好きの方なら必見。原作をお読みになった方は、誰が犯人か、想像がつくかもしれません。しかし、読んだ方でも必ず驚く結末を用意しています」
事件の真相を解き明かしていくオリジナルの登場人物の刑事(沢村一樹、荒川良々)の活躍にも期待して。
※今月14日に渡瀬恒彦さん(享年72)が亡くなる前に取材した記事です。