いろいろな動物の生態や、自然の厳しさを放送してきたNHKの『ダーウィンが来た!~生きもの新伝説~』が、4月9日の放送で500回を迎える。最前線で番組を制作している原田美奈子ディレクターが語る、思い出の放送回を紹介!

第481回『潜入! 秘密のネコワールド』(’16年11月20日)

『潜入! 秘密のネコワールド』(c)NHK

「動物写真家の岩合光昭さんとコラボした回です。野生動物としてのネコの知られざる姿を見つけだすため、30年以上、野良ネコを研究する研究者のもとに通い取材を続け、何とか番組化にこぎつけました。ロケは半年間ほど“猫島”として有名な福岡県の相島へ通いました。番組終了後、たくさんの反響があり、第2弾を制作することが決まりました! 次回の放送を楽しみにしてください!」

第358回『歩いて冬眠!? ホッキョクグマの秘策』(’14年4月6日)

『歩いて冬眠!? ホッキョクグマの秘策』(c)NHK

「実はこの撮影が4Kで自然番組を作る、最初だったんです。それ相応の“王者”のような存在を撮りたいと思ったときに浮かんだのがホッキョクグマ。ロケ期間は『ワイルドライフ』(BSプレミアム)と合わせて2か月ちょっと。氷点下30度以下の世界。ホッキョクグマが1頭だけで何もない氷の上で生きている姿には、神々しさを感じました」

第440回『ネズミ退治に大活躍! 人気フクロウ』(’15年12月6日)

『ネズミ退治に大活躍! 人気フクロウ』(c)NHK

「知人のイスラエル人から農業に役立つ面白い鳥がいると教えてもらったのが、このメンフクロウ。日本に生息するフクロウは、研究者が近づくと血みどろになるといわれるくらい攻撃的です。でもメンフクロウは穏やかな性質で、研究者が巣箱を開けて中を見ると、“ひゃぁぁぁ”みたいな感じで後ずさりするだけ。兄弟で食べ物を分け合ったり、隣近所で仲よく暮らす姿は、とても平和的でした」

第450回『砂漠に生きる! 幻のオオカミ』(’16年3月6日)

『砂漠に生きる! 幻のオオカミ』(c)NHK

「気温50度になる砂漠にオオカミがいる! と聞き、飛びついたテーマです。オオカミは警戒心が強くて、撮影するのが本当に難しいんです。何日も撮影できずにいると、地元の人からのよく現れるという情報で、向かった先は強烈な悪臭の家畜の死骸置き場。そこで待った3日目の夜、奇跡的にオオカミの家族が現れました。うれしかったけど、臭いし、暑いし、眠いし、大変な思い出のある回です」

番組ディレクターに、スクープの秘密を聞いた!

 自然や動物を相手に、さまざまなスクープ映像を撮ってきた『ダーウィンが来た!』。原田美奈子ディレクターにロケや取材の“秘密”を聞きました。

ヒゲじい (c)NHK

Q:番組のテーマとなる動物はどうやって決めるのか教えてください。

A:ディレクターによって、自分が行ってみたい場所から探す人もいれば、取り上げたい動物から探ることもあります。

 ただ、過去に取り上げたことのある有名動物は再提案するのが大変。違う視点や新しい発見などがないとまず番組になりません。やりたいけど、まだやれない! なんてジレンマも多いですね。

Q:ロケ期間はどれくらい?

A:テーマによって変わりますが、平均で1か月ほどです。

Q:ロケチームは何人くらい?

A:基本的に日本からはカメラマンとディレクターの2人。高画質の4Kで撮る場合は、もう1人ビデオエンジニアがプラスされ、さらに現地コーディネーターとドライバーを加えて4~5人くらいになります。少人数でスーツケース20~30個になる大量の機材を運ぶのは大変なんですが(苦笑)。

Q制作ペースは?

A:だいたい1本の番組をつくるのに最低3か月はかかります。事前取材が1か月、ロケが1か月、その後の編集に1か月です。番組を担当するディレクターは20人くらいいますが、みんな世界中を駆け回っているので、全員が顔を合わすことはめったにありません。

■愛すべき!? キャラクター ヒゲじいって何者?

 噂によると、進化論を唱えたダーウィンのヒゲから生まれたらしいです(笑)。家族構成は謎に包まれていますが、子どもがいることは発覚しましたね。番組内でダジャレを多発しますが、きっかけは声優の龍田直樹さんが、第1回目の収録のときにアドリブで入れたのがきっかけだったそうです。

<番組情報>
『ダーウィンが来た!~生きもの新伝説~』
NHK総合で日曜日19時30分~19時58分放送。3月26日の放送は『潜入! 大都会のトカゲ王国』を放送予定。