みやぞん 様
私が構成を担当している『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)がスタート以来、10周年を迎えて、先ごろ都内某所で記念パーティーが開かれた。
深夜時代から番組に関わってきたスタッフが全員言っていたのが、「まさかゴールデンに進出して10年も続くとは思わなかった」。
しかも、10年目にして皆さんもご存知のように、視聴率的に絶好調なのだ。
番組が始まった当初、総合演出で今や日テレのエース、古立善之くんが我々担当作家に言ったことで、ものすごく覚えていることがある。
「今までのドキュメントバラエティは海外ロケしたら、目的地に行くまでの過程を番組にしてきました。でもこの番組は違います。目的地に着くまでなんてTVの前の視聴者には一切関係ないから、さっさと着いちゃってそこからロケを始めたいと思います」
私はその言葉を聞いて「その演出方針は相当新しいな」と感心した記憶がある。ご意見番・出川哲朗がVTRを受けてよくコメントしている「演者がこんなに時間かけてロケしてるのに、編集で3分にしちゃう。ここのスタッフ、頭おかしい」というブランニューな演出法が誕生した瞬間である。
『イッテQ!』が産んだスター、イモトアヤコをはじめとする『イッテQ!』メンバーの皆さんのロケでの奮闘ぶりもすごいが、その陰で番組の屋台骨を支えるのは優秀すぎるディレクター陣。
番組開始当初、某ディレクターに飲みの席で聞いたのだが、番組収録の際に「他のディレクターの作ったVTRがウケなかったらガッツポーズする」と。裏を返せば、それだけ自分の作ったVTRを愛している証拠。ディレクター同士、いい意味でのライバル関係と緊張感を保っているのだ。これも『イッテQ!』の武器だと思う。
ホント、我々作家なんて会議室でちまちまとアイデア出してるだけですから。業界きっての野武士集団、『イッテQ!』のディレクター陣と、それに応えて全力で頑張る『イッテQ!』メンバーの皆さんにはマジに頭が下がります。
そして、10周年を迎えた番組がまた新たなスターを産もうとしている。ANZEN漫才のみやぞんだ。
いわゆるバラエティー的に「持ってる」男。ロケ現場で笑いの神様が降りてきたとしか思えない数々のミラクルを手にしてきた。
10周年のパーティーの時も、ステージでみやぞんが挨拶しようとした途端、会場の照明トラブルで明かりが落ちて真っ暗に。
「あ、あれ~!?」
あまりのタイミングのよさに会場中、大爆笑。そしてそこにいた誰もが思った。
「こいつ、やっぱ『持ってる』わ~!」
そんなみやぞんに「2017年一番持ってる男」賞を勝手にあげて表彰したいと思う。
視聴者の皆さん、『イッテQ!』をこれから先も末永くよろしくお願いいたします。
<プロフィール>
鮫肌文殊(さめはだ・もんじゅ)
放送作家。’65年神戸生まれ。古舘プロジェクト所属。『世界の果てまでイッテQ!』など担当。渋谷オルガンバー「輝け!日本のレコード大将」(毎月第2金曜日)、恵比寿頭バー「歌謡曲主義」(毎月第3火曜日)などでの和モノDJ、関西伝説のカルトパンクバンド捕虜収容所のボーカリストなど音楽活動も数多い。
<鮫肌文殊の最新情報>
『らぶれたあ~オレと中島らもの6945日』(講談社刊)、まだまだ絶賛発売中!
この春、深夜から日曜22時に進出! 『にちようチャップリン』(テレビ東京)も担当しています。こちらもただひたすらくだらない番組ですので、ぜひご覧くださいませ。