春は出会いの季節! 素敵な恋の芽生えに期待したいところだけれど、予期せぬトラブルには気をつけて! 婚活にコスプレに壁ドンと「これってOK」と思っていたことが一歩間違えば犯罪になることも?

※イメージです

婚活で出会った男に妻子が! 慰謝料は誰から誰に?

 奥さんいないって言ったくせに! ダマされたのは私のほうなのに、泥棒猫扱いされちゃうの?

「形としては男性との不貞行為になってしまいます。ただ、こうした不法行為の責任を問うには故意または過失があることが必要。その点、婚活はお互い独身が前提です。男性の妻から慰謝料を請求された場合、結婚していたことを知らなかったとして、退けることもできます」(佐藤弁護士)

 逆に、貞操権を侵害されたとして男性への慰謝料請求が可能な場合も。相手の子どもを身ごもったが、既婚者だったため中絶を余儀なくされたとして、300万円の慰謝料が認められたケースも。

性交渉がなかったとしても、結婚を前提として付き合っていた場合は、人格権や期待権を侵害されたとして訴えることもできます。ただし、慰謝料は取れてもせいぜい数十万円ほど」

「エロい写真、送って」彼のリクエストにこたえたら……

 悪ノリして彼に送ったH写真。自慢げに友達に送信されたり、別れたあとにネットで公開、その写真を使って脅されたりする『リベンジポルノ』が社会問題になっている。

 万が一、拡散されたら?

自分で送ったとしても、拡散されることを予想して送ったわけではないので、名誉毀損などで送った相手を訴えることはできます

 と佐藤弁護士。’13年に発生した三鷹ストーカー殺人事件をきっかけに通称『リベンジポルノ防止法』が成立、刑事告訴することも可能になった。

リベンジポルノ防止法は親告罪なので、被害者が告訴しなければ、罪には問えません

 まずは一刻も早く弁護士に相談、差し止め・削除の手続きを踏むこと。

そもそも、そんな写真を撮らない、送らないこと。ネット社会の怖さを大人も子どもも自覚すべきです」

繁華街にはびこる「キャッチ」がウザい! 対策は?

客引き行為は、多くの自治体が迷惑防止条例で禁じています。警察に通報すれば逮捕などをしてもらえるでしょう

 と、佐藤弁護士。

 しつこくつきまとい、進行を邪魔してきた場合は軽犯罪法に触れる可能性も。

「第1条に “他人の進路に立ちふさがって、もしくはその身辺に群がって立ちのこうとせず、または不安もしくは迷惑を覚えさせるような仕方で他人につきまとった者は1日以上30日未満の拘留、または1000円以上1万円未満の科料(罰金より軽い金銭的な刑罰)を課す” という規定があります」

 ただし、しつこいからといって、ドンと突き飛ばしてしまったら暴行罪で訴えられるおそれが。

相手が無理やり手を引いてくるなどしない限り、正当防衛と認められにくい場合も。絶対に手は出さず、警察を呼ぶこと

女子高生がなめたアメを売るJKビジネス。裁かれるのは……

 取り締まってもイタチごっこ状態のJKビジネス。女子高生が口に含んだアメを1粒500円でオジサンに売るという、アブない事例も報告されているとか。

 桑原弁護士によれば、

「多少、名称は違いますが多くの自治体で『青少年保護育成条例』が制定されています。その中で着用ずみの下着や唾液、ふん尿などの売買を禁じる条項を盛り込むケースがここ数年、増えてきています

 売ったのがアメでなく唾液だと解釈すれば、青少年育成条例違反に。

「この条例は、買った側やそれを斡旋した業者を規制するもの。つまり罰せられるのはオジサンのみで、女子高生は罰せられませんが、補導の対象にはなります」

クールジャパンの謎のコスプレーヤーの露出はどこまでOK?

 コミケやハロウィンで見かける、パンチラ寸前のコスプレーヤーたち。目のやり場に困ります~。

公衆が嫌悪感を抱きそうなほどお尻や太ももなどをみだりに露出すると、軽犯罪法の第1条に触れる場合があります。路上での過度な露出は誰かしらよく思わないでしょうから慎んで」

 と、佐藤弁護士。軽犯罪法違反となれば、1日以上30日未満の拘留または1000円以上1万円未満の科料に問われてしまう。

「自治体の迷惑防止条例違反で罰せられる場合もあります」

 東京・秋葉原の路上で下着を見せながらM字開脚をしたとして、自称セクシータレントが逮捕された例も。

ちなみに、性器を露出させたら公然わいせつ罪。場合によっては立ちションもアウトでしょう

110年ぶりの見直し決定。男同士でも「強姦罪」になる?

「これまで強姦罪の被害者は女性に限定されていました。男性が被害を受けた場合は強制わいせつ罪。罰則は、強姦罪が懲役3年以上20年以下で、強制わいせつ罪は6か月以上10年以下。強姦罪のほうが圧倒的に罪が重かったんです

 と佐藤弁護士。ところが3月、性犯罪に関する刑法の規定を見直し、強姦罪を廃止して「強制性交等罪」にする改正案が閣議決定。被害者の性差をなくすほか、被害者が訴え出なくても罪に問える非親告罪化、厳罰化も盛り込まれている。

改正案では懲役が最低5年からになり、性器を口に含ませるなどの類似行為も処罰対象に。学生時代、男性から襲われそうになった僕は、男性も被害者になりうるが持論。願ってもない法改正ですね!」

壁ドン、俺様ドライブ、前髪カット──殴ってなくても暴行罪!?

 男子が、ちょっと強引に女子を壁際に追い詰め、ドンと音を立てて壁に手をつく “壁ドン” 。少女漫画じゃ萌えシチュエーションだけど──いやソレ、犯罪! 

暴行罪は、直接殴る蹴るなどしなくても、相手の身体を傷つける危険性がある行為や、相手に嫌悪感を抱かせる行為にも認められます。ナンパ目的などの壁ドンは、相手が逃げ場を失い、恐怖や不快感を抱けば暴行罪。誰かを乗せた車でわざと荒い運転をする、美容師が “このほうがオシャレ” と客の前髪を勝手に切る、といった行為も同様です」(佐々木弁護士)

 そのほかアウトな行為はコチラ。

・拳を振り上げる
・水や砂をかける
・唾を飛ばす
・悪臭を無理やりかがせる
・カンチョー
・刀を振り下ろすマネ
・腐った食べ物を食わせる
・机を思い切り叩く

 

<プロフィール>
◎レイ法律事務所・佐藤大和弁護士
芸能関係や恋愛トラブルを得意としメディアにも多数出演。「子どもを被害者にも加害者にもさせない」信念で法教育活動にも注力。

◎日本橋桑原法律事務所・桑原真理弁護士
第一東京弁護士会所属。民事・刑事を問わず幅広い分野を扱い、とりわけ男女・離婚・相続問題に対する取り組みの丁寧さに定評あり。

◎旬報法律事務所・佐々木亮弁護士
パワハラ、過労死など労働問題の第一人者で日本労働弁護団常任幹事。ブラック企業被害対策弁護団では代表を務める。