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「わかっちゃいるけどすぐ行動できない」原因「自分を変える」ためのポイント(関連記事参照)がわかったら、次は、実際に自分の生活にありがちな例をサンプルに学んでいきましょう! 10万部を突破した話題の著書『すぐやる!「行動力」を高める”科学的”な方法』の著者で作業療法士の菅原洋平さんによると、「“すぐ行動できる”脳のつくり方は、家族に応用することも可能」とのこと。自分の感情だけで物事を伝えるのではなく、夫や子どもの脳のスイッチを入れることができれば、アナタの声も響くはず!

自分編~なかなか行動にうつせない自分を変えたい!

【Q】だらだらとスマホをいじったりテレビを見るのをやめたい

【A】自分の行動を意識的にするため、ひとつひとつ区切りをつけて

 テレビやスマホを無意識に見てしまう人は多いはず。試しにリモコンはソファから離れた場所に、スマホはバッグの中などに定位置を決めてみましょう。そうすれば、それを取りに行く際に、「今から自分はテレビ(スマホ)を見ようとしている」と自覚するはず。このワンステップがあることで、「本当にテレビを見る必要があるか?」と脳が違う働きをみせる。「本当はダラダラと見ている場合ではない」とわかりつつ見てしまうのは、ムダなドーパミンを分泌してしまうだけ。テレビをつけたときは無意識だったのに、見ていると次の行動ができにくくなる。そんな習慣ではなく、見始める“始点”を意識づけする習慣を作るように!

【Q】ダイエットをしたいけど“するする詐欺”で終わっちゃう

【A】漠然と目標を立てず、運動など具体的な行動を考え、スイッチオン

「3か月で10キロ」といったできるか疑わしい目標ではなく、まずは絶対にできる小さな目標を掲げること! そして、この後やらなければいけないことを認識、準備して臨む※フィードフォワード型の脳にすることが大事。お気に入りのソファに座ると眠たくなると認識するように、“これをすればどうなるかわかる”と脳が自動的に認識できるようにすれば大丈夫。ウォーキングしようと意気込む前に、まずはウォーキングウエアに着替えることを意識して始めると、スイッチが入りやすい。

※フィードフォワードとは?
 目的を達成するためにどうあるべきかを予測して行動を決めるシステム。わかりやすい例でいえば、職業の制服などがフィードフォワードにあたる。また、エプロンをつけると料理モードのスイッチが入ることも同様。ダイエットの場合、お気に入りのスポーツウエアに着替えることなどが効果的!

【Q】帰宅後にムダな時間を過ごし、夜更かしに……

【A】夜の時間の調整は、早くから行いやるべきことを数値化して

 夜のスケジュールを組む際に、多くの人が基準としているのが食事か入浴。例えば、食事の開始時間が遅れると、その後のスケジュールもすべて遅れてしまう。夜の習慣を改善するのは簡単ではないので、まずは、食事時間を早めることから始めて。また、夜にやりたいことが、ダラダラしてしまってできない場合は、やるべきことの難易度を数値化して、いつもの習慣にスムーズになじむスケジュールを組むこと。いかに自分が根拠のない先入観を持ったスケジュールの中で暮らしているか気がつくはず。

【Q】洗い物や洗濯がおっくうでついためちゃう!

【A】1度休みをはさまないで、前の行動の続きで動いてみて

 お皿をなかなか洗い始められない人は、食事が終わったらコップを1つだけでもいいので洗ってみて。脳は、続きは得意だが、ゼロから始めるには、きっかけを必要とするもの。1つでも“洗う”という動作ができると、脳は食事を終えて(=現在)から皿を洗う(=将来)という行動に引き続き移っているので、そのままお皿洗いを続けるのが苦ではなくなる。洗濯も同様で、何か必ず行う習慣に続けて行うと、行動を起こすハードルが下がる。

【Q】やる気はあるのに家事がはかどらない

【A】やるべきことはひとつずつクリアし起きてから4時間後に難易度の高いものを

 脳は起床から4時間後が最も冴えているので、この時間に難易度の高いことをするのがオススメ。逆に最も冴えない時間帯は睡眠物質が分泌される起床から8時間後。『4-6-11の法則』の6の部分は、この8時間後の作業効率の低下を防ぐために、あらかじめ1~30分ほど目をつぶって小休憩をとるというわけ。また、冷蔵庫などに付箋で“今日やること”を目に見える場所にベタベタと貼るのも逆効果。目の前のことに集中することが、脳の効率を向上させるので、ほかのことは目に触れさせないように。

夫&子ども編~”メンタル文法”で家族の脳のスイッチをオン!

【Q】離れつつある夫との距離を縮めたいけど、どう動けばいいかわからない

【A】向かい合うのではなく横並びで関係改善を狙って

 脳は他者と同じ向きになることで、よりお互いに対して理解度が深くなる特質を持っている。つまり、対面で座るよりも横並びで座ったほうが関係性が向上するというわけ。例えば、デートでドライブに行くと2人の仲が縮まるというのは、科学的にも裏づけがある。新聞越しに会話をするだけで、おのずと夫婦の距離は離れていくため、新聞を広げている夫がいるなら横に座って、「このニュース、どうなるんだろうね?」と話すだけで脳は活性化する。共同作業をするなら、ぜひとも横並びでするのがオススメ♪

【Q】元気がない夫に言葉をかけにくい

【A】相手に届く言葉を選んで話しかけてみよう

 夫を変えるには、まずは自分自身がどんなパターンの会話をしているのかを客観視して、自分の言葉のパターンを変えてみて。「最近忙しいの?」と気を遣ったつもりでも、相手は※メンタル文法によって解釈を変換してしまいがち。夫をきちんと観察したうえで、事実に基づいた言葉をかけることで、お互いが認識しているキーワードがそろうようになる。例えば先入観を持って、「食欲がないの?」と言うのではなく、事実に基づいた「今日はおかわりしないのね?」のほうが夫との認識がそろうという具合。キーワードをそろえていけば、自分の言葉が意味を持つようになり、夫に届きやすくなるはず。

※メンタル文法とは?
 他人の話を聞いたとき、その人の一言一句を漏らさずに聞き取って理解しようとするのではなく、相手の話からキーワードを拾って、自分の中に用意してある文脈にあてはめて理解すること。「あなたはいつもそう言う!」と相手が言っているとき、自分は「いつもそんなことは言ってない」と思うことがあるはず。それは相手がメンタル文法で自分流に解釈しているから。

【Q】めんどくさがりの夫に継続的に家事を手伝わせるには?

【A】できないことを非難せず、コツを教えていって

「こうするとうまくできるよ」とコツを伝授することが大事。自分が家事教室の先生で相手が生徒だと思えば、できていないところを指摘する方法はとらないはず。相手がうまくできたときに「どんなふうにやってみたの?」と聞いて相手にしゃべらせると、相手はさらに上達しようと工夫するようになる。気をつけてほしいのは、間違っても自分の経験則に基づいた言葉で伝えないこと。相手に伝わらない言葉を使うと、脳はどうしていいかわからなくなり動けなくなってしまうだけなので逆効果。むしろ、何かを手伝ってくれたときに、夫からその行動をしたときのきっかけとなった言葉を引き出すことができれば効果てきめん。

【Q】ゴロゴロしている夫のだらしない行動をなんとかしたい

【A】小さな行動の変化ひとつずつを拾いあげて感謝してみて

 全く何もしないゴロゴロした夫に、「私の話をちゃんと聞いてほしい」とリクエストするのは、ステップとしてレベルが高すぎ! 相手の意識を変えるために大事なことは、小さなステップから始めること。ゴロゴロしていた夫が、「顔を上げて目を合わせた」ことはなんてことのないステップかもしれないけど、こういう行動を拾いあげていくことが大切。「最近、顔を見て話してくれるよね」と小さなことでも口にすることで、夫はうれしくなって“小さな成功”として認識していく。徐々に積み重ねていけば、最終的には奥さんが期待するところまで夫も行動してくれるようになるもの。

【Q】勉強や趣味への子どもの意欲をのばしたい!

【A】お気に入りの道具や肌触りのいい服、書きやすいペンなど、感触の力を借りて

 前述したメンタル文法を使うことに加え、子どもが好む感触の勉強道具などをそろえると効果的。あれこれ考えていても、触ることでパッと切り替わる脳の修正パワーを利用。家事をテキパキとこなす主婦がお気に入りの道具を持っていたり、野球選手がバットやグローブにこだわるのは、感触が行動と結びつくからこそ。子どもが取り組んでいる物事に必要な道具を、子どもが好む感触のものでそろえれば、脳の働きはググンとアップ!

<教えてくれたひと>
菅原洋平さん
すがわらようへい/作業療法士。ユークロニア代表。民間病院精神科を経て、国立病院機構で脳のリハビリテーションに従事。現在、ベスリクリニック(東京都千代田区)で外来を担当する傍ら、企業研修を全国で展開し、その活動はテレビや雑誌などでも注目を集める。『あなたの人生を変える睡眠の法則』(自由国民社)、『すぐやる! 「行動力」を高める“科学的な”方法』(文響社)をはじめ著書多数。